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- 2014年09月26日 04:43
2014年上半期の薬物・銃器情勢が発表されました
9月25日、警察庁が、2014年上半期の薬物・銃器情勢(暫定値)を発表しました。今年は、危険ドラッグ関連の部分は、一足早く8月7日にすでに発表されていたのですが、これで通常の上半期分の統計が出そろいました。
今年1~6月の全薬物事犯の検挙人員は6,090 人と、昨年同期と比較してほぼ横ばい。大きなトレンドの変化は見られません。
[参照]
警察庁/平成26年上半期の薬物・銃器情勢(暫定値)
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/yakubutujyuki/yakujyuu/yakujyuu1/h26_1_yakujyuu_jousei.pdf
新聞報道は、覚せい剤事犯の検挙者に高齢化の傾向がみられるとして、「高齢化社会が進む一方、店舗やインターネット上で比較的安価に購入できる危険ドラッグに流れる若者が増えているのではないか」という担当者の分析を取り上げています。
[参照]
MSN産経ニュース「覚醒剤摘発者“高齢化”若年層は危険ドラッグに」2014.9.25 12:00
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140925/crm14092512000005-n1.htm
実際、覚せい剤事犯の高齢化は顕著です。1990年代末ころ「青少年の覚せい剤問題」が社会の関心を集めましたが、それから15年経った現在では、焦点は「中高年の覚せい剤問題」に移っているのです。高止まりしている中高年の覚せい剤乱用者を減らすための対策が今後の重要課題です。
いっぽう、覚せい剤検挙者減少の裏に、危険ドラッグへの移行の流れがあることは確かです。しかし、若年層の減少は、2000年ころから一貫して続いている動きであり、近年になって急拡大した危険ドラッグ市場の拡大だけで説明できるものではありません。若者の覚せい剤離れを促した様々な要因について、きちんと分析することは、今後の薬物問題解決へ重要な糸口の発見につながると思います。今のうちに、専門家の手でしっかり分析・評価しておきたいものです。
当ブログでは、2014年5月13日付「中高年の薬物問題」で、この点について詳しい解説を載せたので、ご参照ください。
[参照]
サイト内過去記事「中高年の薬物問題」2014/05/13
http://33765910.at.webry.info/201405/article_6.html
↑覚せい剤事犯検挙者の年齢構成
警察庁が発表した各年度の「薬物・銃器情勢」のデータに基づいて私がグラフ化したもの
ところで、「若年層が危険ドラッグに流れた」ことが、もっと直接的に現れているのが、実は大麻の検挙者データです。
2008年ころ、大麻事犯検挙者の急増が注目を集めたことがありました。欧米では大麻使用が圧倒的な率で広まっているなかで、日本の若者たちの間にも大麻への関心の高まりが懸念されてきたなかでのことでした。これに対して社会の反応は大きく、青少年の大麻乱用を抑え込もうと大麻乱用防止対策が講じられた結果、2010年には検挙者が減少に転じました。ここまでは、予期した動きです。
ところが2011年にもさらに検挙者は減少しました。今にして思えば、この減少は、危険ドラッグの拡大とぴったり重なっているではありませんか。大麻使用者の中核となっていた20歳代の若者を中心に、まさに「店舗やインターネット上で比較的安価に購入できる危険ドラッグに流れる若者が増えた」のです。
いわゆる「ハーブ」型の危険ドラッグは、もともとヨーロッパで「大麻の合法版」として青少年を中心に広まったものが、日本に伝えられ、2011年から12年にかけて全国で急速に広まったものです。当初は日本でも「大麻風」のイメージが濃厚で、最初にこれを広めたのは大麻使用経験のあるユーザーだったと思われます。
↑大麻事犯検挙者の年齢構成
警察庁が発表した各年度の「薬物・銃器情勢」のデータに基づいて私がグラフ化したもの
しかし、大麻検挙者の減少は短期で止まり、その後は低水準で安定しているところをみれば、大麻から乗り換えたユーザーは、それほど多いわけではなく、危険ドラッグ使用者のごく一部を占めているに過ぎないと思われます。
初期段階では、大麻からの乗り換えユーザーが中心だった危険ドラッグ市場は、やがて拡大するにつれ、薬物使用経験のごく浅い若年ユーザーを取り込み、さらに覚せい剤ユーザーをも巻き込みながら、急速にふくれあがっていきました。
しかし、危険ドラッグ市場もそろそろ大きな曲がり角にさしかかっています。急拡大した市場は、2012年半ばころをピークに縮小に向かい始めており、最近の徹底的な取締まりと乱用防止キャンペーンによって、若年層から順に、危険ドラッグから離れ始めているようです。
