Barron’s : Technology Stocks’ Sky-High Valuations, Reminiscence Of Dot-com Bubble.
今週のバロンズ誌は、失業率と労働参加率が低下する隠れた理由に迫っています。詳細は、こちらをご参照下さい。
当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートは、ソーシャルネットワーク関連やハイテク関連のバリュエーションに着目。アマゾンがゲーム・ファン向け動画配信サイトを運営するトゥィッチを9億7000万ドルで買収した件に触れ、まるで1999年当時のデジャビュのようだといいます。ITバブル崩壊前夜の当時のごとく、数多くの新興企業が「割高」だからです。
トゥイッチで驚くなかれ。時間限定の動画・写真共有アプリ、スナップチャットの評価額は100億ドル(1兆500億円)!クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズの出資を受けているとはいえ無料アプリでどれだけ売上および収益を見込めるか未知数であるのに、マルチビリオンダラー・クラブの仲間入りを果たしています。
ゲーマーの心を掴み、月ごとのユニーク・ユーザー数は5500万人。
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(出所 : Twitch)
リムジン配車サービスのウバー、ドキュメント管理サイトのドロップボックス、自宅を宿泊客にレンタルするエアビー・アンド・ビーと肩を並べるほどなんですね。この3社はサービス料金・仲介手数料を徴収しており、収益性は明白ですが・・。
S&P500が2000pの大台を突破し最高値で引けた半面、ダウ平均が終値ベースで過去最高値を更新できないなかで失速ムードが漂いつつあるのも事実。S&P500構成銘柄での自社株買い額は1−3月期に1590億ドル(16兆6950億円)で過去最大を記録した一方、4−6月期は1200億ドル(12兆6000億円)へ鈍化していました。自社株買いを行う銘柄を集めた上場投資信託(ETF)である「 Powershares Buyback Achievers (PKW)」 は2013年初めからS&P500を約30%上回っていましたが、さすがに過去最高値を更新するなかで企業も自社株買いに慎重になればパフォーマンスに現れることでしょう。
Fedの政策もさることながら、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長も一部のソーシャル・メディア銘柄やバイオテクノロジー株に対し「割高」と発言していました。今は株式市場に参加するより傍観していた方が賢明、とバロンズ誌は結びます。
T・S・エリオットは長詩「荒れ地」で「4月は残酷な月」と記していましたが、父イエール・ハーシュが始め息子のジェフリー・A・ハーシュが編纂を続ける「ストック・トレーダーズ・アルマナック」によると株式市場にとって最も残酷な月こそ9月。1950年以来、9月のパフォーマンスは28勝34敗で12ヵ月で最低なんですよね。2000年3月にバロンズ誌が株価下落を警告した後でITバブルが崩壊したように、今回も的中するのでしょうか。
ストリートワイズは、小型株がテーマ。2013年の勝者だったラッセル2000は年初来から8ヵ月間で1.7%上昇する程度で、S&P500の10%を大いに下回っています。8.3%ものかい離は、ITバブル崩壊前にあたる1998年以来で最大なんですね。
小型株は通常、短期金利が上昇し長期金利が低水準にある局面で弱含む傾向が高い。まさに現状に当てはまります。それだけではありません。クレディ・スイスによると、国内総生産(GDP)が2−3%ならラッセル2000の平均リターンは23%である一方、成長率が加速すると失速する反比例の関係にあるというのです。割安な雇用を確保できず、生産が追いつかず、売上が頭打ちに遭い、期待以上に利益を計上できなくならば、成長拡大はグッドニュースとは言えませんものね。
折しも4−6月期GDP改定値は4%を超えただけでなく、上方修正されました。失業率も金融危機が発生した当時の水準まで改善しています。景気拡大局面で強いて言うなら、20倍を超えたラッセル2000銘柄の株価収益率(PER)から過熱感が後退したのは朗報と言えるでしょう。