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- 2014年09月22日 10:10
iPhone6は、なぜ売れてしまうのか?「らしさ」という幻想
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アップルストアでiPhone6、6plusを触ってきた。しかし、激しく様子見することにした。一応、「一番いいやつを頼む」ということで、発売日前にdocomoのオンライン予約で6plusの128GBシルバーを予約した。ただ、これはキャンセルすることになるだろう。
まだ、アプリなどが最適化されていない(素人なので、詳しくないのだが、まずiOS8への最適化と、あの画面サイズへの最適化という2段階あるようだ)、この大きさは逆にどうなのか、デザインがださくないか、などの声がネット上でも散見された。そもそも、ジョブズが逝去した後の、Appleの新製品発表会は「驚きがなかった」「失望した」という声だらけだった。
にも関わらず、売れてしまっているようだ。
iPhone6、6Plusは空前のヒット!Apple噂まとめ(9/14~9/20)|Mac - 週アスPLUS
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/259/259802/
とのこと。
あくまでAppleからの発表ではあるが。
土曜日に表参道の、日曜日に銀座のアップルストアに行ったが、iPhoneのコーナーは大盛況だった。みんなが激しく触るからか、バッテリーは切れる寸前のデモ機も散見された。
これは、どういうことだろう?
iPhone6Plusから始まる本格淘汰の時代
http://tmtown.net/index.php/diary/17551/
富澤先輩のエントリーがいちいちしっくりきた。
要するに、イノベーティブなモノだとか、コトではなく、ベタなスペックの違いを求める時代になったのではないか、と。
なるほど。
iPhoneが出始めの頃よりも、スマホのユーザーの絶対数も増えている。サプライズも期待するけれど、ベタな性能アップが重要な時期だ。Appleに関しては(私はあの小さい画面がクールだと思うのだが)、画面が小さいというのはAndroid勢との大きな差だったわけで。
そもそも、「発表会でのサプライズ」などを始めとする「Appleらしさ」なるものは「ジョブズらしさ」と混同していたようにも思えるわけで。ただ、「ジョブズらしさ」というものの信者は多数いたものの、それによりかかり過ぎる経営は、株主を始めとするステークホルダーにとって危なっかしいものでもある。驚きはないものの、部品の進歩、ニーズの変化に合わせて、淡々と新商品を出し、それがそこそこ当たるというのも経営としては正しい。
これが、また、ここ数年、一消費者としてぼんやり考えていた、「企業とらしさ」の関係の話に見事につながっている。
よく「◯◯らしさ」という話がメディアに載る。それこそ、もはや業績悪化報道の常連になったソニーなどを見ていると、いつも考えてしまう。
メディアがよく使う(ブロガーもよく使う)、「ソニーらしさの復活が鍵」というテンプレがある。ソニーファンとして、同意するものの、果たしてそういうことなのか。
「ソニーらしさ」よりも何も、業績を回復させることが求められるわけで。こういう風に書く方は、「ソニーらしさがさえあれば、業績は必ず回復する」と思っているのだろうか。
そして・・・。ファンとして何度も書いていることだが、ずっとソニーを使い続けている立場から言うならば、クールでスタイリッシュでライフスタイルの提案をする商品を出すのがソニーらしさだとするならば、ちゃんとソニーらしいと思うのだが。このAppleのiPhone6が今のところ「売れてしまっているようだ」という状況を見ると、別にソニーらしさが業績回復に必ずつながるとも思えないわけだ。
「らしさ」というのは、呪縛のようなものでもある。そして、その変化・進化・深化もウォッチしなければならない。
