- 2014年08月28日 19:29
「fコマース」の再興を目論むスタートアップ「Soldsie」
1/2このブログを開始したのは2012年5月25日。早いものですでに2年が過ぎた。何を話題として取り上げたらよいのか悩みながら、どうにか書き上げた第1回では、数々の有名企業がfacebookを商品販売の場に使うこと(fコマース)に挑戦したものの、期待していたような成果につながらず、fコマースからの撤退が相次いでいるという米国のビジネス事情をレポートした。
当時は米企業の多くがfコマースに対して「F評価(落第)」を下しており、マーケティングの専門家による「(facebookで商品を販売しようとするのは)バーで友人と楽しんでいる人たちに品物を売ろうとするようなものだった」という分析にも説得力があった。
家族や友人との交流を目的とする「facebook」は、「コマース」とは相性が良いはずがない......そんな見方が優勢だった2012年5月、「Soldsie」というスタートアップがサンフランシスコで密かに誕生していた。Soldsieは「fコマースは成功する」という可能性に賭け、facebookを通じて商品を販売するためのサービスを開発した。
Soldsieのサービスを利用すれば、実店舗どころか、ウェブサイトさえ開いていない人でも、facebookがあれば商品を販売することができる。Soldsieを利用して、fコマースにトライする事業主の数はロンチから4カ月後には75に達した。その中からは年間売上100万ドル(約1億円)を突破した大きな成功事例も生まれている。
こうした成果から、Soldsieの創設者たちは「eコマースはやがてソーシャルメディアを販売の場とする『ソーシャルセリング』に必然的に移行する」と予言し、昨年11月には、Instagramで製品を販売するためのサービスの提供も開始した。
今年5月に400万ドル(約4億円)の投資金を確保し、昨年、当ブログで紹介したソーシャルコマースのプラットフォーム「Chirpify」と並んで、ソーシャルセリングをリードする有望株として注目を浴びている。
起業後、スモールビジネスのオーナーたちが本当に何を求めているかを発見し、軌道修正
Soldsieの創設者Chris Bennet(以下ベネット)氏とArrel Gray氏は、2011年、スモールビジネスのオーナーたちがソーシャルネットワークでの情報を取り込んで、簡単にウェブサイトを開設できるようにしたツール「Central.ly」を開発した。
Central.lyの営業のために、彼らはシリコン・バレーにあるスモールビジネスの店や事業所を何軒も訪れたが、ビジネスのオーナーたちはウェブサイトを開くことには関心がなかった。それよりもfacebookで自分たちの存在を確立することに懸命で、小売店を訪れると、その店のオーナーや店員が新しく入荷した商品の写真をfacebookに投稿しようとしている最中ということが何度もあった。
facebookにアップした新商品の画像を見たその店のファンが「いいね!」をクリックし、その画像をシェアし、コメントをつけてくれれば、実際に店に足を運んでその商品を購入してくれる客が増える。小さな店にとっては、facebookこそが販売促進活動の場だったのだ。それならいっそのこと、その場で販売まですべて行えるようにしたらどうだろうか?
2人はオーナーたちに「facebookで直接商品を販売することに興味がありますか?」と質問したところ、彼らの目はいきなり輝き、「イエス」の答えが数多く返ってきた。
"人々はソーシャルネットワークでたくさんの時間を費やしている。ECサイトに移動しないで、そのままそこで決済まで済ませられれば、ずっと便利なはずだ。"
- クリス・ベネット氏
そこで彼らは思い切って、Central.lyのアイデアを捨て、facebookで商品を販売できるようにするサービスの開発に方向転換することを決意する。
Soldsieを使って商品を販売する手順
では、彼らが完成したSoldsieのサービスを使って、facebookで商品を販売する手順を見てみよう。
1.売り手がSoldsieにアカウントを登録し、そのアカウントをfacebookページにリンクさせる。
2.売り手がfacebookで商品の販売を開始する。
販売を開始するには、facebookの記事に商品画像をアップロードし、商品についての説明と購入方法についての説明を記す。
3.facebookを訪れた顧客が商品を購入する。
商品を購入したい顧客はその記事のコメント欄に「sold(売却済み)」と入力すればよい。商品によってはサイズや色なども指定する。売り手によっては、メールアドレスの入力も求める場合があるが、Soldsieでは推奨していない。
購入プロセスを完了するには、顧客もSoldsieにアカウントを登録する必要がある。アカウントは1回登録すれば、以降は新たにアカウントを登録する手間をスキップして、Soldsieを使っている別の売り手からもfacebookを通じて直接商品を購入できるようになる。
4.顧客がチェックアウトする。
Soldsieから顧客のfacebookに直ちにインボイス(請求書)が送信される。顧客がこのインボイスの「Check Out(チェックアウト)」をクリックすると、Soldsieが顧客のPayPal口座またはクレジットカード口座から料金を引き落とす。Soldiesは手数料などの料金を引いた残りを売り手の口座に15日以内に振り込む。
「sold」と入力した顧客が送られてきたインボイスをチェックアウトせずに、ずっと放置してしまうケースもありえる。そういうケースに備えて、Soldsieでは、売り手が予め指定しておいた時間が経過すると、顧客にリマインドするためのメッセージを自動的に送信し、それでも反応がない場合は購入をキャンセルしたものとして扱う機能も用意している。
また、顧客が数量やサイズ、色など必要な情報を指定せずに「sold」と入力した場合や、用意されていないサイズなどを指定した場合には、請求金額0のインボイスを顧客に自動的に送信し、顧客がすぐに修正できるようにしている。
5.売り手が顧客に商品を発送する。
Soldsieでは、在庫やインボイスを管理するためのソフトウェアを用意し、売り手がfacebook内で受注や発送状況、顧客のデータなどを管理できるようにしている。
facebookではなく、Instagramで販売する場合も、基本的な手順は変わらない。顧客はやはり「sold」と入力することで商品の購入意思を伝える。
顧客はスマートフォンやタブレットからでもSoldsieのサービスを利用できるが、売り手側の管理用ツールは現時点ではパソコンのブラウザのみに対応している。
Solsieのサービス料は現在、サイトに明記されておらず、利用したい売り手がメールで問い合わせることになっている。
昨年8月にSoldsieを利用して商品を販売したブロガーによれば、売上額700ドル(約7万円)に到達するまでは無料のお試し期間とし、それを超えると、販売した商品価格の3%が手数料として徴収される料金体系だったという。Soldsieでは価格設定をいろいろと試している最中なので、現在では、変更されている可能性がある。
いずれにしろ、利用者の評価を見ると、本格的なECサイトを開設する場合に比べ、経済的で、手間も少なく、ソーシャルに集中できる点が特に喜ばれているようだ。



