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総火演 そんなにエライか「富士山撃ち」

 さて先日、恒例の陸自の富士総合火力演習が終わりました。

 あいも変わらず、榴弾砲を空中で富士山型に炸裂させる芸当を披露し、これを陸自特科の練度の高さだと自賛しています。
 多くの人達が、自衛隊の技量の高さに驚き、自衛隊への信頼を高めたことでしょう。


 ですが、大丈夫ですか。
 自分たちまで「俺たち最強」とか思っていませんか。

 確かに高い技量は必要でしょうが、率直に申し上げて、実戦ではなんの役にも立たない技能です。総火演で富士山撃ちに感動した人達には感動に水をさして申し訳ないですが、事実を知ることは必要です。
 

  陸自の特科は先進国からは20~30年は遅れています。

  富士山撃ちなら現在の自走砲を使えば誰にでもできます。

 陸自では未だに射撃は紙の地図を頼りに、音声無線で行っています。ですが、先進国はもとより南アフリカやUAEなどでもデジタル化された前方観測部隊から司令部がデータ情報を得て、各砲に目標のデータ、チャージの種類、仰角、発射数などをデータ通信で行います。
 

 こういうC4IR、ネットワーク化では、陸自は悲しいくらい遅れています。 UAVもFOSSはペイロード、航続距離も足りない事実上の失敗作で信頼性も低い。
 このため事実上砲兵観測用のUAVはありません。
 パキスタン軍ですらもっとUAVを活用しています。


 人民解放軍ですら導入しているレーザーで終末誘導を行う精密誘導砲弾の導入もいまだありません。

 航空機による火力支援や火砲による火力支援を行う前方火力統制を行う部隊もありません。


 いわば超音速戦闘機が普及している時代にレシプロの戦闘機で戦うようなものです。
 昔ながらの「牧歌的」な砲撃を行っていては、精度の高い砲撃は無理ですし、敵のレーダーやISRアセットによって場所を特定され素早く反撃されてあっという間に砲兵陣地は壊滅です。



 国内では最大射程で榴弾砲を撃てないために、最大射程の射撃は米国の演習場での訓練だけになりますが、これは年に数門だけが派遣されます。つまり最大射程で射撃を経験した隊員は極めて少ない。

 こういう極めて深刻な事態にあるのですが、陸自には危機感が全くありません。現状を放置して新自走榴弾砲という玩具を欲しがっています。

 現大綱では火砲は300門となります。であれば、使える火砲もスクラップにする必要があります。仮に新型榴弾砲が必要でも大した数でなく、これを新たに開発・生産すればコストは極めて高くなるのは火を見るより明らかです。とうぜんネットワーク化や前方観測手段の近代化、精密誘導砲弾の導入などは先送りになるでしょう。

 しかも現状、弾薬の備蓄も少なく、弾薬を運ぶ兵站も極めて細っています。

 にも関わらず,火の出る新しい国産玩具を欲しがるわけです。総合的な戦闘力を向上させようという意識が感じられません。

 
 かつて海自は自分たちの掃海能力は世界最高と自画自賛しておりました。
 ところが湾岸戦争後の掃海に派遣されて、他国と一緒に「実戦」を経験すると、自分たちがいかに時代遅れだったかを思い知らされました。これを期に掃海システムの近代化が行われました。

 外の世界を見ないで「俺たち最高」と仲間内で盛り上がっていれば実戦で痛い目をみます。

 それを納税者までが無邪気に信じるのは極めて危険です。
 別に自衛隊にシンパシーを感じるな、とはいいませんが、現実は現実として認識すべきです。


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。


フジテレビ、愛国報道の「異様な光景」
ジャパンエキスポは排他的なイベントではない
http://toyokeizai.net/articles/-/45401?page=2
 

コマツが防衛事業から撤退すべき5つの理由
取り組み姿勢が、キャタピラーとは対照的
http://toyokeizai.net/articles/-/45208

英航空ショー出展、中小企業「匠の技」とは?
盛んな商談、航空機ビジネスに食いこむ好機に
http://toyokeizai.net/articles/-/44434

新しい防衛航空宇宙専門サイトを始めました。
「東京防衛航空宇宙時評・Tokyo Defence & Aerospace Review」

http://www.tokyo-dar.com/


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