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「開かれた学校」のジレンマ−「安全・安心」のまちつくる“地域コミュニティ”の再生を! ‐ 土堤内 昭雄

今年6月、「地域に開かれた学校」を標榜する兵庫県宝塚市の公立中学校に盗撮目的で不審者が侵入する事件が発生した。同校は市内で唯一校門のない学校として知られていたが、宝塚市教育委員会は、不審者対策として校門の設置を決めたという。地域住民の間には難色を示す声もあり、「開かれた学校」のあり方をめぐっては、そのあるべき姿が問われているのである。

実は、私の住む街の小学校はいわゆる「オープンスクール」といわれるもので、地域に開かれた学校を目指し、地域との関わりを大切にしてきた。しかし、2001年6月に大阪・池田小学校児童殺傷事件が起こり状況は一変した。この事件は校内にいた児童が外部からの侵入者に殺害されるという衝撃的なものだった。子どもたちの安全を守るために学校のセキュリティ体制はどうあるべきか、教職員や保護者、地域住民の間で激しい議論が巻き起こった。

長い議論の末、校庭と道路の境界に塀を設けるのではなく、校舎の開口部は施錠、出入口は教職員の常時見ているところに限定することになった。今でも、学校の校庭と街路の間には塀やフェンスはなく、24時間いつでも誰でも校庭に入ることができる。昼間に小さな子どもを連れた親子が、校庭をのんびり散歩する姿も見かける。校舎も道路沿いに建っており、道路から授業中の様子も垣間見える。

確かに高い塀を設けて部外者の侵入を物理的に防ぐこともひとつの方法だが、校舎や校庭の死角を減らし、住民等の目が隅々まで行き届くことで、不審者が侵入し難い環境を整えることがより重要だ。地域住民が見守ることにより、通学路の安全が確保され、不審者の侵入を防ぎ、異常があればすぐにわかるような地域コミュニティづくりが本質的な学校の防犯対策になるからである。

地域コミュニティづくりには、地域住民が集まり、交流できる共通の場“コモンズ”として、公園や小学校などがコミュニティの中心になることが必要だ。夏休みに小学校でラジオ体操を行うなど、地域住民の学校行事への参画による学校と地域の一層の連携が求められる。また、小学校に市民菜園などを併設して、就学児童がいない世代の人たちも学校に親しめる仕組みが有効だろう。

現代社会においては、ゲイティッド・コミュニティのような「安全」を手に入れるために多大なコストがかかる時代になった。しかし、いくらコストをかけようとも、物理的に「安全なまち」はつくれても心理的に「安心なまち」をつくることは容易ではない。本当の「安全・安心」のまちづくりのためには、“地域コミュニティ”の再生が不可欠なのではないだろうか。

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