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原子力保安委員会の存在意義はどこに? ―御用学者は必要ない―

原子力安全委員会は1978年に原子力の安全体制を充実させるためできた、専門家集団です。

現在の、原子力行政は、経済産業省原子力安全・保安院、文部科学省と共に、原子力安全委員会が関わっています。経産省、文科省には、原子力に関わる審議会があり、所謂「専門家」と呼ばれる人たちで構成されています。既に、専門家の集まりがあるにも関わらず、なぜ、もう一つの専門家集団が必要かと言えば、行政から独立した中立的な立場で原子力行政をチェックする、という意味合いを持っています。

原子力安全委員会だけでなく、食品の安全について政府に意見を言うための「食品安全委員会」というものもあります。
果たして、このような委員会は必要なのでしょうか。本来の目的である「行政と一線を画し中立的な立場での専門家」というのは必要な事です。しかし、現実はといえば以下のような状態です。

原子力安全委員会。定例会議は週1回。委員は常勤の特別職公務員。委員への報酬は年間約1650万円(月給93万6000円とボーナス)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%AE%89%E5%85%A8%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

しかも、その議事録を見れば、「本当に必要なのか」と頸をかしげたくなる状況です。
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/index.htm

原子力や食品などの安全を確保すべく立ちあがった委員会が、なぜ、このような「開店休業」状態にあるのでしょうか。それは、委員会が中立ではなく、官僚たちの意向を代弁するために作られた組織だからです。

こうした委員会にはたくさんの人たちが働いています。事務局のポストは官公庁からの出向です。そうした中で、官僚たちの意向に反して異を唱える事が出来るかと言われれば、難しいところがあります。
なぜならば、官僚たちは委員会のメンバーを牛耳るすべを持っているからです。

委員会のメンバーは、大学の教官が主です。
官僚たちは、こうした研究者たちに、研究するための費用(科研費)を、誰に分配するかという裁量権を持っています。つまり「お金を誰に、どれだけ与えるか」という事を決められるのです。

この、科研費配分を決めるプロセスは誰にも明かされていません。つまり、官僚たちが秘密裏に行うのです。

「ホームページ等に、なぜこの人が選ばれたのか理由が書いてある」という意見もあるでしょう。しかし、理由づけなど後で何とでも出来る事です。

官僚の得意技は「文書を作成すること」にありますから、何となく、もっともらしい文章にみな惑わされてしまうのです。そして、結果的には、官僚の意に染まぬ研究者は排除されてゆくのです。

具体的な例を挙げれば、ある委員会のメンバーが、事務局(官僚)が用意した筋書きに反対意見を唱えるとします。委員の任期は、大抵2、3年程度です。官僚にとって特に問題がない人材であれば、次も「継続」して委員任命されますが、問題児は次回からは入れない、と言う事になります。

このような排除プロセスを繰り返す事によって、一部の高級官僚の言葉を「専門家」として代弁してくれる「御用学者」が生まれ、委員会は御用学者の塊になるわけです。

審議会の委員も、同じようなやり方で選ばれます。
こうなってくると、審議会と委員会と言う2つの専門家集団は、どちらも官僚の言葉を伝えるイエスマンの塊と言う事が出来ます。

例えを少し日常的なことにしてみましょう。今回の震災でも多くの情報が流れました。
例えば放射性ヨードについても「イソジンをのめば大丈夫」という意見がありました。イソジンにヨードが含まれています。
ヨードは甲状腺に取り込まれやすいので、あらかじめ放射能を発しないヨードをたくさん摂っておけば、有害な放射性ヨードが入る余地がない、という考えです。

これは「ヨードブロック」と呼ばれ、実際、医療現場で使われる事です。私自身は特別な状況下以外は、イソジンを服用する必要はないと思っています。ところが、「イソジンが効果がある」という噂が伝わると、その真偽は別にして「効果があるかも」と信じてしまいがちです。

すなわち、言っている人が1人だけでなく、複数になると、人は納得してしまうものです。専門家集団にしても同じような事が言えます。つまり、審議会と委員会、という2つのグループが同じ事を言っているとしたら、「その意見は正しい」と思うようになります。

それが如何に、科学的に間違っていたとしてもです。何しろ、「専門家」と呼ばれる人たちが集まっているのですから、普通は信じてしまうのではないでしょうか。これが、官僚の手のうちです。

そんな事を、専門家たる人たちがすべきではない、という声が聞こえてきそうです。全くその通りだと思います。このような、御用学者だけが重宝されると「正しい事を言っているが、官僚の意見と合わないもの」や、「国益を考えて、反対意見を述べるもの」が排除されてゆくのです。

「これを読まれた方は、「本当にそんなことあるのか」と訝しがるかもしれません。
しかし、実際、私は厚労省で新しい審議会を立ち上げた事もあります。委員を選ぶ際には、事前に「根回し」という事をし事務局が、委員から発言して欲しい事に関して打ち合わせをします。つまり、審議会自体が官僚の意見を通すためのセレモニーなのです。

また、科研費についても、分配担当の同僚のやり取りをよく見ていました。科研費は、表向きは公募になっていますが、実際は、既に厚労省の担当者が人を選んでおくのです。そして、その人に「公募」という名目で科研費申請をさせるのです。選ばれる人のほとんどが厚労省が内諾済みの、「政策に反対しない」研究結果を出してくれる人たちなのです。

こうした仕組みは、早急に変える必要があります。原発問題は、人の命に関わるものです。官僚を抑える事が出来るのは政治家です。そして、その政治家を選ぶのは、国民です。私たち一人一人が、この事実を認識し、問題意識をもって政治家を選ぶ、という事が必要な事なのです。

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