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犬猫殺処分ゼロを目指して

私は言わずと知れた無類の猫好きである。であるからして、最近幾度となく報道される猫の虐待事件に胸を痛め、はらわたが煮えくり返っている次第だ。

今月、東京大田区で猫が50匹殺される事件があった。犯人は猫を地面に叩きつけた他、餌に不凍液をかけて毒殺したという。また、先日佐世保市で起きた高1女子同級生殺人事件の影で、犯人の女子生徒の家の冷蔵庫から猫の首が見つかったと聞いた。

自分より弱い幼児や小動物に不満や怒りをぶつける人が後を絶たず、今の日本は相当生きにくい社会になっているのかと思う。

一方で、日本では犬猫の殺処分を合法的に行っている。その数は以前より減っているというものの、平成24年度で16.2万頭(犬3.8万頭、猫12.3万頭)に上る。小動物を虐待する人に怒りを覚えながら、国による殺処分を仕方ないこととして放置するのはいかがなものかと自責の念に駆られてならない。同時に、少しでも殺処分を減らそうと地域で活動を続ける諸団体の皆様には頭が下がる思いである。

私が子どもの頃は都会ゆえ野良犬こそ殆ど見なかったが、野良猫はうじゃうじゃいた。
しかし、最近は目撃頻度が激減している。今年5月にトルコ・イスタンブールを訪問した時には、野良犬・野良猫が街なかで幸せそうにしているのが印象的だった。道路に悠然と寝そべる犬をそっとよけて歩く現地の人の優しい姿や、野良猫に餌をあげる人達をごく普通に見た。

日本ではこういう情景はあってはならないとされている。野良犬は「危険」だから駆除され、野良猫は増えてはいけないからむやみに餌をやってはいけないのだ。しかし、なぜこれがトルコでは良くて日本では問題となるのか。トルコ人に聞くと、「小動物を慈しむ」というイスラムの教えの影響が大きいという。

日本では全国の動物保護施設に引き取られる犬・猫約21万頭のうち77.3%が殺処分されている。アメリカでは600万~800万頭の引き取りのうち約4割が、イギリスでは引き取り約30万頭に対して1割強が殺処分されているというデータがあり、日本の殺処分率は相対的に高い。

欧米では施設に引き取られた犬・猫の譲渡のシステムが発達しているのに対し、日本ではどうしてもペットはペットショップで「買う」のが主流であることが一因である。殺処分16万頭というデータだけを見ても実感が湧きにくいものだが、ガス室から出てきた猫の死骸が山積みになっている写真を見れば平気な人はいない筈だ。

折しも、日本の捕鯨が国際社会で槍玉に挙がっている。人類の仲間であるほ乳類・鯨を殺すことを問題にするなら、犬猫の殺処分がもっと話題になってもいいのではないか。

ここで、国や自治体、ペット関連業界、飼い主各々がなすべき施策について包括的に解説するつもりはない。日本の殺処分を減らすために最も有効なポイントだけ述べたい。殺処分の対象の76%は猫だ。これは猫の飼い主に問題があるためで、猫を家の中だけで飼えば問題はないのだが、避妊・去勢手術もしないまま猫を出入り自由にする飼い主が罪深い。

一見、猫の自然な生き方を尊重しているようであるが、飼い猫が、外で殺処分の対象となる子孫をどんどん再生産しているわけだから、国を挙げての猫の虐待に加担していることを自覚すべきだ。

NPOや地域ボランティアの皆さんが、寄付を募って野良猫の避妊・去勢手術を施し、識別マークをつけて地域に返す活動をしている。大変なご苦労であり、無責任な飼い主がいる限り、決して終わりのない活動だ。一部の心ある人々に負担を押しつけ続けるわけにはいかない。

9月20日から始まった動物愛護週間は今日で終わるが、日本の殺処分の実態を直視し、国民全体の責任として殺処分を減らすためにできることをしていきたい。

※参議院議員安井美沙子のメールマガジン第36号より転載

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