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自動運転車の未来は、突然訪れるのではない。変化はヒタヒタとやってきている。モービルアイのやっていることに注目しろ!

自動運転車と言えば、グーグルのストリートビューを更新するための無人自動車が有名です。僕もこのクルマを数年前にサンフランシスコ市内で目撃したときは、びっくりしました。

新しいものが出ると、それを否定する議論が必ず出ます。自動運転車に関しても、たとえばこういう記事があります:

ゼッタイに事故を起こす自動運転車の「恐ろしい未来」

このような議論が日経に関連したメディア上で展開されていることに、僕は軽い落胆を覚えます。(あんまり、勉強してないな)と思うわけです。

自動運転車は、ある日、突然、それに移行してゆくタイプのイノベーションではありません。自動運転を可能にする、構成要素とでも言うべき、ひとつひとつのタスクは、段階的に、既存の自動車に採用されつつあります。

たとえば縦列駐車するとき、それをアシストするシステムや、高速道路で運転者がぼんやりしていて、前方を走っているクルマとの車間距離が詰まり過ぎたとき、自動的に警告を発する、ないしは運転者の代わりにブレーキをかけるなどのドライバー・アシスタンス装置は、すでに常識になりつつあります。

銘柄で言えば、モービルアイ(ティッカーシンボル:MBLY)という、8月にIPOされた会社があります。


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同社はカメラを使った、ドライバー・アシスタンス装置のメーカーです。ハードウェアと、ソフトウェアの両方を開発しています。

同社はEyeQ(アイキュー)という半導体システムを自社開発しています。これはカメラの映像情報のインプットから、歩行者が居ないか? 他の自動車に接近し過ぎていないか? などを絶え間なく、リアルタイムで判断する装置です。



同社のシステムは、既に390万台の自動車に搭載され、実際に使われているのです。つまり完全なロボット車ではなく、部分的にロボットのアシストを仰ぐ、ハイエンドのアクセサリーを装備したクルマは、いま町中に溢れているのです。

EyeQが威力を発揮する場面とは、たとえば居眠り運転でクルマが車線からはみ出した時などです。その場合、ドライバーに警告を与えます。またうとうとしていて追突しそうになったときも、ドライバーに警告を発するとともに、ドライバーに代わってブレーキを踏みます。若しドライバー・アシスタンス装置が無ければ、たぶん事故が起きていたでしょう。

つまり僕の言いたい事は、自動運転車と人が運転するクルマは、「黒か白か?」とか「どっちを取るんだ?」という二者択一の問題ではなく、雁行的に、しかも我々が気がつかないうちに、既に自動化の方向へ大きく動き出しているということなのです。

もちろん無人運転車は人間の判断を一切必要としないので、これは次元の違う問題であり、法規制などの面で議論を呼ぶでしょう。その点に関しては、大いに議論を戦わせるべきだと思うし、慎重に対処すべきだと思います。

でもロボットによる運転のアシスタンスの問題は究極的には政治的な選択の問題ではありません

むしろ「このクルマ、ダッシュボードのディスプレイにインターネット・ラジオのパンドラが表示できないの?」とか、「オプションとしてカーシート・ヒーターを搭載して呉れ!」という消費者からの要望のひとつとして「モービルアイはついてないの?」という要求が出るわけです。それはつまり自動車販売の現場で、毎日メーカーが直面しているリアリティに過ぎないのです

モービルアイの製品は、BMW、ゼネラル・モーターズ、フォード、ボルボなど20の自動車メーカーに既に採用されています。今年中に発売される160種類の新車が、その製品を搭載しており、この数は2016年までに237モデルに拡張されることが、もう確定しているのです。

そのようなドライバー・アシスタンス装置を搭載したクルマが世界中で実際に走り始めれば、それがちょっとした事故を防止するのに本当に役立つのか? それとも「使えない代物」に過ぎないかは、実地で、何万、何百万というデータポイントに裏打ちされた統計によって、ほどなく証明されるでしょう。

人間がクルマを運転する腕前は、もう進化しないと思います。実際、僕も歳を取ってくると運転はむしろ下手になっていることを実感します。これから先進国は老齢化社会になるので、人為的ミスによる事故は増えることはあっても減りはしないと思います。

その点、テクノロジーはバグを是正すればどんどん信頼性は高まるわけだから、この勝負、もうついていると僕など思ってしまうわけです。

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