- 2014年09月05日 18:00
そろそろ『情報学の情緒的な私試論β』のPV BEST OR WORSTランキングを公開してダムに沈めるとするか
3/3絶対値で参照すること
絶対値として多いのか少ないのかは実のところ良く分からない。しかし、どれだけ意識的になっても「数字」に見えてしまいかねない範囲でもあった。「ダンバー数」によれば、人は150人程度としか親密にはなれないというが、確かに綺麗事を言うのは難しくもある。その一方でソーシャルメディア等で話題になれば10万PV/エントリになったり、ビッグワードを抑えて月間5万PV/エントリといった記事が日常化している人々もいるのだろう。BLOGOSでのアクセスを足せば倍になるのかもしれないっが、絶対値としては泡沫である。『暇だからイケダハヤト氏にブログのダメ出しをされてきた - 太陽がまぶしかったから』においても、まさに井の中の蛙であった。
増田などで目立っていたのがブログ論の話であったからか「ブログ論ブログ」とすら呼ばれていたが、ブログの話題なんて、絶対値での指標においては、登場人物にすら入ってこないのが実態である。ブログ自体についての情報を気にする人が数千人ほどいるが、それ以上に広がっていく可能性は極めて少ない。それでも語りたくなってしまうのは、目に見える反応がもらいやすく、PDCAを安全に公開しやすかったからなのだと思う。
仕事や人間関係などの本質的な問題を公開で明示的に書いたり、議論していくのは無理があるから、ブログで活発に語られるのは重要度ランキング14位ぐらいの話になりやすい*2。パーキンソンの凡俗法則。でも、だからこそ釣りであれ、麻雀であれ、中級者になりたてぐらいの人々が大袈裟に語り始める事について寛容でありたいし、僕自身も語りたい。
緩慢にダムに沈めていく
正直なことを言えば、はてなブログの脱会を視野にいれて、レンタルサーバーに『WordPress › 日本語』をインストールしたり、設定作業などをしていた事もある。このブログもダムに沈めるつもりであったのだ。ブログの内容が賛否両論で燃えるのは歓迎だけど、ブログの外側の話ばかりに巻き込まれてうんざりしていたし、「文章」そのものではなく「関係性」「人間性」「露出方法」「スキャンダル」みたいなものがコンテンツの中心になってしまう環境にいても仕方がないと考えた。Googleからのペナルティや『記事データをエクスポートできるようにしました。ブログのバックアップ等にご利用ください - はてなブログ開発ブログ』など「リセット」の条件もタイミングよく揃っている。だけど、それでどうなるものでもないし、中途半端なリニューアルを繰り返しながら生き恥を継続的に晒していくのだろう。「太陽の西」を目指しては戻ってくる。
村上春樹の『国境の南、太陽の西 (講談社文庫)』には主人公の経営するジャズバーに対して、「空中庭園」のメタファがある。つまり人は精妙にメンテナンスされた架空の風景に自身を取り込むためにこそ店に来るし、空中庭園は飽きられないように変化し続ける必要があるという述懐。これはそのまま小説にも通づる事で、村上春樹自身の小説論のようなものであると読み解く事もできる。
その上で本書には「ヒステリア・シベリアナ」の話が出てくる。シベリアの農夫は毎日、太陽が東からでて、西に沈むまで畑を耕し続けていると、いつか自分の中の何かが死んでしまい、太陽の西を目指して歩き続けることになる。恐らく実在の病気ではないのだろうけど、話としては分かる。
毎日のメンテナンスの結果として、空中庭園は適切にリニューアルされていくものの、それをする人間の中身は磨耗していき、全てを投げ出して蛮勇に走る衝動に蝕まれていく。「太陽の西を目指す」のは「挑戦」であるが、その一方ではアイロニカルなメタ視線ともセットになっていて実態的な逃走を内包している。出来もしない事を出来ると言うのは、いつだって挑戦と逃走が重ねあっている凡庸な過程だ。
破壊的イノベーションを繰り返すほどに、持続的イノベーションによるディテール追求に鈍感になるし、劇的な断絶があるほどに不当に美化された偽記憶と現状との差分で消耗させられる可能性が高まる。『特殊性を獲得しようと試みるほど「いつか救われるのだから、今は辛くてもよい」という「いま」「ここ」の疎外となる - 太陽がまぶしかったから』からこそ、劇的に沈めて自己神話化がなされてしまっては本末転倒なのである。・・・などと本質的には無意味な内容を大袈裟に語るのを辞めて神秘性を剥ぎ取っていくことでダムに沈める事ができるのだろう。自己幻想は、劇的に殺すのではなく、緩慢に殺す必要があるのだ。
リンク先を見る 1973年のピンボール (講談社文庫)- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
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*1:12/25で終わらせたのは『日中にブログを書いた方が良い5個の理由とかは特に思いつかないけど、なるべく日中に書くように戻そうかな - 星がまたたいたから』にもある通り『恋の悪あが記』のオマージュ



