- 2014年10月02日 14:10
De Correspondentは正念場を乗り越え2年目に突入――創業者が語るコミュニティメディアのレッスンとは
9月30日に2年目を迎えたDe Correspondent。オランダを代表する全国紙・NRC Handelsbladで活躍していた若手エース記者 Rob Wijnberg(ロブ・ワインバーグ)さんとErnst-Jan Pfauth(エルンストヤン・ファウス)さんの2人が、ちょうど1年前にローンチしたオンラインメディアです。
コレスポンデントは広告に頼らない有料購読制(年間€60=約8,000円)で、独自の調査報道や分析を行います。その姿勢が支持され、立ち上げの際にはクラウドファンディングで1億7千万円の資金を集めたことで話題になりました。
・De Correspondent:クラウドファンディングで1億7千万円集めた、オランダのオンラインジャーナリズム・スタートアップ
・オランダ大使館のバスさんに聞く、「De Correspondent」の今とこれから
1年契約の有料購読の更新を迎える今年9月が正念場――前回お話を聞いたオランダ大使館のバスさんはそうおっしゃっていましたが、コレスポンデントは多くの読者に支持されたまま2年目に突入できたようです。ファウスさんがMediumで、現在の状況やこの1年で学んだことを書いています。
6割以上が契約更新、会員数は37,000人
更新1週間前の9月23日の時点で、クラウドファンディングで支援してくれた18,933人の読者の約6割(11,000人)がすでに契約を更新し、購読者数は合計37,057人とのこと。購読料だけで、年間€220万(約3億円)の支えがあることになります。
23日から30日までの間に残りの約8,000人のうちどれくらいが更新をしたかはわかりませんが、少なくとも約3万人の購読者を抱えたまま、コレスポンデントは2年目に突入することになりました。
画像を見る購読者数の推移 via De Correspondent
またコレスポンデントは、2年目を迎えるにあたって読者に契約を更新してもらえるよう、この1年間の活動にはどのようなインパクトがあったのか、購読料がコレスポンデントの活動にどのように使われているのかを説明しています。このように透明性を保っていることも、読者から支持され続けている理由のひとつなのでしょう。
画像を見る53%が15人のスタッフの給料や寄稿者への原稿料、17%が税金、その他テクノロジーやデザイン、写真、オフィスの家賃、イベントなどに使われた内訳が細かく説明されています。via Medium
コミュニティメディアの秘訣
メンバーシップの会員費やイベントでの収益(コレスポンデントは現在イベントは行っていないそうですが)でメディアを支えていくコミュニティ型のメディアにおいては、読者のエンゲージメントが必要不可欠。
コレスポンデントでは、ジャーナリストは読者とともに活動しなければいけないと私たちは考えています。読者はみな何かしらのエキスパートなので、ジャーナリストを会話をリードする司会者、読者を貢献者として考えています。
と、ファウスさんも書いています。Mediumの記事の最後で、ファウスさんはこの1年間で学んだコミュニティメディアのレッスンをこのようにまとめています。
1. 購読者のお金をどのように使ったかを説明すること
2. ジャーナリストが読者とともに活動するよう促すこと
3. 購読会員は最高の大使だということ
4. すでにあなたのファンとなっているような人に援助を頼むこと
5. ストーリーを届けるときには、プラットフォームにとらわれずに考えること
(※寄稿者の1人は、コレスポンデントで書いた内容をまとめた本を出版しています。ウェブメディアでもウェブだけでなく、ストーリーを届けるのにベストなプラットフォームを選ぶべきだという意味だと思います。そのなかにはリアルのイベントなども含まれるのかもしれません)
メンバーシップ制度やイベント、スクールを行い、読者のエンゲージメントを大事にするコミュニティメディア。海外ではコレスポンデントやthe guardian、日本ではgreenz.jpやWIREDがそれに当たると思っています。
・The Guardianがメンバーシッププログラムを開始――コミュニティによって支えられるジャーナリズムを目指す
コレスポンデントが順調に2年目を迎えられたことは、ゼロベースで始めたオンラインのコミュニティメディアが成り立つことの証明でもあるのだと思いました。
(via Medium, Nieman Lab)