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幼児期の困った行動への関わり方【前編】裏側にある子どもの気持ちを考える - 帆足暁子

「この子はなぜ言うことをいつも聞かないのだろう」「ダメだと言うことをなぜわざわざするのだろう」など、幼児期になるとお子さまの行動に悩まされる保護者も多いようです。そこで、今回は幼児期の困った行動への関わり方について、世田谷子どもクリニック副院長であり、臨床心理士の帆足暁子先生にお話を伺いました。

幼児期の特徴

幼児期の特徴は、保護者にべったりと依存していた時期から、保護者との愛着関係を基盤にしながら、徐々に自立していくことにあります。愛着とは、保護者などの養育者と子どもの間に生まれる心の絆のことです。身近な人たちの愛情を感じることで育つ情緒の安定と保護者への信頼感は、「生きる力」の基礎となります。この愛着関係が確かなものとなると、養育者を「安全基地」にして、そこから少しずつ、対人関係を広げていくことができるのです。たとえば、お友達とけんかをして悲しくなっても保護者に支えてもらえれば、気持ちを落ち着かせて次の日は「また、お友達と遊びたい」という意欲につながるのです。

そのため幼児期は、0~2歳でどのように保護者に育てられてきたかが、子どもの言動によく表現される時期でもあります。十分に愛着関係を築けたお子さまは、自己肯定感を身に付けることができ、自分の能力をいかんなく発揮することができるようになります。自立に向けて食事・着替え・遊びなどさまざまなことが自分でできるようにもなっていきます。

不安定な愛着関係が困った行動を引き起こす

一方、十分に保護者との愛着関係を築けていない場合、問題行動を起こしてしまう場合があります。近年、幼稚園や保育園の先生たちと話していて特に気になるのが、「相手の気持ちを理解しようとしないお子さま」です。たとえば、保育園でお友達とのトラブルが多かったり、保育者から何度注意されても行動を修正できなかったり。そうした行動をとってしまう理由はいくつか考えられるのですが、その多くが自分の気持ちを十分に聞いてもらった経験が少ないことが原因ではないかと感じています。

授乳時に目を合わせず、スマホばかりを見ている。お子さまをあやすのにスマホのアプリばかりを使う。お子さまが話しかけてもお子さまの話を十分に聞かない。このように、赤ちゃん時代から「自分のことを誰も見ていない」「自分の気持ちを誰にも聞いてもらえない」という経験をしていると、心の絆ができていないので、第1次反抗期に過剰に保護者を困らせる行動を起こすようになるのです。近年、こうした不安定な愛着関係にあるお子さまが全体の1/3もいると言われています。

上記に挙げた以外にも、お友達をすぐたたく、ひんぱんにかんしゃくを起こすなどの困った行動をしてしまう場合、そのお子さまの心が傷ついている可能性があります。そのサインに気付くことがとても大切です。

困った行動の裏側にある子どもの気持ちを考える

お子さまが困った行動をした場合、その子なりの理由が必ずあります。「そんなことをしたらダメでしょ。家の外で立っていなさい」とお子さまを従わせ、一時的に行動が収まったとしても、それはその時従わされただけのこと。お子さまは自分の気持ちを聞いてもらえていないため、なぜ駄目なのかを理解できずに、また同じことを繰り返してしまいます。

なぜ、その行動をしているのか、子どもの気持ちに寄り添い、言葉に出してほしいと思います。「本当はこうしたかったの?」「これが嫌なのね」と子どもの思いを言葉にして確かめて、「あなたの気持ちはわかる」と共感してあげることが大切です。たとえば、ブロックで遊んでいるときに、いきなりお子さまがかんしゃくを起こしたとしましょう。「がんばって作ろうと思ったのに、うまくできなかったから、悔しかったんだよね」と、お子さまの気持ちを推測して、代弁するのです。するとお子さまは、怒りながらも、「このぐちゃぐちゃした気持ちは『悔しい』という気持ちなんだ」と自分の気持ちを理解できるようになります。すると次に同じような場面に出会ったとき、「自分もA君のように作りたかったけれど、できないから悔しい」と自分で気持ちを伝えられるようになっていきます。

幼児期は保護者に反抗していても、保護者のことが大好きですので、親子関係を修正しやすい時期だと言えます。しかし、小学校に行くと、大人だって間違ったことも言うし、保護者の言うことを聞かなくても大したことはないと思い、親子関係の修復により時間がかかってしまうことがあるのです。困った場合の対応策がわかっていけば、就学後もスムーズな親子関係が築けるはずです。

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