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コミュニティサイトのあるべき姿 粉川一郎氏インタビュー3

■現実とネット社会の議論  内政干渉させない

−今までのお話を伺っていると、先生のお考えは、ネットと現実の境がなくなるというお話ではなく、より分離した方が良いということなんですね。現実社会の人もネットの中に入って議論しましょうよということかと。

「現実社会の人は内政干渉するな」といことです。ただ、そこまで偉そうなことを言うならば、コミュニティサイトのあり方は多様化する必要があるでしょう。井戸端会議的なものからネットの事全体を議論していきましょうというような、将来、議会的なものになりうるものまで、様々なセグメントのコミュニティサイトが必要になります。ただ注意しなければいけないのは、まじめに議論するところが素晴らしくて、他がダメだという話ではなくて、議員になってそういうところで議論する人もいれば、井戸端会議する人もいる。そういう多様性は重要だと思います。その上でそうした議論の場が重層的に構築されてそれぞれがそれぞれにあった運営をされているというレベルまで成熟しないと、リアル社会の人に「内政干渉するな」とは言えないですね。

 ただ、そうした運営のあり方をどのように作っていけるかが大切ですよね。このコミュニティは、こういう考え、管理の方法で運営していますというサイトのポリシーが明確になっていることと、それを支えていく管理者の存在が重要になってきますね。特に管理者は一人で何かをしているのではなく、多様な立場の人材がコミュニティを管理、あるいはファシリテートしているんだよってことが、きちんとユーザーに伝わっていくことが大切だと思います。それが提示された上で、ユーザー側がどういうコミュニケーションなりコミュニティをその場で期待できるのかをきちんと判断できることが大切です。

 入っていって、登録するかどうか、やってみて初めて状況が見えてくるのではなく、自分がコミュニケ―ションとりたい、自分はつぶやきたいと思った時にネットのどの場で行っていくと自分に合ったものに出会えるのか、それがある程度最初に分かるようにコミュニティの構造というものを最初に示されてほしいと思います。そういうコミュニティには構造の違いがあるんだよということをそもそも人々に分かってもらわなければいけない。

たとえば同じ匿名でも匿名性には5つの段階があると、私は言っているんですけど、全く名乗らないケース、匿名でハンドルネーム等は名乗るけど、人格の同一性はシステムが保障していないから、システムが担保しているケース、実名を人質にとっており、それがクレジットカード番号、住所等で確認されているケース、されていないケースと分けている。匿名性といっても実は段階があってそれぞれリスクが違うわけですよ。じゃあ、ユーザーはどのリスクをとれば、どういうコミュニケーションができるかを最初に知らされるべきだし、そうしたことが基礎知識として位置づいていくべきなんです。

−そういうことをコミュニティサイト側あるいは管理者も学ばなければならないと思いますが、体系的に学ぶ場がないんじゃないかと感じているんです。

 横のつながりが必要でしょうね。コミュニティサイトを作っている人たちの間で、自分たちがやっていることは実は、金儲けではなく、現実社会にいる人々を、ネットという新しい社会の一員になってもらう仕事をしている、言うなればそうした社会の変革をする一翼を担っているんだという意識を持った上で、お互いに切磋琢磨できるような横のつながりが必要でしょう。他のコミュニティサイトはライバルだけど共有するべきものもある。そこら辺の仲間意識ですね。コミュニティサイトを提供する人は、ネットで新しい場、価値を生み出す開拓者であるということはぜひ共有してもらいたい。今、この協議会なんかは一つの役割を担うことになると思うんですけれど。

−そうですね、ぜひ努力を続けたいと考えています。先生のお話のように、現実とネットを切り離すとどんな風になっていくのでしょうかね?企業はネットとリアルの場、両方に存在するわけですよね。そのあたりはどうなっていくのかなと。

 私なんかはこの業界ではおじいちゃんになっちゃうわけですよね。マイコンブームの頃からのユーザーなわけで、ネット的なもののキャリアが30年ありますからね。そういう意味では30年前の視点から逃れきっていない。今こそあの時代の理想を取り戻す時だ、とか言っている訳ですよ。やっぱりおじいちゃんです。だから、現実とネットとをどうしても切り離して、ネット上に新しいユートピアを、という方向になってしまう。そこは、まあ、新しい人が新しい視点でどんどん議論をしてもらいたい。そういう議論をする場を作るべきだと思います。

(鎌田真樹子 GrowingTree Evangelist)

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