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政策実現のための政界ビッグバン

みんなの党は今年2月の党大会で「政策の実現こそ政党の使命であり魂である」という党綱領を採択した。政界再編は政策実現のための手段である。目的と手段の転倒は政治不信を呼び起こす。

昨年秋、政界再編は「政党ブロック」によって行うことを両院議員総会において決定した。私はその前段として争点ごと政策ごとに組む相手を主体的に選んで行く「クロス連合」構想を唱えてきた。

今年1月、安倍晋三総理大臣は施政方針演説において「私たち連立与党は、政策の実現を目指す「責任野党」とは、柔軟かつ真摯に、政策協議を行って参ります。」と述べた。

また、安倍総理は2月のみんなの党大会にメッセージを送り、「御党とは、経済政策や安全保障政策など、わが党と方向を一にする政策分野も多々あると考えており、大いに建設的な議論を交わしながら、共に政治を前に進めていくことができるのではないかと、強く期待するところであります。近年、数多くの政党が立ち上がっては消える、離合集散を繰り返しており、そのことが政治不信を招く一因となっています。与野党の立場は違えども、すべては国家・国民のため、政策の実現を目指す責任政党として、共に大局観を持って、国民の信頼に足る政治を引っ張って参りましょう。」と呼びかけた。

私はこのメッセージを、我が党に対する戦略対話の申し入れと受け止めた。昨年始めから安倍総理との対話は日銀正副総裁人事や、特定秘密保護法案の修正をテーマに行ってきた。私はこれを安倍総理とのやり取りを戦略対話と認識し、テコの原理で我が党の政策実現を図ろうと考えた。

今年3月にはアベノミクスの不十分さを補強して行く「ナベノミクス新三本の矢」を提言した。手渡しをする前に戦略対話も行った。残念ながら私の代表辞任(4月)により、戦略対話は途絶えてしまった。

選挙の洗礼は2通りある

我が党は自民党が過半数を有しない参議院において12議席をもつ。公明党の20議席には及ばないものの、充分レバレッジの効く数である。

そもそも自民・公明の政党ブロックは選挙の洗礼を受けて誕生したものではない。1998年、金融パニックという非常事態の中で、システミックリスク(不安の連鎖反応)を回避するための銀行への公的資本注入を可能にする法案を成立させることがきっかけだった(小渕内閣)。選挙の洗礼は事後評価として行われた(森内閣)。その後、自公の政党ブロックが15年以上続いてきたのは、お互いに妥協できない憲法改正などのテーマを棚上げすることによって目先の政策調整を行い、選挙協力を行うことに成功したからであろう。

一方、民主党政権誕生時の民主・社民・国民新党の政党ブロックは事前に選挙の洗礼を受けたが3年で瓦解した。選挙協力はうまくいったものの、普天間基地移設や消費増税などの主要テーマで齟齬が生じたことが原因だった。

政党ブロックの形成に当たり、「選挙の洗礼を(事前に)受けなければならない」という言説は一見もっともらしく聞こえるが、政治状況や経済環境が変わったのに融通が利かないと、国益を損なうことがあり得ることを政治家は自覚すべきだ。政治家は反射神経が大事なのである。原則に拘泥して柔軟対応できないと死に至こともある。

中国の故事に「尾生(びせい)の信」というのがある。尾生は橋の下で女と会う約束をした。ところが女が来ない。大雨で河の水かさが増してきても「約束を守る」と言い張ってその場を立ち去ろうとしなかった。結果、橋ゲタを抱いたまま死んでしまった。

荘子(そうじ)はこの尾生を、綺麗事にとらわれて「今、何が大事か」を判断できない愚か者と評している。

「与党再編」は頭の体操

昨年の参院選でみんなの党はそこそこ勝たせてもらった。しかし、国会のねじれは解消された。これは国民の審判である。ねじれなき国会で我が党はいかに政策実現を図って行くか?

