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不可解な円安・株高の理由

 9月2日の東京市場の動きはやや不可解なものとなっていた。ここにきてじりじりと円安の動きが強まりつつあり、この円安とともに株高となる可能性はあったが、ドル円は104円台後半に、日経平均先物は15700円台まで上昇してくることは予想できなかった。その流れは継続し、3日にドル円は105円台、ユーロ円は138円台に乗せ、日経平均先物は15800円台に乗せてきた。

 2日の昼過ぎに円安・株高が仕掛けられていたタイミングで、債券先物も売られた。債券先物は出来高も伴っていたことで、株や為替と同じところが仕掛けていた可能性はあったが、結果として下げ幅は限定的となり、146円20銭台から146円06銭までとなった。ちなみにこのタイミングでの仕掛けは、7月の毎月勤労統計調査(速報値)で給与総額が17年半ぶりの高い伸びとなったこともきっかけとなったのではないかとの指摘もあった。

 今回の動きはこれまでのポジションの巻き戻しもあったかもしれないが、円と日本株に関しては2012年11月と同様にあらためて新規のポジションを組んだ可能性がある。今回の仕掛け人としては、アベノミクス相場を主導したマクロ系ヘッジファンドやCTA(商品投資顧問業者)など海外短期筋との見方が有力との指摘があった。

 注意すべきはこの日の海外市場の動きであり、欧米の株式市場はあまり動きを見せないなかにあり、米債とともにユーロ圏の国債、さらには英国債は大きく値を下げていた。注目されている4日のECB理事会を前にしての利益確定売りが入った格好となった。確かに市場ではECBの量的緩和政策導入に対しての期待感がやや先走っていた。現実には量的緩和のハードルはかなり高い。このあたりを意識しての動きともいえるが、もし仕掛けているのが同じところであったとすれば、こちらでひと稼ぎしたので、ターゲットを再び日本に移してきたとの見方もできなくはない。このあたり、金や原油の先物が大きく下落していることからも、これらでは何かしらのポジションの調整が入っていた可能性がある。

 ヘッジファンドなどが新たなアベノミクス相場を意識しているとするならば、何を期待しているのであろうか。

 3日、4日はイングランド銀行のMPCとともに日銀の金融政策決定会合が開催される。イングランド銀行については今回は金融政策は現状維持となりそうだが、早ければ年内の利上げの可能性がある。すぐには公表されないが前回2票あった利上げ票が変化するかどうかも注意する必要がある。また、スコットランドの独立の動きによる影響なども意識しておく必要もある。

 日銀についても現状維持が予想され、特に追加緩和期待が盛り上がっているわけではない。ただし、ここにきての経済指標などから7~9月期の景気回復の度合いが鈍く、日銀の描くシナリオが崩れ、追加緩和に追い込まれるとの見方も一部にあることは確かである。しかし、日銀が急にその姿勢を変えることも考えづらいことで、これがヘッジファンドなどの仕掛けを呼ぶ要因であることは考えにくい。

 このタイミングで日本で仕掛けてきたとなれば、内閣改造と自民党役員人事に絡んだ動きとみることもできそうである。2日の円売り株買いのきっかけも、公的年金の運用改革に前向きな塩崎恭久政調会長代理が厚生労働相で入閣と報じられたこと、との指摘もあった。しかし、これだけで仕掛けを行うことも考えづらい。実際に塩崎氏が厚労相で入閣するかどうかは限られた人間にしか知らされていなかったはずである。

 新内閣があらたな成長戦略をとり、特に安倍政権は円安をきっかけとした株高を大いに歓迎していたこともあり、今回も何らかの株価上昇戦略を講じる可能性はある。その手段としてGPIFなどの活用も意識され、まさにアベノミクス相場の二番煎じを狙った動きが出た可能性はある。ドル円や日経平均先物のチャートからも、ここで買い仕掛けを入れると流れが変わる格好にあり、テクニカルな面からもなかなかうまい仕掛けであった。

 この仕掛けに持続性があるかどうかは疑問が残る。2012年11月のアベノミクスと呼ばれた円安政策は、それまでの急激な円高の反動を引き起こしたにすぎず、今回、円買いや株のショートがたまっているわけではない。燃料がなければその動きは一過性のものにすぎなくなる。それでも何故、このタイミングで仕掛けてきたのか。

 今週はカナダ、英国、日本、そしてユーロ圏の中央銀行の金融政策を決める会合が開催され、特にECBの動向に注目が集まり、いったんそれに向けたポジション作りがなされ、それをいったん閉じて、あらたな資金先として内閣改造を行っている日本に一時的に向けられたとの解釈はできまいか。となれば、今回の動きはかなり短期的なものとなる可能性もある。それとも日本で何かしらサプライズがあるとみているのであろうか。

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