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日本政府の援助拒否ー危機管理の立場から考察する

米国で「日本に募金するな」といった報道がされ、米国で地震の救済活動にあたっているNPO等では、ショックを受けています。こうした報道がなされた背景には、「日本が援助を受け取ろうとしない」という趣旨があるようです。

http://www.nytimes.com/2011/03/16/world/asia/16charity.html?_r=3&scp=1&sq=Japan%2C+Charity&st=Search

なぜ、このような事が起こるのでしょうか。実際、我が国は人的にも物的にも大きな打撃を受けていますから、金銭的な援助は大いに喜ぶべきではないか、と不思議に思う人も多いでしょう。

一つの原因として、今の予算の枠組みでは、「想定外に国に入ってきたお金は、使えない」ということにあると、思います。

例えば、各国持ち回りで、国際会議が開かれたとします。どの国も予算的に苦しいわけですから、参加国は、その負担をなくすため、「参加費用」を支払う事にしました。さて、ある年、日本での会議開催が決まりました。この会議の予算は、あらかじめ、前年度に組み込まれてあります。「明日、国際会議開きたいから、お金よろしく」と言う事は、まず出来ないのです。

会議の予算に関しては、会場代金、スタッフ、お茶代に至るまで事細かに計算されており、その通りに使わなければなりません。それ故、「参加費」という臨時収入は、貰っても、国のお金(国庫金)として入れる事が出来ないのです。

予算は、主に国の税収によるものです。いきなりビル・ゲイツが、日本国に「10億円寄付します」といっても、民間団体は受け取れますが、国が「臨時収入があったから、すぐ予算の足しにしよう」という、融通性がないのです。

今回の「日本に対する募金」についても同様の事が言えます。つまり、国としては、「貰っても使えないお金」になってしまうからです。

予算は、「財政法」と言う法律に縛られています。一度決めた予算の使い方を変えようと思うと、国会を通さなければなりません。今回の震災のためのお金を、「子供手当ての上乗せ分」からまわす、などという議論が起こっているのは、そのためです。

また、話は少し異なりますが、年度末になると、その年の予算を消化しようと、特に緊急性のない出張や突貫工事が増える、というのも、予算の使い方などの、融通の利かなさのためです。

つまり、予算とは、融通が効かない、お金なのです。それは、国家の台所を扱うと言う意味では、当然のことと言えるかもしれません。

もし、今回の募金を日本が拒む理由として、今まで書いてきたような事が原因だとしたら、予算の使い方、というロジスティックな問題に対応できていない、すなわち「臨機応変」に対応する、という「危機管理」が出来ていないと言う事になります。

(参照 福島原発を、危機管理の立場から考察する vol.1  ,  同 vol.2

このような些細な事で、国際社会の批判を受けることは、国益を考えた時、決して良い事ではありません。緊急時に予算を動かしやすくするための法改正が、速やかに導入されるべきだと思います。

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