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第二次ベビーブーマーの複雑な心境

かつての隆盛を知る者としては、何だか切なくなるような記事が週末から新聞紙面をにぎわせている。

「大手予備校『代々木ゼミナール』を運営する学校法人高宮学園(東京・渋谷)は全国27カ所の校舎を7カ所に減らす方針を固めた。20カ所では2015年度以降の生徒募集をやめて休校し、事実上閉鎖する。」

「代ゼミは大学受験の浪人生を主な対象に運営してきたが、少子化や現役志向の高まりで浪人生が減り、業績が悪化していた。」

(日本経済新聞2014年8月23日付夕刊・第1面)

その後、25日の夕刊には、「代ゼミ全国模試」や、「センターリサーチ」も廃止する、というさらに衝撃的なニュースが掲載されている*1

センスがものをいう理系はともかく、1年余分にやればやっただけ知識量で圧倒的に差が付く文系で、名門大学の伝統ある学部に入ろうと思ったら、1年、2年の浪人は当たり前だった受験社会を経験した人間にとって、「三大予備校」の威光には絶対的なものがあった。

自分も、大学受験に関しては相当出遅れていて、高3の夏を迎えるころまで、ほとんど受験対策には手を付けていないような状況だったから、冬に差し掛かっても、「志望校現役合格」など到底夢のまた夢、で、「センター試験で少しでもよい成績をとって、翌春から少しでも良い条件で予備校の門をくぐりたい・・・」という思いの方が、遥かに強かったように思う。

「三大」予備校といっても、東大の一部の学類よりも入るのが難しいと言われた御茶ノ水のS予備校や、設備の良さ(?)にはとにかく定評があったK塾に比べると、「代ゼミ」は一、二枚落ちる、というのが、当時生意気盛りだった母校の生徒たちの風評だったのだが、それでも、二大名門予備校が決して手を出さないような関東近郊の地方都市に、ちゃんと校舎を設けてくれる親切な予備校だったこともあって、模試などでは、ちょくちょく活用させていただいていたと記憶している*2

それが、約20年の歳月を経て、一気の規模縮小・・・である。

「三大予備校」という称号が、既に過去のものになっているのだろうなぁ・・・ということは、かなり前から何となく察していて、特に、「現役合格」に狙いを定めた新興勢力がCMでも街角の看板でも、かつての伝統的予備校を圧倒するようになっていることに対しては寂しさを感じていた*3

特に、“城下町”に林立していた校舎群が一気にシュリンクしてしまった某予備校などには、傍から見ると、とてつもない侘しさを感じていたわけで、それに比べると、最近(といっても、もうだいぶたつのかもしれないけど)、代々木に豪華な新校舎を立てた代ゼミなどは、まだまだ頑張っているのだろうな、と勝手に思っていたのだけれど・・・。


様々なところで論じられているように、受験界の様相が様変わりし、代ゼミが最大のターゲットにしていた「中間層」に「浪人受験」という市場がほとんどなくなってしまったことが、今回の“一斉手仕舞い”を招いたことは否定できないだろう。

そして、かつての自慢だった“講師陣”も、東進ハイスクールなどに完全にお株を奪われて久しいことを考えれば、むしろ“よくぞここまでもった・・・”という評価の方が、ふさわしいのかもしれない。

でも、いくら理屈を付けて説明されても、10代の多感な時期に脳裏に刻みつけられた記憶が生々しく残っているだけに、「違和感」はしばらく消えないのだろうなぁ・・・と思うところである

あの時代を生き抜いて通り過ぎてきた者として。。。。

*1:日本経済新聞2014年8月25日付夕刊・第15面。

*2:いわゆる“指定校割引”みたいなサービスで割安で受けられたうえに、母集団の裾野が広く、S台やK塾のあまりに厳しい評価で擦れた心が少しでも癒されるように・・・という不純な動機で受けたことも多かったような気がするが、それでも重宝はしていた。

*3:結局、じっとりと「予備校」の世話になる経験はしなくて済んだだけに、愛着もそれほど、という状況ではあったのだが・・・。

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