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医療記録を一括管理してくれる「Picnic Health」

米国の医療機関のサイトやアプリで利用できるサービスの中に、「患者ポータル」というものがある。

これは、インターネットを介して、安全な方法で患者個人の健康情報を公開する機能のことで、ユーザー名とパスワードを入力するだけの手間で、自分に関する医療情報に時間を問わずアクセスできるのが特長だ。

とは言え、これらのデータはそれぞれの病院が別々に作成したものであるため、患者が自分の健康状態についての全ての記録を一括管理するのは容易ではない。特に難病を患っており、複数の病院に通っている人にとっては、自分の健康状態がどのような経路を辿ったかを整理・把握するのはかなり大変な作業だそうだ。

今回ご紹介する「PicnicHealth」は、バラバラになっている患者の医療記録を入手して一本化し、利用者が見やすい形に整理してくれるサービスだ。また継続利用すれば、病院に通うごとにリアルタイムで更新作業も行ってくれる。

2014年3月にサンフランシスコでロンチ。7月にはY Combinatorより120万ドル(約1億2000万円)の投資獲得に成功している。

複数の医療情報を一括管理し、分かりやすくタイムラインに整理

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PicnicHealthはガン患者や高齢者を介護、看護する人たちをターゲットにサービスを提供している。利用者は整理された医療記録の一覧を見ることで、患者の体に何が起こっているかを理解し、医療機関のケアの調整も行いやすくなるのが特長だ。

PicnicHealthを利用するときはサイトに登録後、ウェブサイト上か電話にて、自分が利用してきた医療機関、病院や医師の名前などを、覚えているだけ伝えていく。PicnicHealthはこれらの情報を手がかりに、利用者に関する医療情報の入手を行っていく。

現在、米国の医療機関は、ウェブサイトやアプリ内に、患者が自身の医療記録にアクセスできるページを構築する必要があり、この機能は「患者ポータル」と呼ばれている。PicnicHealthは利用者の許可を得てそれぞれの患者ポータルにアクセスし、情報のピックアップを代行しているようだ。

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利用者がそれぞれの病院の患者ポータルのアカウントを持っていれば、セキュリティ保護されたPicnicHealthのページにユーザー名とパスワードを入力してもらう。同サイトはそのアカウントを用いて、記録をピックアップする。利用者がまだ「患者ポータル」を持っていない場合は、PicnicHealthが登録の手助けを行う。

もっとも、患者ポータルで公開されている情報は完全なものではない。重要な情報はむしろ、医師がつけたメモや医用画像などだということも多い。そこでPicnicHealthは、利用者に医療記録の開示をリクエストする電子署名をお願いし、不足している医療記録の閲覧を代行している。

記録が集まったら、つづいて医療情報の編集を行う。数百ページにも渡る情報の中から、重要なものをピックアップし、グラフィックなどを用いて読みやすい内容に整理してくれる。

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編集された記録は、タイムライン形式で閲覧可能。現在治療中でも、データの更新はPicnicHealthが自動的に行ってくれる。また、必要があれば記録の原本も見せてもらえるという。

1回きりの利用であれば295ドル(約3万円)。月額39ドル(約4000円)で、継続的に医療記録を管理してもらえるようになる。

なお、PicnicHealthはこうしたデータを医師に提供するサービスも行っている。利用者が特定の病院や医師の診察を受ける際に自身の医療データを提出したいときには、手続きから受け渡しまですべて代行してくれるのだ。

「患者にとって、記録を自分でまとめるのは孤独を増幅させる作業」

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PicnicHealthの創設者でCEOのNoga Leviner(以下、レビナー)氏は、金融分野での実績を持つ起業家だ。彼女はクローン病を患っており、自分の医療記録をなんとか一括管理したいと考えていた。

しかし、医療管理用のソフトウェアは、基本的に病院や医師に向けてつくられており、患者側が医療記録をまとめようと思っても、自分で手入力する以外に方法が見あたらず、結局その困難さに挫折してしまったという。

"多くの患者にとって、記録を自分でまとめるのはとても大変で、孤独を増幅させる作業なんですよ"
- レビナー氏

そこでレビナー氏は自らこの問題を解決しようと、サンフランシスコを拠点にPicnicHealthを共同設立。がん患者や高齢者の介護に当たる人々が簡単に医療記録に対処できるようにした。

PicnicHealthの競合にはHealthVaultというサービスがある。しかしこのサービスは患者自身がデータをアップロードする必要があり、コンピュータに詳しくない患者にとっては利用が難しく、管理も大変になる。こうした煩雑な作業をすべて代行できるのが彼女たちのサービスの主眼だ。

またPicnicHealthでは、ガンの専門医の協力を得つつ、ガン患者や医師のニーズに応えられるよう努めているという。

ガン患者を診察する医師にとって、よく整理された、調査の行いやすい医療記録があるかどうかは重要な問題だ。レビナー氏によると、腫瘍を抱える患者は両極端で、持っている情報が少なすぎるか膨大な紙ベースの記録を持ち込むかの2つに大別されるという。

こうした複雑な記録を整理し、分析する作業は医師にとっても煩雑かつ困難だ。そこであらかじめ記録を一つにまとめてくれるサービスがあれば、大きな手助けとなるという。

患者の人生をより良くするためのツールを提供することがなによりも重要

情報の入手方法を含め、自分の健康にあまり不安を感じていない人が、自分の通院記録やログインの権限などを引き渡してまで健康記録を管理するサービスを利用することは考えにくい。

そのためPicnicHealthは、慢性的に疾患を抱えている人たちに向けてサービスを提供している。Y Combinatorから後援を得たのも、情報閲覧・整理・一括管理・引き渡しなどを全て代行し、難病を持つ人たちが心底欲していたツールを提供しているからだ。

創業者兼CEOのレビナー氏は、サービスの方向性についてこのように語っている。

"今の段階では、私たちの顧客が患者であること、そして私たちの提供するツールが、いかに患者の人生をより良くしていくかがなによりも重要なことなのです"

将来的には病院や医師とも連携していくことも考えているというが、当分は患者にとって使いやすいサービスの構築に集中することになりそうだ。

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