記事

公務災害申請は、私に課された使命 - 「山形労働局でセクハラ 近く懲戒処分」を読んで

いかに多くの罪悪が《国家のために》という美名の仮面のもとになされたことか
‐James Ramsay Macdonald


以前私は、「私が公務災害を申請したわけ-(1)」を書きました。
http://kimuramoriyo.blogspot.com/2011/03/1_07.html

つい先日の新聞報道を読み、改めて公務災害申請は私に課された使命だと確信いたしました。
厚労省の地方労働局内で起きた、8年にもわたるセクハラ事件(性的暴行を含む)で加害者の男性職員らは、セクハラを認めて慰謝料まで支払っているというのに被害者女性が厚労省に対して行った公務災害の申請(セクハラによるPTSD発病)については審査に4年もかかったうえ、挙句の果て、却下されたというのです。

さらにたちの悪いことに、厚労省は「セクハラによるPTSDの公務災害補償は前例がなく、審査に時間がかかった」と労災を所管する省庁とはとても信じられないような言い訳をしています。

セクハラ問題に詳しい弁護士も「労働局でのセクハラは聞いたことがない。民間を指導しているのに足元の啓蒙、指導ができていないのではないか」と指摘しています。

【出典】山形労働局でセクハラ 近く懲戒処分 2011年06月04日 朝日新聞
http://mytown.asahi.com/yamagata/news.php?k_id=06000001106040002

セクハラ・パワハラ等を防止し、職場のメンタルヘルス向上をつかさどる監督官庁は
厚生労働省です。

この記事は、極めて重要な社会問題を提起しています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


近年、自殺対策の一環として、職場のメンタルヘルスの重要性が重視され最前線で担当する厚生労働省でも、下記のホームページにありますように労災認定で、精神疾患発症の原因として、セクハラやパワハラ(上司によるいじめ)をより重視する立場をとっています。

●セクシュアルハラスメントによる精神障害等の業務上外の認定について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/090316f.pdf

●上司の「いじめ」による精神障害等の業務上外の認定について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/090316g.pdf


改めて強調いたしますが
地方労働局は、民間職場にセクハラ防止を呼びかけたり
一般企業の労働者からの労働災害(労災)申請について、審査を担当するところです。
そこで、セクハラが8年間という長期にわたって持続してきたこと自体
由々しき重大問題です。

それだけでなく、精神疾患(PTSD)を発症した女性が
厚生労働省に、公務災害(民間では労災)申請し
その調査決定に4年もの長い時間が費やされました。
その上、公務災害は認められませんでした。

厚生労働省は「審査に(4年もの)時間がかかった」と言い訳していますが民間での労災については、下記の通り(※)「審査の迅速化」を地方労働局に対して指導しています。

このダブル・スタンダードは、一体全体どういうことなんでしょうか。

(※)
「2010年10月15日 第1回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会議事録
労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室」において
担当者が以下のように発言しています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000014ugu.html

「幡野職業病認定対策室長補佐 
(略)  この労災請求件数については、・・・今後も増加が見込まれる状況にある。
このような状況の下で、精神障害の事案の審査には平均して約8.7か月の期間を要し
また、その審査に当たり行政においては莫大な事務量を費しているところである。」

「精神障害の事案に対する早期の労災認定は、厚生労働省の自殺・うつ病等への対策の一環としても位置づけられる等労災請求に対する審査の迅速化を進めることが不可欠となっている。」


一般企業の労災申請では、審査結果がでるのに「8.7か月」かかり厚労省は、それでは「長すぎる」ので、審査の迅速化」が不可欠と言っています。
一方で、自らのお膝元では、その約5倍にあたる「4年」という非常に長い時間をかけて、「非常に丁寧に」審査をしているようです。

この事は、厚労省内部での「職場のメンタルヘルス」に関する認識がいかにお粗末なものであるか、を示しています。

繰り返しになりますが「民間を指導しているのに、足元の啓蒙、指導ができていないのではないか」と言わざるをえません。


この女性は、公務災害申請とは別に
加害者である男性職員を相手に訴訟を起こしています。
http://mainichi.jp/area/yamagata/news/20110605ddlk06040044000c.html

2009年に和解が成立し、加害者である男性職員らは謝罪し、慰謝料を払い、さらに今回懲戒処分も受けることになりました。

2009年に和解が成立しているのに、さらに1年以上もかかってようやく先月、公務災害申請の調査結果が出た、というのです。

これはどういう意味かと言うと「セクハラは事実なのに、公務災害は認定されなかった。でも懲戒処分はする」ということです。

とても、不思議な理屈なのですがなぜ、このような結末になったのかと言えば
以下のように推測されます。


女性が起こした訴訟では、加害者男性らを相手どって訴訟を起こします。
裁判ですから、事実認定は裁判所の役目であって、厚労省自ら行う必要はありません。

ところが、公務災害の審査は、厚労省が自ら内部の調査をしなければなりません。
何しろ「セクハラ・パワハラはいけません」の監督官庁ですからこのような事実が身内で起こっているという事実を認めたくなかったという、身内意識が働いたのではないか、そして「4年」という超長時間の時間稼ぎをしている間に被害者女性が公務災害の申請を取り下げてくれるのを待っていたのではないか

そんな風に考えざるをえません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私が何故、この記事を取り上げたのかと言えば自分自身も、職場からの「ひどい嫌がらせ・無視」を経験し、精神を病んだからです。
そして、厚労省に対して「公務災害申請」をしたものの杜撰な対応で、審査もされないまま、正当な理由がなく突き返されたからです。

ここでも、「公務災害申請をさせないぞ」という「嫌がらせ」が起きているのです。 
(なお、その後、制度に則り、人事院に審査の申し立てをしたところです。)

今回の記事のように、セクハラ・パワハラにあって精神を病んでつらくても声をあげられない、良識ある普通の公務員は少なくないと思います。
彼らたちが何故、セクハラ・パワハラ、嫌がらせの対象になるのでしょうか。


理由はさまざまあるでしょうが、その一つとして、確実に私の体験から言えることは「国益を考えて正しい意見表明する」者に対する制裁的意味合いがある。これは疑いようがありません。

一部の高級官僚たちが、自分たちの既得権益を守るため
天下り等を繰り返す事例により
公務員に対する世論の視線は厳しくなっています。
こうした「悪徳官僚」はごく一部に過ぎませんが、彼らはその優越的地位(省庁の幹部)ゆえに「強大な権限」を握って自らに反対する、部下からの健全な意見を、ことごとく潰しにかかっているというのが事実ではないでしょうか。

真に、国民を考える公務員が、自由に声をあげられるようにする事が本当の意味での「公務員改革」なのだ、と思います。


最初に、私は、公務災害申請を「使命」と述べました。
それは、私一個人の問題ではなく、私の申請事案を端緒にして霞が関の意識を変えて「国民にとって正しいと考えることを自由に発言できる」健全性を取り戻す契機にしたいと
心の底から願っているからにほかなりません。

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