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【本】広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい


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広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。


Kindle版もあります。

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広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。

内容(「BOOK」データベースより)

アナと雪の女王、ハロウィン、マラソンブーム、LINE、ことりっぷ、ネスカフェアンバサダー…マス広告やメディア露出なしでもヒットは生まれる!?戦略PRの第一人者とLINE大ブレイクの仕掛人が考える「情報爆発・消費者主導の時代に、人はどうすれば動くのか?」。


「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい」

 このタイトルを読んで、僕などは、「まあ、そうだよねえ……でも、なんのかんの言っても、テレビやインターネットの大手ポータルサイト(Yahoo!など)の影響力は大きいんだよなあ……」と思ったのです。

 実際にこの本を読んでみると、田端さんと本田さんは、けっして「メディアは全く役に立たなくなった」と言っているわけじゃないんですけどね。

 なんでもテレビや新聞などの大手メディアに大金をつぎ込んで宣伝すれば良いというわけではなくて、その目的や届けたい、動かしたい人数、範囲にあわせた「工夫」が必要な時代になったのだ、ということがこの本の主眼だと僕は感じました。


 つまり、紙やネット、テレビといった複数のメディアを横断しながら最適なメディアを選ぶのは、ゴルフでのクラブ選択のようなものなのだ。

 ゴルファーが、自分が今立っている地点からピンまでを「残り何ヤードだろう?」と考えるように、あなたがマーケターとして考えるべきなのは、この製品やサービスを成功させるためには、どれくらいのリーチの規模が「最適」なのだろう?ということだ。

 つまり、ゴルフに置きかえて考えるならば、次のようになる。


・必要なリーチの規模=ティーからカップまでの距離

・ターゲティング精度は高いがスケールの小さいメディア(例・検索連動広告)=パター

・リーチを稼げるが、精度は悪いメディア(例・テレビCM)=ドライバー


 たとえばトヨタのようなナショナルクライアントは、超広大な消費者をターゲットにしているわけであるが、これはゴルフでいえば長ロングホールのようなものだ。必然的にキャディバッグからドライバー(=テレビCM)を取り出す比重が増える。

 あるいは皆さんご存知のマクドナルドであれば、ピークでは月間500億円の売上がある。客単価を600円と想定すると、これは月間累計で8000万人規模の来店客数となり、ほぼ日本人の大人一人が平均月に一度はマクドナルドを訪れることになる。このような状況では必然的に、テレビCMや、さらにはCMだけでなく、テレビの情報番組への露出なども含めた話題喚起やバズ創出が求められ続ける。

 いっぽう、お取り寄せグルメのネット販売をやる地方の手作り味噌店は、そもそも販売できる量にも限りがある。ゴルフでいえば、これはパターゴルフのコースにいるようなものであり、必然的にパター(=検索連動広告)以外の出番はなくなる。


 このゴルフでのたとえは、すごくわかりやすいなあ、と感心してしまいました。

 なんでも大きなメディアでバンバン宣伝すればいい、というわけではなくて、それぞれ「適切なクラブ選び」があるのです。

 そして、トヨタやマクドナルドも、常にドライバー振り回しているわけではなくて、ドライバーで距離を稼いだうえで、消費者にとって身近なところでは、販売店のイベントや地元新聞の広告などのピッチングウェッジやパターで、カップインを狙おうとします。


 広告業界の人にとっては、あたりまえのことなのかもしれませんが、「広告を受け取る側」としては、大変参考になりました。

「どのくらいの規模の人数に、そして、どういう人に届けたいのか」を考えるのって、個人ブログでも、意識すべきことなのかもしれませんね。


 この本のなかの「PART2」では、著者の田端さんと本田さんが、「1000人」「1万人」「10万人」「100万人」「1000万人」「1億人」「10億人」と、それぞれのスケール別に「人を動かす方法」について考察されています。

 「人を動かす」といっても、「1000人を動かすためのやり方」と「10億人」では、そのアプローチに大きな違いがあるのです。

 でも、人数の多寡にかかわらず、「人を動かすための共通点」みたいなものも、やっぱり存在するんですよね。

本田哲也:インターネットを通じて広く呼びかけても、必ずしも人が動くとは限りませんよね。


田端信太郎:そうそう。一時期「ネットを活用して、パパっとバズらせてよ」とか調子良く言ってくる人が大量に湧いて出たけど(笑)、そういう人に限って何もわかってない。

 