私はクロス連合を一歩進め、安倍総理と主要テーマでの戦略対話を提唱した。それぞれ専権事項をもったトップ同士が信頼関係を高めながら政策実現を図っていくプロセスは、単なる政策提言ではない。

私は「今の自公政権から公明党を追い出して自民党と連立を組もう」などと荒唐無稽を言っているのではない。ましてや「自民党にすり寄り100%下請け機関になる」などと言ってもいない。まず戦略対話路線の復活。そして、頭の体操として与党とは、与党国対(閣法の事前審査への関与・議員立法や政策の与党内提案)、閣外協力(副大臣、大臣政務官を送る)、閣内協力(大臣を出す)といった段階があるだろうと指摘しているに過ぎない。

小さな政党がレバレッジ(テコ)を効かせていくことは、言い換えれば与党からハンディキャップをもらうことに他ならない。与党との連携強化は政策実現力を格段に増やしていく。

我が党は「何をやるか」が明確なので、その政策実現のためには「誰と組んだ方がより効果的かを考えよ」と申し上げているだけだ。

「選挙の洗礼を受けなければ与党入りすべきでない」と言うのは、裏返せば現自公政権を打倒して政権交代を成し遂げるという意味である。では、その可能性はどれくらいあるのか?

何年かけて政権奪取するのか? 自公以外のどういう枠組みで野党再編を行うのか? 切り貼り新党か、政党ブロックか? ロードマップは全くない。

いたずらに「与党再編の選択肢は排除する」と主張することは、政策実現より次の選挙を優先した野党再編を標榜するに等しい。選挙区調整をする相手によっては野合と見られることもあろう。1+1=2とはならない現実を、我々は嫌というほど見せつけられてきた。

地方の事情は千差万別

頭の中が選挙のことで一杯になってしまうと、「自民党に対抗できる一大勢力を作ろう」というキャッチコピーが登場する。そして選挙区調整が始まる。特に、統一選を控えた地方議員には魅力的に見える。

ところが地方の事情は千差万別である。我が党の地方議員は独立独歩の是是非非路線が多いかと思うが、自民と連携するところもあれば、民主と共闘する地域もある。みんなの党の地方議員はすべて野党勢力ではなかろう。政党の色分けもさることながら、首長との関係において与党か野党か分かれていくことが多い。地方議員の選挙区は大中小すべてある。国会内における政策実現のあり方・路線と地方の実情は100%一致するわけではないし、一致させる必要もない。地域には地域の独自路線、選挙体制があってよい。

言い換えれば、地域の事情をもって国政をコントロールすることは弊害が大きい。大阪維新の会と日本維新の会の例を持ち出すまでもなかろう。大阪市議会・府議会の事情が国政の路線に大きく影響を与える状況は正常なのか?

千差万別の地方事情の中で都合のいい路線だけ抜き出して「これぞ国政の路線」と主張するのは本末転倒である。繰り返し申し上げるが、地方議会にはその議会なりの「誰とやるか」の組み合わせがあってよい。

このままで勝てるのか?

私は5年前、たった一人で自民党を離党し、4回の国政選挙を経て国会の議席は最大36名まで拡大した。統一地方選を含めて全体として負けた選挙は一つもない。この間、個人財産を擦り減らし、借金もし、家族を犠牲にして、党のために尽くしてきた。代表を辞した今、「もう一度代表に復帰させろ」などと言っているわけではない。私が政治生命を賭して作ったみんなの党が、ジリ貧で消えていくのを見るに忍びないから声を上げているだけだ。

戦いの中でトップリーダーは進むべき方向性を明確にし「私についてくる人たちは生き残れる」という安心感を与えなければならない。NHKの最新の世論調査は支持率0%という結党以来最低の数字を記録した。このままでは次の国政選挙は比例議席ゼロ、統一選も大惨敗を免れない。みんなの党の生き残りは、政策実現を愚直に進め実績を残すことである。それこそが次の選挙で有権者の支持を獲得する最も有効なパワーとなる。

安倍政権との連携の道を自ら閉ざしてしまうことは自殺行為である。野党再編に舵を切って飛んでいるつもりでも、地面が見えてくれば飛び降りたことに気づくであろう。

みんなの党は「ブレない、曲げない、崩れない」不撓不屈の精神をもって日本を輝ける成長国家に再生すべく行動してきた。この軌跡は間違いなく戦後政治史に刻まれた。自信と誇りを忘れずに進んでいこう。その先に与野党を巻き込んだ政界ビッグバンが待っている。

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