- 2014年09月03日 00:42
取引所ルールもプリンシプルの時代(エクイティ・ファイナンスコード)
市場ルールの形成ということでは、最近ライツイシュー(ライツ・オファリング)の在り方に関する上場制度整備懇談会のリリース等が話題になっています。ただ、取引所として(たぶん)初めてのプリンシプル・ルールである「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル(案)」が8月末に公表され、こちらもけっこう重要ではないかと考えています。
このたびの会社法改正でも一部手直しがなされましたが、公募増資、第三者割当増資、ライツ・オファリングといったエクイティファイナンスでは、法令やルールに違反しているとまでは言えないものの、その本来的な活用方法を逸脱した手法によって一般投資家や株主に多大な損害を発生させる上場会社の事例が散見されます(最近のライツ・オファリングの活用実態については、たとえば伊藤歩さんの会社法務A2Z 8月号「時事解説 岐路に立つライツオファリング」等が一般向けで参考になります)。また、ひとつひとつの経済行為を捉えれば法令違反とは言えないものの、全体の計画を総括的にみれば違法行為の疑いが強い、といった企業活動も指摘されているところです。
プリンシプルコードは、そのコードに違反することにペナルティが発生するわけではありませんが、ルールベースで規定されている法令等による規制だけでは後追い感が強く、投資家や株主が迷惑を被ってからでなければ規制ができないという現実の弊害を少しでも防止できるように、ということで、原則をもって規定されたものです。もし、まじめな会社がこのプリンシプルコードに反する「疑い」を自ら感じた場合には、投資家や株主から疑惑をもたれないよう、合理的な説明を尽くすことが求められるのであり、むしろそういった説明責任を企業に尽くさせることが狙いの一つではないでしょうか。ルールベースの規制手法の補完・・・という位置づけもできそうです。
会社法や金商法違反に該当するかどうか・・・、ときどきですが意見書の作成が求められます。そういったとき、時間軸や空間軸を使って適法性や妥当性を判断したり、鳥の目と森の目を使い分けて判断するわけですが、プリンシプルも、そういったモノサシの役割になればいいですね。プリンシプル案の(はじめに)において、弁護士、公認会計士、コンサルタント等の市場関係者等において、広く共有されることを期待する、とありますが、株主エンゲージメントによるガバナンス改革が進む中、こういったプリンシプルが、対話のための道具になるのかもしれません。



