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- 2014年09月05日 03:58
【情報の透明化】、企業ブランディング!情報も食品もリアルでナチュラルが求められる?
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■情報の透明化が進んでいる。今年3月、議会に「真実の広告法(The Truth in Advertising Act 2014)」が提案された。この法案は、言論の自由を保証しながらも、顔や身体を補正した画像広告を規制しようとするものだ。広告に溢れる非現実的な体型から、若い女性が過度なダイエットで摂食障害を起こしている。真実の広告法案は、画像編集ソフトのフォトショップによる補正を制限し、真実の美を見せることで少女らの健康を守るのが目的なのだ。この法案に寄与したのは、非営利の女性支援団体「勇敢な少女同盟(The Brave Girls Alliance)」。勇敢な少女同盟は企業から個別に「反フォトショップ誓約(Anti-Photoshopping Pledge)」を募っている。6月にはビンテージ婦人服オンラインストアのモドクロスがこの運動への誓約を表明した。リアルな広告画像を求める動きに、皮肉にもリアル店舗をもたないオンラインストアが賛同したのだ。
今、多くの企業が情報の透明化をすすめている。情報の透明化には3つの背景がある。第1はオンライン視聴者の目が肥えていること。例えば、製品レビューやレストランレビューでもサクラや業者によるものかどうかを見分ける力がついているといえる。第2は個人でも情報発信ができるようになり、一個人の発言力や影響力がかつて無いほど大きくなっている。第3はスマートフォンやSNSで常につながっていることで、情報の伝達スピードが格段に速くなっていることがあげられる。情報を捏造・偽造するのはもちろんのこと、情報の隠蔽や加工・修正も直ぐに見破られてしまう時代となっている。人々が情報の真意を見透かすどころか、批判や炎上という形で企業イメージそのものが大きく損なわれてしまうのだ。企業にとってネガティブな情報でも即時に開示することが、企業イメージでプラスに働くのだ。
情報の透明化で積極的にPRを利用している大手企業にウォルマートがある。ウォルマートは10年ほど前、企業情報を開示しなかったために、今でいうところのブラック企業と名指しされていた。原価割れ販売を仕掛ける不公平競争や低賃金による社員の搾取、女性差別や労組潰し、環境破壊とメディアから散々叩かれていた。2005年末にはドキュメンタリー映画「ウォルマート:低価格の高い代償(Wal-Mart:The High Cost of Low Price)」が封切られ、ウォルマート批判がピークに達した。2006年にはメリーランド州で通称「ウォルマート法案」が可決された。従業員数1万人以上となる企業に対して、社員の健康保険の負担を義務付けるもので、ウォルマートを狙いうち法案だ。この法案は裁判所で無効となったが、ウォルマートの企業イメージは最悪だった。これに前後してウォルマートは情報開示の必要性を考えるようになった。PRを戦略的に活用するようになっていったのだ。世界的PR企業のエドルマン社と契約し、積極的な広報活動を行うようになった。
ウォルマートの広報活動には過去、大きなイベントが2つあった。一つは成功事例。2005年8月のルイジアナ州とミシシッピー州を襲ったハリケーンカタリーナの一件だ。ウォルマートは被災地に連邦政府より早く救援物資を届けるばかりでなく、救援活動もメディアに向けて積極的に情報開示したことで高く評価された。もう一つは失敗事例。2006年10月に発覚した「やらせブログ事件」だ。当初の目的はブログを活用して、企業イメージを改善するというものだった。内容は中年カップルがラスベガスからジョージア州までのキャンピングカーで旅行し、宿泊場所にウォルマートの駐車場を使うというもの。旅行しながらブログ上で、親切なウォルマートスタッフを紹介していた。だが、すぐにやらせがばれて炎上、ネット上でボイコット運動が呼びかけられ、まもなくブログ閉鎖へと追い込まれる事態となった。やらせを提案したのはPR企業のエドルマンだが、ウォルマートがネット視聴者を甘く見ていたのは明らかだった。
ウォルマートは情報の透明化をハードウェイでも学んだことで、最近はかなり腕を上げている。今年6月にはウォルマートを批判するニューヨーク・タイムズ紙の記事に対して、赤ペンで添削する反論を行なった。同社のブログに、「スタッフを低賃金で雇うことでウォルマートが結果的に税金を搾取している」と批判するコラムをそのまま掲載し、手書きで問題となる部分に下線を引き、注釈をつけるように右側で誤りを指摘するスタイルで反論したのだ。例えば「ウォルマートは納税者にとって究極的な税金の流出」に線を引き「ウォルマートはアメリカ最大の納税者です。算数できますか?」と書かれていたり「(低賃金で雇われた)スタッフは公的扶助に頼らざる得ない」には「ウォルマートの雇用により、より多くのスタッフが公的補助から脱しています。こちらが真実のストーリーです」と参照元を付けて添削した。さらに、ウォルマートで夢を実現しているスタッフからの反論も実名と顔写真入りで掲載したのだ。ウォルマートのこの姿勢には好意的な意見が多く集まっていた。情報の透明化を進めることが企業の利益にかなっているのだ。
トップ画像:ニューヨークタイムズ紙の論評を赤ペンで添削したウォルマートのブログ「事実のチェック(Fact Check)」。記事のトップには「ティム、(記事になる前の)最初の下書きを共有してくれてありがとう!以下は、通常なら記事にできないような誤りを正したものです。気に入ってくれれば幸いです」と皮肉を込めて書かれている。本文では問題となる部分に下線を引き、注釈をつけるように右側に誤りを指摘している。ここまでするウォルマートには高い評価が集まった。
14年8月17日 - 【アンチフォトショップ法案】、画像編集ソフトは使っていません!これも情報の透明化?