先日、『リクルートという幻想』という、企業批評本を上梓した。これぞまた「らしさ」という幻想を描いた本だ。
もっと批判されるかと思ったら、意外にも現役社員、OB・OGからは好評のようだ。
ただ・・・。
営業力が劣化しているという話を書いたのだが、何人かから「それは戦略的劣化ではないか?」というご指摘を頂いた。なるほど。何人かのカリスマ営業マンが引っ張るよりも、顧客から見ると劣化しているように見えても、そこそこのスキルの人を、以前より安い年収で雇用し、オペレーションを効率化させる、商品自体をブラッシュアップする方が安定はする。株主から見ても危なっかしい企業ではなくなる。
もともと、リクルートの営業力というのは一人のカリスマ営業マンがいるかどうかではなく、組織的営業力が強いのではあったが。
これも「営業が強い企業」という「らしさ」に対する幻想だ。
利益、効率にこだわるという点では全くブレていないのだけど。
話が拡散してしまった。
要するに、「らしさ」を期待してしまうが、それは時に危なっかしいものになるわけで。
面白みもないけれど、ちゃんと買ってくれる。これもまた、評価しなくてはならないと思ったわけだ。もちろん、私個人は面白さを追う方なのだけど。
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余談だが・・・。iPhoneを見ようとAppleストアにでかけ、それがキッカケで買ってしまったのはbeatsのイヤフォンだった。Appleファミリーだな。そして、iOS8にして、アルバム・ジャケットが全部消えるというバグがあり・・・。それをキッカケにiTunes Matchを導入した。このヘッドフォンはクールだし、iTunes Matchも使ってみると、どこでもすべての音源を聴けるし、音質がよくなる可能性もあるしで驚きのあるものだった。
iPhone発売をきっかけとしたこういう消費も注目しなくては。
というわけで、素人の長い雑感だった。
売れてしまっているという現実を直視したい。うむ。
追記(22日10時20分):ご指摘を頂いたのだが、この「売れてしまっている」には、もちろん、キャリアの2年しばりも加担している。5からの乗り換え組が多数いることからも「売れてしまう」のだろう。メディアも2年くらいで買い換えると快適と煽る。まあ、2年くらいすると、バッテリーも厳しくなるし、OSの進化にハードが耐えられなくなると感じたりもするのだが。「売れてしまっている」を論じる際に大事な論点なので加筆しておく。
アップルストアでiPhone6、6plusを触ってきた。しかし、激しく様子見することにした。一応、「一番いいやつを頼む」ということで、発売日前にdocomoのオンライン予約で6plusの128GBシルバーを予約した。ただ、これはキャンセルすることになるだろう。
まだ、アプリなどが最適化されていない(素人なので、詳しくないのだが、まずiOS8への最適化と、あの画面サイズへの最適化という2段階あるようだ)、この大きさは逆にどうなのか、デザインがださくないか、などの声がネット上でも散見された。そもそも、ジョブズが逝去した後の、Appleの新製品発表会は「驚きがなかった」「失望した」という声だらけだった。
にも関わらず、売れてしまっているようだ。
iPhone6、6Plusは空前のヒット!Apple噂まとめ(9/14~9/20)|Mac - 週アスPLUS
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/259/259802/
Appleの発表によると初日の予約数が400万台を突破と過去最高の滑り出しのようです。
とのこと。
あくまでAppleからの発表ではあるが。
土曜日に表参道の、日曜日に銀座のアップルストアに行ったが、iPhoneのコーナーは大盛況だった。みんなが激しく触るからか、バッテリーは切れる寸前のデモ機も散見された。
これは、どういうことだろう?
