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安倍政権に死角はないのか

 第二次安倍改造内閣が3日に発足した。谷垣氏を幹事長に就任させ、幹事長職から外した石破氏を入閣させた。党内に影響力のある谷垣氏と石破氏を取り込むことで、来年の自民党総裁選でも安倍総裁の続投の可能性が高まった。野党の弱体化もあるが、自民党の強さが際立ち、アベノミクスや外交、さらにはオリンピック招致なども加わり、勢いに乗っている安倍政権の基盤はさらに強まったかのように見える。ここに死角はないのであろうか。

 外交や集団的自衛権の問題等もあるが、ここではアベノミクスとも呼ばれるものに焦点を当ててみたい。今後のアベノミクスの行方を占う上で注目すべきポイントが2つある。消費増税の行方と日銀の金融政策である。

 来年10月に予定されている消費税率10%引き上げをどうするのか。安倍首相は11月に公表される7~9月期の実質GDPの速報値を判断の材料にすることを示している。1~3月期の反動よる。4~6月期の落ち込みは予想以上に大きく、その余波が7~9月期にも影響を与えるとの見方がある。回復はするものの、回復度合いは鈍いとの見方である。むろんマイナス成長とかになれば、増税見送りの可能性は強まるが、どの程度の鈍さならば、消費増税を見送るのか、そのあたりははっきりしていない。

 麻生財務相は財政再建にはあと2%増税というものをやらなければならないと述べてはいるが、来年の統一地方選挙も控え、増税そのものを先送りさせる可能性は意外に高いのかもしれない。興味深いことに、財政の動向に気を配っているはずの債券市場の関係者も、10%の消費増税は難しいのではと見ている向きも意外と多いようである。つまりこれはもし10%への増税が見送られても、債券市場ではある程度織り込み済みという認識となる可能性を示している。

 安倍政権としても選挙を見据えれば、消費増税は先送りさせ、むしろ減税策を含めて経済対策に打って出たいところであろう。足元の景気回復が鈍いとなれば、麻生財務相も景気回復を優先させてくる可能性がある。ここで少し困るのが日銀となる。

 日銀の黒田総裁は黒田東彦総裁は今年4月の消費増税と同様、来年の10%への消費増税についても予定通り実施することを政府に求める意向とされている。増税で景気が落ち込んだ場合は日銀には対応の余地があるものの、 増税先送りで財政再建に対する信認が揺らいだ場合はやれることはほとんどない、という姿勢を取っている。

 増税見送りで果たして長期金利は急騰するのか。この点については債券市場関係者の間でも、すでに見送りの可能性も意識されている。実際に増税延期で長期金利が急上昇するのであれば、その兆候はすでに見えていてもおかしくはない。その兆候が見られないということは、消費増税見送りによる債券市場への影響は限られるとみて、おかしくないのかもしれない。黒田総裁が気にしすぎということになろうか。

 ただし、国債や円の信用が何かしらのきっかけで失墜するというリスクは常にある。そのきっかけに消費増税見送りがならないとは言い切れない。あくまで可能性は薄いということになる。日銀がさらなる追加緩和を実施してきたときも、そのきっかけになる可能性はある。

 日銀のシナリオ通り、物価は目標に向かって上昇し、賃金の上昇もあり、さらに消費増税も予定通りに実施されるとなれば、問題は起きないかもしれない。しかし、そのシナリオが崩れた際に何が起き、政府や日銀は何をしてくるのか。現在の国債市場はかなり強固となっている。しかし、いったんマインドが変わりだすと相場が急変することも十分ありあることも、認識しておく必要がある。

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