記事

トルコのIS政策(碌でもない質問ですが)

先ほどシリアを巡るトルコ・米国関係についての記事を書きましたが、それと直接の関係はありませんが、このところトルコの対IS政策で、どうにも理解しがたいことがあり、いろいろと悩んで(大げさか!)いますが、疑問に感じていることを書いてみますので、どなたか暇な方がおられたら、ご教示方お願いします。

それはトルコ・シリア国境のkobani (アラビア語名ain al arab)についてです。

何度も報告してきた通り、ISの部隊が、周辺のクルド人居住地を掌握し、このシリアのクルド人町で3番目に大きいとかいう町に2~3km地点まで迫っており(報道では一部占拠したとのニュースもある)、国境地帯の外国特派員からも町に落下する砲弾が良く見える模様です。
kobaniでは住民の9割はトルコ内又は国境近辺に避難し、YPGの戦闘員が死守しているとのことで、この組織の大本のトルコ労働者等PKKの指導者が獄中から、同市の防衛に参加するように呼びかけ、PKKメンバーを中心にシリアに入ってkobaniを守ろうとするクルド人が多数押し掛けている模様です。
このような状況ですから、国境にはトルコ軍の戦車部隊も含めて、トルコ軍がずらりと布陣していて、トルコ首相もkobaniの陥落は許さない、と発言しています。
しかるにトルコ軍に動く様子は全く見えず、むしろ越境しようとしているクルド人を放水等で散らばらせている模様です(この辺はBBC,CNN等が詳しく現地実況している)

ここまでが事実関係ですが、よく理解できないのは、kobaniの陥落は許さないと言いながら、現実には軍の介入の様子も見えないことです。
現在ならば、トルコ軍がkobani に入れば、未だ同市を陥落させていないISの侵入を防ぐのは(トルコ軍の実力をもってすれば)よういだと思いますが、ISが一旦同市を占拠してしまったあとではその排除には相当の犠牲も伴い、しかく容易ではない(何しろ市街戦になる)と思われます。
さらには、ISが陥落させれば、防衛のクルド人を虐殺することは目に見えており、そうなればトルコ国内のクルド問題に火がつくことも十分考えられます。
また、トルコの直ぐ目と鼻の先にISの拠点が生じることはトルコ自身の安全保障の観点からも、絶対に好ましくないことではないかと思われます。

そこでの疑問は、何故ここまで来てもトルコ軍が動かないかということです。
無い脳みそを絞っていろいろ考えて見ても次のようなことは思い浮かぶが、これだろうと言う答えがありません。
・トルコの実力を知っているISは、トルコ首相の警告で恐れをなして、占拠はあきらめると見ている
(ISがそれほどやわな相手でないことはこれまで実証されていると思う)
・トルコ軍の実力をもってすれば、占領したISの排除は簡単と見ている。
・トルコとしては、kobaniを含めたシリア領のトルコに隣接した地域を、安全地域と宣言し、飛行禁止地域として、そこにトルコ領内にいるシリア、クルド難民を相当移すことを考えているが、シリア領内への安全地帯設置でもあり、シリア政府が猛反対し、衝突の危険性もあるので、米英等の参加を希望しているが、米国等は消極的で、トルコの希望に応じる様子が見られない。
そこで、kobani の陥落という現実を突きつけて、米国等の安全地帯への協力をとりつける
(エルドアンは前から安全地帯の設立を提案しており、あり得るシナリオかと思うが、そのためにクルド人多数が犠牲にされることとなり、非人道的とされる可能性あり)
・もう一つdiabolical な考えとしては、ww2の時のワルシャワ蜂起が想起されるが、何しろPKKは昔からのトルコ政府の最大の敵で、その下の組織のYPGをトルコ兵の犠牲も覚悟して救おうと言う気が起きない。
むしろ、ここはワルシャワの対岸まで来ていたソ連軍が、ナチスに反共のポーランド国内軍の青年を皆殺しにさせた後で、おもむろにナチスをワルシャワから追い出したと同じように、ISをしてYPGを痛めつけさせるのが得策と見ている。
(このシナリオは上に書いた通り、diabolicalではあるが、BBC等の現地実況でも、トルコが動くのに消極的な理由として、PKKに対する歴史的反感をあげている)
・ISと何らかの裏での交渉ができている

どうもどれをとっても裏付けのない話で、トルコがぐずぐずしているうちに、ISが占拠してしまえば、後戻りのできない相当ひどいことになりそうな気がするのですが、トルコ軍には動く気配もない、ということで非常に不思議な感じがしています

あわせて読みたい

「ISIL」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    法相辞任 文政権は崩壊に向かう?

    早川忠孝

  2. 2

    バレーのジャニ依存 海外で批判

    WEDGE Infinity

  3. 3

    韓国法相辞任で文政権崩壊はない

    文春オンライン

  4. 4

    韓国法相辞任 反日弱まる可能性

    文春オンライン

  5. 5

    旧民主の悪夢 八ッ場ダムに脚光

    早川忠孝

  6. 6

    少女像以外も政治的なあいトリ

    紙屋高雪

  7. 7

    元政務官「今井議員の仕事見て」

    山下雄平

  8. 8

    ラグビー主将が忘れぬ日本の募金

    文春オンライン

  9. 9

    台風19号 タワマン断水続き悲鳴

    文春オンライン

  10. 10

    教師間いじめ 評価高い加害教諭

    非国民通信

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。