- 2014年09月03日 15:37
安倍政権の暴走を止めよう 集団的自衛権の閣議決定の問題点について
3/3――「国際的な機雷掃海活動への参加」についてはいかがでしょうか? これはホルムズ海峡のように、輸入する原油等の大部分が通過する重要な海峡の近隣で戦争が発生し、機雷がまかれた場合、国連や関係国から日本に対し、機雷掃海活動への参加要請があるのではないかという事例です。機雷掃海活動は、「武力の行使」にあたり得るため、集団的自衛権を行使しなければならないと政府は言いたいようですね。
北澤 まず、機雷掃海の実際について説明しておきましょう。現に戦闘が発生している海域であれば、掃海艇が攻撃を受ける危険性も高いため、自衛隊が掃海活動に参加することは現実問題としてありません。これは安倍総理も認めていることです。
また仮に掃海活動を行い、機雷を除去することができたとしても、そもそも戦闘が発生している危険な海域をタンカーなど民間船舶が通航することはありえません。
一方、関係国の間で停戦等が実現して、この海域での戦闘行動が終了した後は、それらの機雷は「遺棄機雷」の扱いとなり、現在も自衛隊が処理できます。
また米軍等によって制空権や制海権が掌握され、この海域での安全が確保されて実質的に戦闘行動が終了したと認められる場合も、危険物除去という行為の性質に着目して、一種の警察権行使の範疇として掃海活動に参加することも可能でしょう。
日本が機雷の除去・掃海活動に参加する現実的なケースとは、こういった場合です。いずれにせよ、ガソリン価格が上がったからといって、いきなり集団的自衛権を行使し、現に戦闘が発生している状況下で掃海活動というれっきとした武力行使をやろうというのは、あまりに乱暴な考え方です。
領域警備法制の整備が必要だ
――よく分かりました。政府が提示したこれらの事例そのものが、必ずしも集団的自衛権行使の必要性を示している訳ではないのですね。
北澤 政府はこれらの事例を示し、「だから集団的自衛権が必要なのだ」と公明党を説得したかったのでしょう。しかし公明党は、いま私が説明した考え方とほとんど同じ内容で反論して、結論がうやむやになった。そのため政府は、これら8事例について明快な説明が出来なくなったのです。
それなのに無理やりあの閣議決定に持っていったのです。与党協議のなかで15事例がどのように検討され、具体的にどういった結論が導き出されたのか、政府・与党は国民に説明する義務があります。
――政府が今回示した事例のなかには、今後のわが国の防衛体制を考えていく中で、私たち自身が真剣に検討すべき課題は一切含まれていないのですか?
北澤 それは違います。米ソ冷戦の終結、中国の台頭や朝鮮半島の緊迫化など東アジアを巡る情勢の変化、国際テロの拡散、サイバー攻撃に代表される脅威の多様化など、わが国を取り巻く諸情勢は、近年大きな変化を遂げています。民主党政権下で策定した防衛大綱はそれに対する答を示したものでした。これらの情勢変化に対応した法制度や、 運用の在り方を不断に検討すること自体は、決して否定されるべきものではありません。
――民主党は、これらの情勢変化に対応し、日本の領土・領海・領空を守るために、どのような法整備が必要と考えますか?
北澤 例えば、尖閣諸島などの離島に武装漁民が上陸した場合など、一義的には海上保安庁など警察機関で対応するにしても、状況によっては自衛隊が出動しなければならない事態も今後は想定されるでしょう。しかし、自衛隊出動までに至る局面では、時間や権限、武器使用などの様々な「すきま」が指摘されており、スムーズな対応ができないという懸念があります。これらを克服し、警察機関と自衛隊による切れ目ない対応を実現するためにも、新たに「領域警備法制」を整備する必要があると考えます。
集団的自衛権の行使を認めるのなら、憲法改正すべき
――民主党は「安全保障法制の整備に手をつけなくてよい」と考えているわけではないのですね。最後に、個別的自衛権での対応と集団的自衛権の対応の違いは何なのでしょうか?
北澤 拙速な安倍内閣の議論の進め方は問題外であるとしても、本当に将来にわたって集団的自衛権を検討しなくていいのかという意見があることは、私も承知しています。
ただし、少なくとも今回政府から示された事例に関していえば、従来の個別的自衛権や警察権で対応することが十分可能だし、また、その方が適切です。
従来の専守防衛は、「わが国に対する急迫不正の侵害があること」が大前提です。私が説明した「着手」の見直しも、この大前提を崩すものではありません。歯止めが利いていますし、従来解釈との整合性も十分にとれます。
一方で、今回の閣議決定に示された集団的自衛権の行使には、既に述べたとおり、事実上歯止めがありません。従来解釈との整合性も到底とれていない。それを閣議決定で変えてしまおうと言うのだから、立憲主義の観点からもとんでもない話です。
私たちは、日本国憲法の基本規範である平和主義を大切にし、専守防衛の基本的考え方を守っていきたい。そのうえで安全保障上の新しい課題に適応しようとするのであれば、自衛権と警察権の一部再定義が最もふさわしいと考えます。
それでもなお、集団的自衛権の行使が必要な局面があるのだとすれば、解釈の変更ではなく、憲法を改正して行うべきです。それこそが立憲主義の本旨であり、王道だと思いますよ。
――本日はありがとうございました。
(プレス民主8月1日号より)



