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- 2014年10月05日 01:16
5周年迎えた「BLOGOS」その問題点と強み
僕が以前バイトさせていただいいてた言論プラットフォーム「BLOGOS」が本日10月5日で5周年を迎えました。
直接お世話になっていた大谷編集長がそれに寄せて長文記事を書かれています。
・【編集部より】BLOGOS開設5周年にあたって
これは中々驚きに値することで、何故なら
彼らがメディア露出に積極的な理由は3つほどあり、①ウェブメディア界への注目度があがっているから ②業界の最先端であり、媒体に適した話ができる上人物として魅力的だから、③自分たちの新興メディアを宣伝するインセンティブがあるから となります。
僕も,メディアに露出し業界の将来を語る彼らを見て憧れたり、ウェブメディアへの理解を深めたりしていました。
そこで、自分のバイト先であった大谷さんももっと表に出ればいいのに、とかつては密かに思ったものでした。
今では月間3000万PVを集める「BLOGOS」は米国のハフポストのモデルに真似,ブログ言論を集約させてウェブで1つの地位を築いており、昨今の新興メディア乱立時代の草分けとも言える存在だからです。
しかし大谷さんは、ちょうど伝統的な出版社の編集者が書き手の黒子に徹するのと同じように、日々淡々と炎上の危険性のあるライターの記事と向き合い、企画を立てていくのでした。
2009年10月5日にスタートしたBLOGOSは菅直人元首相、田原総一郎氏、池田信夫氏など政治分野の有識者の意見をブログ転載し、言論プラットフォームの地位を目指しました。
リンク先を見る
東日本大震災後などは特に原発推進/脱原発などの話題で、さまざまな記事が立ち上がり、まさにネット上に言論空間が生まれていると肌で感じました。
それまでの僕のネット言論のイメージといえば「2ちゃんねる」であり、デマと中傷に満ちた信用ならないところ(ただしたまにとんでもなく貴重な情報も紛れ込んでいる)でしたから、かなり感動的でした。僕が大学1,2年生のころです。
やまもといちろう氏やちきりん氏など「アルファブロガー」も取り込み、順調に拡大していくように見えた「BLOGOS」でしたが、問題も生じてきます。
それは一言であらわせば「炎上の魔力」です。
どういうことか。KPIをPV数とする以上、極端な意見で釣る記事が日の目を見ます。BLOGOSは理念上、右や左にふれすぎないプラットフォームを志向していますから、そうした記事も掲載され、ランキング上位を占めるようになる。それに倣ってか、はじめは丁寧な正論を展開していたブロガーも、煽り気味の記事を増やしていく。
なお悪いことに、読者との対話の窓口であるコメント欄にも制限はないため、一部の掲載記事でヘイトスピーチが展開されることも見られるようになりました。
「炎上の魔力」そして「ヘイトスピーチ」。BLOGOSが抱えているのは、ウェブメディア界が直面している二大災厄であるとも言えます。
(ちなみに、昨年5月に立ち上がり、初期はBLOGOSと同じようにブロガー言論を集めていった日本版ハフポストは、明確に「リベラル」よりのポジショニングをしたことでヘイトスピーチは抑えられました。
・ハフィントン・ポストの「戦術としてのリベラル」 - メディア・クエスター )
イケダハヤトさんなど著者陣がコメント欄の荒れを指摘し、編集力強化を訴えながらも中々実現できていないのはKPIとの関係や限られたリソースといった課題があるからでしょう。
ネットメディアの魅力と同時にその難しさ、恐ろしさも見てきたからこそ、編集長にはメディアに対する慎重な姿勢が形成されたのかも知れません。
僕は、そこが他の新興ウェブメディアとの差別化要因にもなりうると考えています。
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編集部の永田さんは以上のようなメールで、キュレーション、バイラルなどの「流行」に対して慎重な姿勢を提示しています。
みなが新しいものに殺到しているからこそ、「新しくて古い」BLOGOSは元来の提供価値を高めることで、独自のポジショニングを築けるのではないでしょうか。
キュレーションメディアでは得られない専門性を持ち、バイラルメディアでは得られない深い理解を促すようなブログ記事によってネット言論を形成していって欲しいです。
何故ならそれらを満たすメディアというのはネットにあまりなく、しかし必要だからです。
直接お世話になっていた大谷編集長がそれに寄せて長文記事を書かれています。
・【編集部より】BLOGOS開設5周年にあたって
これは中々驚きに値することで、何故なら
大谷編集長がこんなに自分の思いを書くことは珍しい【編集部より】BLOGOS開設5周年にあたって-BLOGOS編集部 http://t.co/bm7FCO6iXJ
— 田野幸伸 (@tanocchi) 2014, 10月 4
