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原発再稼働なら最悪苛酷事故の想定を

 安倍政権は原発を再稼働させる方針でいる。安全対策を充実したら「合格」なのだそうだ。それでも苛酷事故の際の避難計画は必要になる。安全に絶対はないからだ。吉田調書問題でも明らかになったが、福島原発事故は、全員退避せざるをえない破滅状態まで視野に入れなければならないほどの危ない瀬戸際だった。曲がりなりにも「制御」可能な状態で納まったのは、幸運と言うほかはない。

 新しい安全基準でも、当然に苛酷事故は想定しなければならない。地震や津波への対策は取られたようだが、危険なのは自然災害だけではない。飛行機事故、テロ、戦争などさまざまあるが、話を簡単にするために、たとえば巨大隕石の落下でもいい。とにかく格納容器が破壊され、核燃料プールの冷却も切れた場合には、電力社員も自衛隊員も、アメリカ軍の特殊部隊であっても、人間が近づくことは不可能になるだろう。

 複数の原子炉が同時に破滅したら、チェルノブイリのように、ヘリコプターでコンクリートを投下して「石棺」処理できる範囲には納まるまい。核燃料は、溶融しても必ずおとなしくメルトスルーして地下に入って行くものなのだろうか。何らかの爆発を起こすか、そうでなくても青天井なら、大量の放射性物質を拡散しつづけるに違いない。これは世界の危機になる。

 その際には、たとえば水爆を投下すれば、核燃料の放射性物質の大半を「焼却処分」できるものなのだろうか。それで少しでも危険性が小さくなるのなら、水爆の使用も考慮しなければならないかもしれない。そういう研究も当然に行われているとは思うが、日本の一般には知らされていない。考えられる最悪の苛酷事故になった場合、日本列島の面積のうちで、居住可能地として残るのは、どの程度になるのか、ぜひ知りたいと私は思う。

 今後40年ほどの間に、日本でそのような事故が起きる確率は、おそらく小さいものだろう。しかし原発を使い続けるのは、そういう最悪の事態をも想定しなければならないほどの勇気を必要とする決断だということを、知っていなければならない。政府には、そんな覚悟はないだろう。規制委員会の判断を尊重しますと言うだけに決まっている。

 たかが電気を作るために、国が丸ごとで賭けに使われようとしている。最悪のケースでも国民を守るのが政府の役目なのに、その責任を放棄している。私たちは、こういう政府の下にいるということを忘れないでいよう。

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