iPhone6Plusから始まる本格淘汰の時代
http://tmtown.net/index.php/diary/17551/
富澤先輩のエントリーがいちいちしっくりきた。
要するに、イノベーティブなモノだとか、コトではなく、ベタなスペックの違いを求める時代になったのではないか、と。
なるほど。
iPhoneが出始めの頃よりも、スマホのユーザーの絶対数も増えている。サプライズも期待するけれど、ベタな性能アップが重要な時期だ。Appleに関しては(私はあの小さい画面がクールだと思うのだが)、画面が小さいというのはAndroid勢との大きな差だったわけで。
そもそも、「発表会でのサプライズ」などを始めとする「Appleらしさ」なるものは「ジョブズらしさ」と混同していたようにも思えるわけで。ただ、「ジョブズらしさ」というものの信者は多数いたものの、それによりかかり過ぎる経営は、株主を始めとするステークホルダーにとって危なっかしいものでもある。驚きはないものの、部品の進歩、ニーズの変化に合わせて、淡々と新商品を出し、それがそこそこ当たるというのも経営としては正しい。
これが、また、ここ数年、一消費者としてぼんやり考えていた、「企業とらしさ」の関係の話に見事につながっている。
よく「◯◯らしさ」という話がメディアに載る。それこそ、もはや業績悪化報道の常連になったソニーなどを見ていると、いつも考えてしまう。
メディアがよく使う(ブロガーもよく使う)、「ソニーらしさの復活が鍵」というテンプレがある。ソニーファンとして、同意するものの、果たしてそういうことなのか。
「ソニーらしさ」よりも何も、業績を回復させることが求められるわけで。こういう風に書く方は、「ソニーらしさがさえあれば、業績は必ず回復する」と思っているのだろうか。
そして・・・。ファンとして何度も書いていることだが、ずっとソニーを使い続けている立場から言うならば、クールでスタイリッシュでライフスタイルの提案をする商品を出すのがソニーらしさだとするならば、ちゃんとソニーらしいと思うのだが。このAppleのiPhone6が今のところ「売れてしまっているようだ」という状況を見ると、別にソニーらしさが業績回復に必ずつながるとも思えないわけだ。
「らしさ」というのは、呪縛のようなものでもある。そして、その変化・進化・深化もウォッチしなければならない。
先日、『リクルートという幻想』という、企業批評本を上梓した。これぞまた「らしさ」という幻想を描いた本だ。
もっと批判されるかと思ったら、意外にも現役社員、OB・OGからは好評のようだ。
ただ・・・。
営業力が劣化しているという話を書いたのだが、何人かから「それは戦略的劣化ではないか?」というご指摘を頂いた。なるほど。何人かのカリスマ営業マンが引っ張るよりも、顧客から見ると劣化しているように見えても、そこそこのスキルの人を、以前より安い年収で雇用し、オペレーションを効率化させる、商品自体をブラッシュアップする方が安定はする。株主から見ても危なっかしい企業ではなくなる。
もともと、リクルートの営業力というのは一人のカリスマ営業マンがいるかどうかではなく、組織的営業力が強いのではあったが。
これも「営業が強い企業」という「らしさ」に対する幻想だ。
利益、効率にこだわるという点では全くブレていないのだけど。
話が拡散してしまった。
要するに、「らしさ」を期待してしまうが、それは時に危なっかしいものになるわけで。
面白みもないけれど、ちゃんと買ってくれる。これもまた、評価しなくてはならないと思ったわけだ。もちろん、私個人は面白さを追う方なのだけど。
画像を見る
余談だが・・・。iPhoneを見ようとAppleストアにでかけ、それがキッカケで買ってしまったのはbeatsのイヤフォンだった。Appleファミリーだな。そして、iOS8にして、アルバム・ジャケットが全部消えるというバグがあり・・・。それをキッカケにiTunes Matchを導入した。このヘッドフォンはクールだし、iTunes Matchも使ってみると、どこでもすべての音源を聴けるし、音質がよくなる可能性もあるしで驚きのあるものだった。
iPhone発売をきっかけとしたこういう消費も注目しなくては。
というわけで、素人の長い雑感だった。
売れてしまっているという現実を直視したい。うむ。
追記(22日10時20分):ご指摘を頂いたのだが、この「売れてしまっている」には、もちろん、キャリアの2年しばりも加担している。5からの乗り換え組が多数いることからも「売れてしまう」のだろう。メディアも2年くらいで買い換えると快適と煽る。まあ、2年くらいすると、バッテリーも厳しくなるし、OSの進化にハードが耐えられなくなると感じたりもするのだが。「売れてしまっている」を論じる際に大事な論点なので加筆しておく。