- 2014年08月28日 19:29
「fコマース」の再興を目論むスタートアップ「Soldsie」
2/23カ月で1千万円の売上を達成した成功事例
Soldsieの顧客は、実店舗もウェブサイトも開いていないというビジネスオーナーが多数を占める。Soldsieでは、これらの顧客たちに次のいずれかの場合に、Soldiesのサービスを活用すると特に効果的だとアドバイスしている。
・定期的に開くフラッシュセール(週1回同じ曜日の同じ時刻に開くことを推奨)
・新製品のリリース
・新しく入荷した商品の販売
・ディスカウントセール
Soldsieのサイトにある「Case Studies」のページでは、Soldsieを活用したことにより、大きく売上を伸ばした成功事例が多数紹介されている。
以下では、その中から、コスプレファンの女性がコスプレ用にコルセットを中心としたコスチュームを10年以上に渡り、デザインして販売している「Damsel in this Dress」というショップの事例を紹介しよう。
事例 Damsel in this Dress
Damsel in this Dressは以前は、販売の場としてハンドメイド製品のマーケットプレイスEtsyを利用していた。
しかしEtsyはおびただしい数の売り手が出店しているため、潜在顧客の注目を集めるのは難しい。そこでDamsel in this Dressは福袋を販売する作戦に出た。作戦は的中し、福袋セールは毎回大人気になった。しかしEtsyのバックエンドシステムは、一時点に殺到する注文を処理することには向いていない。用意した個数を上回る注文を受けてしまい、注文した顧客を後でがっかりさせるということが何度も起きた。
また、Etsyには、低コストで大量生産した製品を販売する同業者も出店していた。材質にこだわり、ひとつひとつ手作りしているDamsel in This Dressは、そうした業者に価格では絶対に敵わない。コスプレのコスチュームというニッチ分野で同業者との差別化を図る場としては、Etsyはあまり適していなかった。
そこでSoldsieのサービスを試すことに決めた。facebookはすでに開いていて、約1万5000人のファンを獲得していた。Soldsieのスタッフからのアドバイスに従い、時間制限付きのフラッシュセールという形式で販売を開催することにし、最初のセールの前にファンたちにfacebookやブログなどを通じてSoldsieのしくみについて説明し、どのような商品を販売するかを宣伝した。
そして開催した第1回のセールでは、期待をはるかに上回る5000ドル(約50万円)の売上を記録。その後も毎週水曜日にセールを開催し、3カ月での売上は合計10万ドル(約1000万円)を超えた。その内訳は70%がリピート顧客によるもので、30%が新規顧客によるものだという。
今年5月20日に投稿された以下のfacebook記事は、翌日の山岳部時間の午後7時から新しくデザインしたコルセットなどを通常の20~50ドル(約2000~5000円)引きで販売するイベントを開催することを告知している。
すでにSoldsieを使ったセールは何度も開催しているが、新しいファンに配慮して、Soldsieのシステムを説明し、「簡単かつ迅速で、素晴らしい!」と大絶賛している。
2年前、数々の大企業が挑戦して失敗したfコマースに、多くのスモールビジネスが成功しているのはなぜだろうと思ったが、実例を見てみると納得できる。Soldsieで成果をあげているビジネスのオーナーたちは、facebookでの販売を始める前に、オフラインでの催しやソーシャルメディアで自分の人柄や個性を前面に出して顧客との関係を築くことに努めてきたのだ。
「バーで友人と楽しんでいる人たちに品物を売ろうとするKYな人」と思われずに、ソーシャルセリングを成功させる秘訣は、販売活動を始める以前から「ソーシャル(社交)」に力を入れておくことにあるのではないだろうか。
「ソーシャルセリング」が次世代のeコマースになり得る理由
ソーシャルメディアは人から人へと感情が伝染しやすい。facebookやInstagramで何人ものユーザー、特に好意を抱いている人たちが「sold」と入力しているのを見ると、つい自分もつられてその商品を購入したくなることは容易に想像がつく。他人の購買行動が視覚で確認できる点がSoldsieの大きな強みだ。
無名のスタートアップが立ち上げた新規のサービスを利用するために個人情報を登録するのは、買い手にとっても心理的な障壁となる。Soldsieはその障壁もソーシャルメディアの持つ伝染性を利用して乗り越えている。
"チェックしているfacebookページのいくつかが、最近、Soldsieを活用してセールを開催するようになった。知らないサービスに登録するのは気後れがするが、素敵な製品が手に入るチャンスを私だけ逃すのは嫌だ。これまでのコンフォートゾーンから踏み出して、登録してみることに決めた。"
- ハンドメイドのジュエリーやアートが大好きな女性ブロガー
いったん登録すれば、ソーシャルメディアからECサイトへと移動する手間なく、気に入った商品を購入できるので、中断なくソーシャルメディアでの交流を続けられる。買い手にとっては、友達と一緒にショッピングに出かけるような感覚で楽しみながら買物を済ませられ、時間の節約にもなる。
また、ソーシャルメディアでは、ECサイトに比べ、より個人的な会話を交わせるため、売り手と買い手がお互いをより人間として意識しやすい。これは顧客エンゲージメントの向上に繋がる。
今のところ、ソーシャルセリングの担い手はスモールビジネスのオーナーたちが中心だ。しかしこれだけ多くのメリットがあれば、すでにECサイトを開いている企業も含め、様々な規模の企業がそう遠くない将来、挑戦する可能性は高い。ECサイトの商品とは別に、facebookファンのために特別な商品を販売といった活用法もありそうだ。