と大谷さんの同僚である田野さんも書かれているように、元来自分の意見を前面にメディアに出していくことを好まない、奥ゆかしい方だからです。ウェブメディア編集者っぽくないウェブメディア編集者
所謂「ネットメディア界隈」は今、沢山のスター編集者が跋扈してにわかに注目を浴びています。僕が現在所属する「NewsPicks」の佐々木紀彦さんをはじめ、元「ハフポスト」の松浦茂樹さん、「cakes」の加藤貞顕さん 、「現代ビジネス」の瀬尾傑さん、などなど……。彼らがメディア露出に積極的な理由は3つほどあり、①ウェブメディア界への注目度があがっているから ②業界の最先端であり、媒体に適した話ができる上人物として魅力的だから、③自分たちの新興メディアを宣伝するインセンティブがあるから となります。
僕も,メディアに露出し業界の将来を語る彼らを見て憧れたり、ウェブメディアへの理解を深めたりしていました。
そこで、自分のバイト先であった大谷さんももっと表に出ればいいのに、とかつては密かに思ったものでした。
今では月間3000万PVを集める「BLOGOS」は米国のハフポストのモデルに真似,ブログ言論を集約させてウェブで1つの地位を築いており、昨今の新興メディア乱立時代の草分けとも言える存在だからです。
しかし大谷さんは、ちょうど伝統的な出版社の編集者が書き手の黒子に徹するのと同じように、日々淡々と炎上の危険性のあるライターの記事と向き合い、企画を立てていくのでした。
BLOGOSの抱える「炎上の魔力」
ここで改めて、「BLOGOS」というメディアのこれまでとこれからについて簡単に展望を述べたいと思います。2009年10月5日にスタートしたBLOGOSは菅直人元首相、田原総一郎氏、池田信夫氏など政治分野の有識者の意見をブログ転載し、言論プラットフォームの地位を目指しました。
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東日本大震災後などは特に原発推進/脱原発などの話題で、さまざまな記事が立ち上がり、まさにネット上に言論空間が生まれていると肌で感じました。
それまでの僕のネット言論のイメージといえば「2ちゃんねる」であり、デマと中傷に満ちた信用ならないところ(ただしたまにとんでもなく貴重な情報も紛れ込んでいる)でしたから、かなり感動的でした。僕が大学1,2年生のころです。
やまもといちろう氏やちきりん氏など「アルファブロガー」も取り込み、順調に拡大していくように見えた「BLOGOS」でしたが、問題も生じてきます。
それは一言であらわせば「炎上の魔力」です。
どういうことか。KPIをPV数とする以上、極端な意見で釣る記事が日の目を見ます。BLOGOSは理念上、右や左にふれすぎないプラットフォームを志向していますから、そうした記事も掲載され、ランキング上位を占めるようになる。それに倣ってか、はじめは丁寧な正論を展開していたブロガーも、煽り気味の記事を増やしていく。
なお悪いことに、読者との対話の窓口であるコメント欄にも制限はないため、一部の掲載記事でヘイトスピーチが展開されることも見られるようになりました。
「炎上の魔力」そして「ヘイトスピーチ」。BLOGOSが抱えているのは、ウェブメディア界が直面している二大災厄であるとも言えます。
(ちなみに、昨年5月に立ち上がり、初期はBLOGOSと同じようにブロガー言論を集めていった日本版ハフポストは、明確に「リベラル」よりのポジショニングをしたことでヘイトスピーチは抑えられました。
・ハフィントン・ポストの「戦術としてのリベラル」 - メディア・クエスター )
BLOGOSの持つ強みは今後際立つ
現在のBLOGOS編集部は、1日約50本もの記事を転載しながら、その2つの問題に対応していっている段階だと思います。イケダハヤトさんなど著者陣がコメント欄の荒れを指摘し、編集力強化を訴えながらも中々実現できていないのはKPIとの関係や限られたリソースといった課題があるからでしょう。
ネットメディアの魅力と同時にその難しさ、恐ろしさも見てきたからこそ、編集長にはメディアに対する慎重な姿勢が形成されたのかも知れません。
僕は、そこが他の新興ウェブメディアとの差別化要因にもなりうると考えています。
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編集部の永田さんは以上のようなメールで、キュレーション、バイラルなどの「流行」に対して慎重な姿勢を提示しています。
みなが新しいものに殺到しているからこそ、「新しくて古い」BLOGOSは元来の提供価値を高めることで、独自のポジショニングを築けるのではないでしょうか。
キュレーションメディアでは得られない専門性を持ち、バイラルメディアでは得られない深い理解を促すようなブログ記事によってネット言論を形成していって欲しいです。
何故ならそれらを満たすメディアというのはネットにあまりなく、しかし必要だからです。