- 2014年09月12日 12:41
ライブの予約も、会場でのドリンク購入もできる「WillCall」
1/2あなたはインディーズバンドに興味はあるだろうか。メジャーなミュージシャンのライブに行くのも楽しいが、中小規模のライブハウスで音楽を聞くのもまた楽しいものだ。
中小規模のライブハウスやイベント会場内にはバーカウンターがあって、そこでお酒などの飲み物を買って、音楽を聞きながら楽しめるのも魅力のひとつだ。
しかし、このバーカウンターには人が殺到することが多く、なかなかドリンクを買えないという弊害もあるようだ。通常、バーはステージから離れた所にあるため、並んでいる間にお目当てのバンドの演奏が始まってしまうなんてこともある。
本日ご紹介する「WillCall」は、そうしたライブ会場の混雑を解決するために生みだされたアプリだ。元々はチケット購入やアーティスト情報を扱うアプリだったが、徐々にイベント会場を過ごしやすくするための機能も追加されていった。
2014年1月時点までにSean Parker氏、Universal Music Group、Coran Capshawなどから、総額200万ドル(約2億円)以上の投資を獲得した。さらに、会場、アーティスト、プロモーター、客をつなぐのに盤石な体制を取ろうとする同サービスはThe New York Times、Tech Crunch、Billboardbizなど、多くのメディアに取り上げられている。
チケット販売だけでなく、ドリンクの支払いもできるアプリ
WillCallは情報の提供やチケット購入、イベント会場の入場やバーでのドリンク購入まで、ライブイベントに関するサービスを包括的に提供するアプリだ。ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスで開催される500人〜1000人規模のライブイベントを主に扱っている。
アプリに掲載されているアーティストやイベントはWillCallがキュレーションしたもの。利用者はこの中から2週間以内に開催される音楽イベントやショー、ライブのチケットを買うことができる。なお現在のところ、支払いはクレジットカードのみに対応しているようだ。
規模の小さなライブイベントの参加者は、1週間前など、直前にチケット購入を決める人が多い。そのためWillcallは思い立ったときにすぐ購入できるようにと、モバイルアプリに特化し、元の価格と割引価格、会場情報や地図など、購入を決定するのに必要な情報を掲載している。
また、facebookと連携することで、友人がどこかのイベントのチケットを購入したかを確認したり、チケットをプレゼントする機能も設けた。ライブなど、夜のイベントに1人で行く人は少数であり、SNSを通して友人や知り合いを気軽に誘うことができるのが特長だ。
WillCallはまた、イベント会場内でアプリを起動させることで、各種手続きを簡略化することもできる。同アプリを起動させた状態でイベント会場の入口に近づくと、スタッフが持つiPadが自動で認識。口頭での確認作業だけで入場を行えるという。
同様にアプリを起動させたままバーに近づき、バーテンダーに注文を伝えるだけで良い。後はドリンクを受け取った後に自分の名前を告げるだけで、バーテンダーの方で会計作業を行ってくれる。
このときバーテンダーは、バーに設置されているiPadにBluetooth Low Energy(以下、BLE)を通して客の情報が送信されるため、表示されたリストの中からその客の名前と、金額を入力することで、会計を完了させる。
会計が済むと顧客のスマートフォンに金額確認の通知が届く。この際、アプリ上からバーテンダーにチップを支払うことも可能だ。購入したドリンクは、イベント終了後に顧客のクレジットカードに一括請求され、メールで請求書が届くという。
なお、BLEの接続が悪くてiPadに顧客の情報が表示されない場合や、アプリを起動せずにバーへ行ってしまうこともある。その場合はその場でアプリを起動してバーテンダーに身分証明書を見せればバーテンダーがリスト上から自分の名前を探してくれるとのことだ。
実はライブイベント会場の収入の70%は、客がバーで購入するドリンク代だという。ここで人がごった返し、流れが止まってしまうと、収益に与える影響も大きい。
そこでこのアプリがあることで、バーテンダーがカウンターとレジの間を行き来する回数が圧倒的に減り、顧客の待ち時間も減る。支払いが簡単で時間がかからないことで、顧客がドリンクを買う回数も増えやすくなる。ライブイベント会場にとっても価値のあるサービスを提供できていることが、このアプリの大きな強みだ。