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OKマガジン(Vol.319)2014.9.15

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今日の大手紙1面トップ記事の見出しは「ママ世代74%労働力に」「景気回復を受け過去最高」。共働きしないとやっていけないという側面もあると思いますが、偏った見出しです。誤報する新聞は論外ですが、偏向・提灯持ちの新聞も論外。新聞の未来が案じられます。

1.焦りと綻び

先週(8日)発表された第2四半期(4月から6月)の実質GDP(国内総生産)は年率マイナス7.1%。速報値(マイナス6.8%)が下方修正されました。

設備投資が前期比マイナス5.1%と大幅下方修正(速報値はマイナス2.5%)されたことが数字上の主因ですが、要するに消費税率引き上げの影響です。

異次元緩和及びそれに伴う円安の影響で物価が上昇している一方、名目賃金は思ったほど上昇せず、結果的に実質賃金は13カ月連続のマイナス。

実質賃金のこうした傾向は、消費や住宅投資には明らかにダメージ。7月の新設住宅着工戸数は前年比マイナス14.1%の大幅減。第3四半期(7月から9月)の出鼻を挫(くじ)かれた格好です。

こうしたデータとは裏腹に、新聞やテレビは概ね「景気は堅調」「消費税率引き上げの影響は軽微」という論調を継続。違和感があります。

現に所得が上がった人はいます。株価上昇で株式保有者の購買力が向上したことも、大手輸出企業の業績が改善したことも事実。明暗両面があります。要するに人や企業、分野によって受止め方は区々(マチマチ)です。

こういう時は、僕の日銀時代からの経験上(実感として)、総じて冷静かつ客観的に総合評価している海外メディアの論調が参考になります。

4日の米国WJ(ウォールストリート・ジャーナル)紙は、日本では「実質賃金が年率マイナス3%、可処分所得が同マイナス6%減少」と報じ、先行きに懸念を示しています。

11日の英国FT(フィナンシャル・タイムズ)紙は「日本の労働市場は歪んでおり、非正規・低賃金労働の増加によって雇用の二極化が進行。結果的に賃金は上がらない」と論評。

上記報道の同日、黒田日銀総裁が気になる発言を重ねています(以下、かっこ内補足を含め、新聞記事のママ)。

まず4日。定例記者会見で次のように言及。曰く「(再増税で景気が悪化する事態に陥っても)財政・金融政策で対応できる」「財政健全化の意思が市場から疑念をもたれると、政府・日銀として対応のしようがないということになりかねない」。

日銀総裁というよりも財務事務次官(というより「大蔵事務次官」)の発言を聞いているようです。

次に11日。安倍首相と黒田総裁が突然会談。会談後、黒田総裁は記者団に次のようにコメント。

曰く「2%の物価(上昇率)目標達成が困難になれば、躊躇なく追加緩和であろうと何であろうと金融政策の調整を行うと(首相に)お話しした」。

さらに同日夜のテレビ番組に生出演し「追加的措置の限界があるとは思わない」と発言。既にマイナス金利での短期国債オペという「超」異次元緩和措置に染手し始めた中で、固唾(かたず)を飲んでしまう内容です。

沈着冷静でポーカーフェイスのマジシャンというイメージを市場や国民に与え続けていた黒田総裁の発言に、やや焦りと綻びを感じてしまうのは思い過ごしでしょうか。

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