さて、危険ドラッグに見切りをつけたユーザーが、スムーズに薬物乱用から卒業してくれるのか、それとも覚せい剤や大麻に流れるのか、その後の流れが問題です。一人でも多く、薬物乱用から離れてくれるよう、治療や相談体制の充実を図っておかなくてはなりません。
今年1~6月の全薬物事犯の検挙人員は6,090 人と、昨年同期と比較してほぼ横ばい。大きなトレンドの変化は見られません。
[参照]
警察庁/平成26年上半期の薬物・銃器情勢(暫定値)
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/yakubutujyuki/yakujyuu/yakujyuu1/h26_1_yakujyuu_jousei.pdf
新聞報道は、覚せい剤事犯の検挙者に高齢化の傾向がみられるとして、「高齢化社会が進む一方、店舗やインターネット上で比較的安価に購入できる危険ドラッグに流れる若者が増えているのではないか」という担当者の分析を取り上げています。
[参照]
MSN産経ニュース「覚醒剤摘発者“高齢化”若年層は危険ドラッグに」2014.9.25 12:00
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140925/crm14092512000005-n1.htm
実際、覚せい剤事犯の高齢化は顕著です。1990年代末ころ「青少年の覚せい剤問題」が社会の関心を集めましたが、それから15年経った現在では、焦点は「中高年の覚せい剤問題」に移っているのです。高止まりしている中高年の覚せい剤乱用者を減らすための対策が今後の重要課題です。
いっぽう、覚せい剤検挙者減少の裏に、危険ドラッグへの移行の流れがあることは確かです。しかし、若年層の減少は、2000年ころから一貫して続いている動きであり、近年になって急拡大した危険ドラッグ市場の拡大だけで説明できるものではありません。若者の覚せい剤離れを促した様々な要因について、きちんと分析することは、今後の薬物問題解決へ重要な糸口の発見につながると思います。今のうちに、専門家の手でしっかり分析・評価しておきたいものです。
当ブログでは、2014年5月13日付「中高年の薬物問題」で、この点について詳しい解説を載せたので、ご参照ください。
[参照]
サイト内過去記事「中高年の薬物問題」2014/05/13
http://33765910.at.webry.info/201405/article_6.html
↑覚せい剤事犯検挙者の年齢構成
警察庁が発表した各年度の「薬物・銃器情勢」のデータに基づいて私がグラフ化したもの
ところで、「若年層が危険ドラッグに流れた」ことが、もっと直接的に現れているのが、実は大麻の検挙者データです。
2008年ころ、大麻事犯検挙者の急増が注目を集めたことがありました。欧米では大麻使用が圧倒的な率で広まっているなかで、日本の若者たちの間にも大麻への関心の高まりが懸念されてきたなかでのことでした。これに対して社会の反応は大きく、青少年の大麻乱用を抑え込もうと大麻乱用防止対策が講じられた結果、2010年には検挙者が減少に転じました。ここまでは、予期した動きです。
ところが2011年にもさらに検挙者は減少しました。今にして思えば、この減少は、危険ドラッグの拡大とぴったり重なっているではありませんか。大麻使用者の中核となっていた20歳代の若者を中心に、まさに「店舗やインターネット上で比較的安価に購入できる危険ドラッグに流れる若者が増えた」のです。
いわゆる「ハーブ」型の危険ドラッグは、もともとヨーロッパで「大麻の合法版」として青少年を中心に広まったものが、日本に伝えられ、2011年から12年にかけて全国で急速に広まったものです。当初は日本でも「大麻風」のイメージが濃厚で、最初にこれを広めたのは大麻使用経験のあるユーザーだったと思われます。
↑大麻事犯検挙者の年齢構成
警察庁が発表した各年度の「薬物・銃器情勢」のデータに基づいて私がグラフ化したもの
しかし、大麻検挙者の減少は短期で止まり、その後は低水準で安定しているところをみれば、大麻から乗り換えたユーザーは、それほど多いわけではなく、危険ドラッグ使用者のごく一部を占めているに過ぎないと思われます。
初期段階では、大麻からの乗り換えユーザーが中心だった危険ドラッグ市場は、やがて拡大するにつれ、薬物使用経験のごく浅い若年ユーザーを取り込み、さらに覚せい剤ユーザーをも巻き込みながら、急速にふくれあがっていきました。
しかし、危険ドラッグ市場もそろそろ大きな曲がり角にさしかかっています。急拡大した市場は、2012年半ばころをピークに縮小に向かい始めており、最近の徹底的な取締まりと乱用防止キャンペーンによって、若年層から順に、危険ドラッグから離れ始めているようです。
さて、危険ドラッグに見切りをつけたユーザーが、スムーズに薬物乱用から卒業してくれるのか、それとも覚せい剤や大麻に流れるのか、その後の流れが問題です。一人でも多く、薬物乱用から離れてくれるよう、治療や相談体制の充実を図っておかなくてはなりません。



