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これからの学校におけるICT教育について 〜熟議カケアイでの取り組みを通じて〜 2

■(2)教育の情報化 電子教科書について

−教育の情報化、特に電子教科書についての注目が集まってきおりますが、電子教科書についてはどうお考えですか。新たな端末が登場することで教育に作用してくることとはどのようなことでしょうか。

電子教科書の取り組みについては、昨今、取り上げられる機会が増えています。この電子化については教科書、教材のデジタル化、つまりソフトの話であって、端末の話と混同してしまっているところがあります。中にはアンチキャンペーンを行っているようなところも見られますね。

この教育の情報化については、私は15年ほど取り組んでいまして、そろそろ浸透してきたかと思っていましたけど、まだまだ、電子化に取り組んできた人とそうでない人のギャップというものがあると感じます。むしろ逆に、こちらが進んでいる分、改めて乖離は広がっているようにも見えます。繰り返し、繰り返し伝えていかなきゃいけないのかなと。

僕らの側から言うと、目指すところは教育の情報化で、ICT化ではないのです。教育という公共サービスを実施していく上で、その教育の質を良くするために、多様な情報を、多角的に収集して、それを編集してよりきめ細やかなカスタマイズされた教育サービスを行っていくという、ある種のインテリジェンスを上げるという話なんですね。それをやろうと思えば当然、ツールとしてICTは必要不可欠です。

例えば、 CRM(Costumer Relations Management)という考え方がありますね、それをStudent Relations Management(以下、SRMと略)を我々はやりたい、つまり学習履歴、活動・生活履歴を収集し、カスタマイズを行っていきたいとなるわけですね。

僕が一番気に入っている例は、愛知県小牧市で行われている「いいとこみつけ」という20ページの通知票です。担任の先生だけでなく、全教員から、その子についての広汎な情報を収集して、20ページ分が学期ごとに親や子どもにフィードバックされる。すごいでしょう。結局、情報の質量があがると信頼が生まれるんです。まず親は信用しますよね。子どもも同じく信用が生まれる。自分のことをこんなにも書かれた通知票が20ページきたら率直にうれしいですよ。厳しい内容でもよく見てくれた結果のコメントですから納得して、次がんばろうと思いますよね。

このようなSRMや学校Webの充実化を行うことで、学校の教育に対する信頼を獲得できるわけです。情報を集めるということは非常に重要なんですね。だから、電子教科書だけでなく、教育の情報化というのを再度、考えてみたいというのが僕のスタンスです。教育において、あらゆる事に関して広汎な情報を収集して、ソリューションに導いていく。

今、お話ししたことは、校務の一環の話ですけど、子どもの学習環境においてもサービスのクオリティを上げていくためにはカスタマイズしていくということが重要になるわけですね。もちろん、動画や検索(年表や地図)などでのデジタル教材の有効性はいうまでもありません。教師用では、板書の時間も省けます。

マイ教科書、マイ学習履歴を作る、これはネットの世界では当たり前のことですね。子どもたちは、それぞれ学び方のスタイルが違う。視覚から入った学習方法、聴覚から入る方法とパターンが異なるんです。もちろん複合的な方法が良いわけですが、そのパターンに応じて教材も学習環境もカスタマイズできるということを目指していきたいのです。当然、ICTがなければ、そういった事はできないわけですね。要するにコンポーネント化して、ベストカスタマイズしていくことで、コストを下げバリューを上げる。これは経営情報学上では当たり前の話なんです。

そういった中で、改めて大事なことは教員の力ですね。教科書のデジタル化についても現場の教員のバックグラウンドをどうするのか。教員を孤立させるのではなく、情報的にサポートして、教材もカスタマイズできるといったことで、子どもにとって良い環境を作っていきたい。もちろんクラウドで教材を配信していきたいということもあります。

次号に続く

(鎌田真樹子 株式会社魔法のiらんど 安心安全インターネット向上推進室 室長)

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