先日、「合法オンラインスロットとやらが拡大しているようです」と題して、拡大しつつある国内オンラインスロット事業に関してお伝えいたしました。詳しくは上記のリンク先でご参照頂ければですが、これらは複数のゲームを組み合わせながら、非常に巧妙に法制ライン上、ギリギリのオペレーションを行っているものです。ところが、本日web巡回をしておったら、もっとスゴイものを発見してしまって、ちょっと背筋が凍り付いておるところです。
本日ご紹介するのは、大手家電量販店・ヤマダ電機が公式で提供しているオンラインサービス「ヤマダカジノ」です。例によって、僕はこの種の法律的にギリなものでは遊ばないので、サイト内で紹介されている遊び方を参考にしながら全体のシステムをご紹介すると以下のような形になります。
あそんでトクする、ヤマダカジノ
http://www.yamadacasino.com/
ヤマダカジノメダルの購入
300円=600メダル、500円=1,000メダル、1,000円=2,000メダル…10,000円=20,000メダル
↓
オンラインカジノへの参加
提供ゲーム:ブラックジャック、ルーレット、ビデオポーカー、バカラ、スロットマシン
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景品交換
1,000メダル=1オークションパス
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ヤマダカジノ限定のオークションに参加
欲しかったあの商品を低価格でGET!
オークションパスの枚数に応じて参加できる商品が増える!!狙える!!
簡単にいえば、先の投稿でご紹介した「合法オンラインスロット(自称)」と、一世を風靡し、数々の芸能人を地獄に陥れた「ペニーオークション」の融合といったところでしょうか。以下、このサービスに関連するであろう論議を列挙します。
論議1:
先にご紹介した「合法オンラインスロット(自称)」でも、「TICKET」と呼ばれるゲームに参加する権利を示すものを介在させることで、刑法の賭博禁止規定を乗り越えようとする試みが行われていました。今回のヤマダカジノにおいても、オークションパスと呼ばれるオークション参加権を介在させており、アプローチとしては類似した形式をとっています。
ただし、これも先の投稿で述べたとおりですが、刑法上はこのような「何かしらの権利を記した証書」というのも、一応、財産上の価値を記した広義の有価証券(これは商法上の有価証券の定義とは違う)として扱うこととなっており、これらが本当に制度を乗り越えるツールとなっているのかどうかに関しては、非常に高度な法的論議が必要な分野となります。
論議2:
一方で、今回ご紹介したヤマダカジノが、先にご紹介した「合法オンラインスロット(自称)」と大きく異なる点は、サイト内で使われている疑似通貨「メダル」および、景品として払い出される「オークションパス」が、現金価値と直結しているという点です。上記のとおり、ヤマダカジノメダルは現金で購買するものとなっており、300円=600メダル、すなわち1メダルが50銭相当の現金価値を持つものとなっています。一方、ヤマダカジノ内で景品として払い出される「オークションパス」は、1000メダル=1オークションパスで、すなわち「1オークションパス=1000メダル=500円」相当の現金価値を持っていることとなります。
「合法オンラインスロット(自称)」においてもTICKETという「参加権」を介在させておったワケですが、先のエントリでも解説した通り、彼らはこのTICKETが財物の価値に直結しないように巧妙にゲームシステムを組み立てており、それ故にかのサービス業者を私は「判っている奴ら」と評しました。しかし、今回のヤマダカジノ内で使用されているメダルやオークションパスは、完全に現金価値とイコールで結ばれるものとなっており、論議としてはさらに一歩レッドゾーンに向かって踏み込んだものとなります。
このヤマダカジノは今年の5月にオープンしたものなのですが、私の記憶ではオープン当初はメダルは無料で提供される形になっており、現金価値と結びついていなかった気がするのですが。。(当時、サービス開始のニュースを見て、私も確認した記憶がある)いつから、現金でメダルを購入するような仕様になったのでしょうか。
先の、「合法オンラインスロット(自称)」をご紹介した時、かのサービスを「今後の我が国におけるオンラインゲーミング法制論に一石を投ずる」としましたが、今回のヤマダカジノは「一石」どころか巨岩を池に向かってブチ込んだ状態。ヤマダ電機といえば、連結売上高1兆7000億円の泣く子も黙る業界第一位の家電量販店なわけですが、市井の怪しげな業者には負けられないという東証一部上場企業としての矜持が感じられます。
ということで、さすがに警察庁や法務省も含めて無視するワケにはいかないレベルに来てると思うのですが、これらサービスは果たして適法なのか、違法なのか。どこまでが許されて、どこからは許されないのか?? 皆さん、一緒に考えましょう。