14年7月22日 - 【ウォルマート】、私はジャパニーズドリームにいます!と社員やその家族は書けますか?
14年6月30日 - 【ウォルマート】、前代未聞の反論!ニューヨークタイムズ紙の論評に対して赤ペン添削?
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。企業による「情報の透明化」とはブランディングのことです。ブランディングとは個を際立たせること。手を加えられた情報は目の肥えた視聴者に見透かされてしまいます。情報も食品もリアルでナチュラルなものが求められています。農薬や化学肥料にたよらないオーガニックでいいのです。保存が効く添加物も必要ありません。遺伝子組み替え(GMO)はとんでもないのです。食品も情報も素朴で旬が一番なんですね。ネガティブな情報も自分の都合で修正すると逆に批判を招いてしまいます。いまだにネットに不慣れな人は「情報の透明化」を分からず、これまで上手くいってきたからと勝手に情報をねじ曲げてしまうのです。その分、反動も大きくなります。日本では最近、「情報の透明化」どころか「情報の黒塗り化」とした大手新聞社の事例があります。かつてのウォルマートもそれに近いものでしたが。
食品も情報も同じナマモノです。遺伝子組み換え作物をたっぷりの農薬や化学肥料で育て、添加物まみれにした食品を食べたいですか?情報の透明化は日本でも進みます。
■情報の透明化が進んでいる。今年3月、議会に「真実の広告法(The Truth in Advertising Act 2014)」が提案された。この法案は、言論の自由を保証しながらも、顔や身体を補正した画像広告を規制しようとするものだ。広告に溢れる非現実的な体型から、若い女性が過度なダイエットで摂食障害を起こしている。真実の広告法案は、画像編集ソフトのフォトショップによる補正を制限し、真実の美を見せることで少女らの健康を守るのが目的なのだ。この法案に寄与したのは、非営利の女性支援団体「勇敢な少女同盟(The Brave Girls Alliance)」。勇敢な少女同盟は企業から個別に「反フォトショップ誓約(Anti-Photoshopping Pledge)」を募っている。6月にはビンテージ婦人服オンラインストアのモドクロスがこの運動への誓約を表明した。リアルな広告画像を求める動きに、皮肉にもリアル店舗をもたないオンラインストアが賛同したのだ。
今、多くの企業が情報の透明化をすすめている。情報の透明化には3つの背景がある。第1はオンライン視聴者の目が肥えていること。例えば、製品レビューやレストランレビューでもサクラや業者によるものかどうかを見分ける力がついているといえる。第2は個人でも情報発信ができるようになり、一個人の発言力や影響力がかつて無いほど大きくなっている。第3はスマートフォンやSNSで常につながっていることで、情報の伝達スピードが格段に速くなっていることがあげられる。情報を捏造・偽造するのはもちろんのこと、情報の隠蔽や加工・修正も直ぐに見破られてしまう時代となっている。人々が情報の真意を見透かすどころか、批判や炎上という形で企業イメージそのものが大きく損なわれてしまうのだ。企業にとってネガティブな情報でも即時に開示することが、企業イメージでプラスに働くのだ。
情報の透明化で積極的にPRを利用している大手企業にウォルマートがある。ウォルマートは10年ほど前、企業情報を開示しなかったために、今でいうところのブラック企業と名指しされていた。原価割れ販売を仕掛ける不公平競争や低賃金による社員の搾取、女性差別や労組潰し、環境破壊とメディアから散々叩かれていた。2005年末にはドキュメンタリー映画「ウォルマート:低価格の高い代償(Wal-Mart:The High Cost of Low Price)」が封切られ、ウォルマート批判がピークに達した。2006年にはメリーランド州で通称「ウォルマート法案」が可決された。従業員数1万人以上となる企業に対して、社員の健康保険の負担を義務付けるもので、ウォルマートを狙いうち法案だ。この法案は裁判所で無効となったが、ウォルマートの企業イメージは最悪だった。これに前後してウォルマートは情報開示の必要性を考えるようになった。PRを戦略的に活用するようになっていったのだ。世界的PR企業のエドルマン社と契約し、積極的な広報活動を行うようになった。