本田:そもそも人を動かすには、自発的な行動を促す「何か」が必要で、そのためにはまず発信側が汗をかかなくちゃいけないんです。


田端:汗のかき方はスケールによって変わるけど、汗をかかなくていいスケールなんてどこにもない。


本田:1000人と1億人では、発信側が考えるべきプラン、とるべきアクションは違う。でも共通する部分もある。人を動かす絶対条件とでもいうのかな。


田端:そう、「ピュアさ」というか、対象に対してバカみたいに情熱を注ぐところは通底している。青空文庫の活動に感じるのは、現役をリタイアしたおじいさんが毎日家の前を掃除するような、揺るぎのない使命感みたいなもの? どうせ一週間もしたら汚れる。でも俺は掃除をするんだという。このたとえが合っているかはわからないけど(笑)。


本田:や、わかります。無償で掃除をするという行動が、きれいになるという快感をもたらす。インターネット黎明期ならともかく、電子書籍も買い放題の今、相変わらずテキストを手打ちしている人がいる。それは目先の快感じゃない、まさに使命感みたいなものに突き動かされている気がします。

 「1000人」だって、普通に生活している人にとっては、かなりの多数なわけですし。

 小学校の校長先生かそれなりの規模の会社の社長、あるいはメディア勤務でもなければ、「1000人に自分の話を聞いてもらう」という経験のある人は、そんなにいないはず。


 ただし、この本には、その「多くの人を動かした事例に対する考察」は書かれていても、「こうやれば、絶対に人が動くという公式」が示されているわけではないのです。

 広告のプロ中のプロのお二人であっても、それを「公式化」することはできない。

 いや、プロ中のプロだからこそ、そう簡単にできることではないことを、知っていると言うべきなのでしょう。

 

 この本のなかに、京都教育大学の生協が誤ってプリン4000個を発注してしまい、事情を知った学生がツイッターで購入を呼びかけたところ、その日の昼過ぎに完売してしまった、という事例が紹介されています。

 ああ、人って、案外あったかいな、と思いながら読みました。

 

 しかしながら、その一方で、難病の治療のために寄付を求めている人に対して、「募金詐欺じゃないの?」「まずお前の家を売れ!」みたいな言葉を浴びせる人も、世の中にはいるわけです。

 

 何が「共感」されて応援され、何が「反感」を呼び、叩かれるのか?

 「ユーモア」の有無なのかな、などと考えてはみたのですが、難病で苦しんでいる人たちに「ユーモア」を求めるのも、なんだかなあ、という感じではありますよね。

 でも、「アイス・バケツ・チャレンジ」の拡散には、やっぱり「ユーモア」の要素って、あったんじゃないかな。

 

 

 この本を読んでいて驚いたことのひとつは、この話でした。

 また、ハロウィンの時期になると、街に現れた面白仮装写真や目撃情報がツイッターやフェイスブックに続々と投稿、共有される。NECブッグローブ株式会社の調査によると、2013年10月の月間「ハロウィン」ツイート数は2012年の65万件に対して、約2倍の113万件。さらに、一般社団法人日本記念日協会によると、今年のハロウィン市場や1000億円を超える見通し。ホワイトデー(約640億円)をすでに超え、バレンタインデー(約1300億円)に迫る勢いだ。


 ええっ、確かに最近「ハロウィン」って一般化してきたとは思うし、シーズンになると、100円ショップに仮装グッズが並ぶようにはなったけれど……もう、市場規模としては、「ホワイトデー」を超え、「バレンタインデー」を超える規模になっているのか……

 確かに、個人間でプレゼントを贈るだけのホワイトデーやバレンタインデーよりも、多くの人を巻き込むイベント化しやすそうではあるけれど。


 いやほんと、自分のなかの「標準」とか「流行」と、実際に世間で流行っているものには、けっこうギャップがあるものですよね。そしてそのギャップは年齢とともに広がっていっているような気がします。



 一部、「『LINE』の宣伝かよ!」と思ってしまうようなところもあったのですが、たしかに「大勢の人を動かした事例として、『LINE』は適切ではあります。

 僕の妻が最近スマートフォンを買い替えたのですが、最初にショップの人に言ったのが「『LINE』を使える機種にしてください」だったので、驚きました(僕は『LINE』未体験なので)。内心「最近のスマートフォンで、『LINE』が使えない機種って、ありえないのでは……と思いつつ黙っていましたが。


 田端さんは、『LINE』について、こんなふうに仰っています。

田端:フェイスブックが典型ですが、従来のコミュニケーションアプリは基本的に言語能力に長けた、頭のいいエンジニアが考えたものであり、意味のある情報(インフォメーション)をやりとりするためのものでした。でも、LINEはよくも悪くも感情(エモーション)をやりとりするツールなんです。

 ああ、「感情を言葉にする」って、けっこう大変なんだよなあ、言われてみるまで、気づかなかった。

 

「広告を受け取る側」としても、このくらいは知っておいたほうが良いことが書かれている本だと思います。

 しかし、こういう「感想」で、「読んでみよう」と人の心を動かすというのも、難しいことだよなあ、うーむ。

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