ウォルマートの広報活動には過去、大きなイベントが2つあった。一つは成功事例。2005年8月のルイジアナ州とミシシッピー州を襲ったハリケーンカタリーナの一件だ。ウォルマートは被災地に連邦政府より早く救援物資を届けるばかりでなく、救援活動もメディアに向けて積極的に情報開示したことで高く評価された。もう一つは失敗事例。2006年10月に発覚した「やらせブログ事件」だ。当初の目的はブログを活用して、企業イメージを改善するというものだった。内容は中年カップルがラスベガスからジョージア州までのキャンピングカーで旅行し、宿泊場所にウォルマートの駐車場を使うというもの。旅行しながらブログ上で、親切なウォルマートスタッフを紹介していた。だが、すぐにやらせがばれて炎上、ネット上でボイコット運動が呼びかけられ、まもなくブログ閉鎖へと追い込まれる事態となった。やらせを提案したのはPR企業のエドルマンだが、ウォルマートがネット視聴者を甘く見ていたのは明らかだった。
ウォルマートは情報の透明化をハードウェイでも学んだことで、最近はかなり腕を上げている。今年6月にはウォルマートを批判するニューヨーク・タイムズ紙の記事に対して、赤ペンで添削する反論を行なった。同社のブログに、「スタッフを低賃金で雇うことでウォルマートが結果的に税金を搾取している」と批判するコラムをそのまま掲載し、手書きで問題となる部分に下線を引き、注釈をつけるように右側で誤りを指摘するスタイルで反論したのだ。例えば「ウォルマートは納税者にとって究極的な税金の流出」に線を引き「ウォルマートはアメリカ最大の納税者です。算数できますか?」と書かれていたり「(低賃金で雇われた)スタッフは公的扶助に頼らざる得ない」には「ウォルマートの雇用により、より多くのスタッフが公的補助から脱しています。こちらが真実のストーリーです」と参照元を付けて添削した。さらに、ウォルマートで夢を実現しているスタッフからの反論も実名と顔写真入りで掲載したのだ。ウォルマートのこの姿勢には好意的な意見が多く集まっていた。情報の透明化を進めることが企業の利益にかなっているのだ。
トップ画像:ニューヨークタイムズ紙の論評を赤ペンで添削したウォルマートのブログ「事実のチェック(Fact Check)」。記事のトップには「ティム、(記事になる前の)最初の下書きを共有してくれてありがとう!以下は、通常なら記事にできないような誤りを正したものです。気に入ってくれれば幸いです」と皮肉を込めて書かれている。本文では問題となる部分に下線を引き、注釈をつけるように右側に誤りを指摘している。ここまでするウォルマートには高い評価が集まった。
14年8月17日 - 【アンチフォトショップ法案】、画像編集ソフトは使っていません!これも情報の透明化?
14年7月22日 - 【ウォルマート】、私はジャパニーズドリームにいます!と社員やその家族は書けますか?
14年6月30日 - 【ウォルマート】、前代未聞の反論!ニューヨークタイムズ紙の論評に対して赤ペン添削?
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。企業による「情報の透明化」とはブランディングのことです。ブランディングとは個を際立たせること。手を加えられた情報は目の肥えた視聴者に見透かされてしまいます。情報も食品もリアルでナチュラルなものが求められています。農薬や化学肥料にたよらないオーガニックでいいのです。保存が効く添加物も必要ありません。遺伝子組み替え(GMO)はとんでもないのです。食品も情報も素朴で旬が一番なんですね。ネガティブな情報も自分の都合で修正すると逆に批判を招いてしまいます。いまだにネットに不慣れな人は「情報の透明化」を分からず、これまで上手くいってきたからと勝手に情報をねじ曲げてしまうのです。その分、反動も大きくなります。日本では最近、「情報の透明化」どころか「情報の黒塗り化」とした大手新聞社の事例があります。かつてのウォルマートもそれに近いものでしたが。
食品も情報も同じナマモノです。遺伝子組み換え作物をたっぷりの農薬や化学肥料で育て、添加物まみれにした食品を食べたいですか?情報の透明化は日本でも進みます。



