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軍事は石破氏頼み、でいいのか?


自民、崩れる双頭態勢 石破氏、譲れぬ安保論 首相は「無役では党で埋没」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140825/stt14082513010004-n1.htm

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140826-OYT1T50019.html?from=ytop_ylist
石破氏受けぬなら「安保相作る意味ない」と幹部

 実際問題として川上の高尚な安全保障論を語る政治家は多々いるのですが、行政機関として防衛省、自衛隊に詳しく、また装備などの川下の話まで分かる人は石破氏以外に殆どいません。
 自衛官出身でも自衛隊を暴力装置と呼ぶのはケシカランとか、防衛費を上げろ、自衛官を増やせとなんとかのひとつ覚えみたいに繰り返す人達やら、利権だけが目的の人達が軍事の専門家といえるでしょうか。
 予算増やせ、自衛隊は常に正しいと繰り返すだけなら中学生でもできます。

 かつて石破氏と雑談していた時に「党内でも軍事は石破に任せればいいという空気がある。だが自分が間違えたら誰が糺のだ」と仰っておりました。 まさにその通りです。
 自民党を含めて我が国には軍事に強い政治家の層が極めて不足しています。

 のみならず、議会の調査機能も米国などに比べて低く、会計監査院も米国のGAOのような詳細なセカンドオピニオンを出すような機能もありません。ですから世間で流通する情報は防衛省の「大本営発表」が中心となります。防衛省は他の民主国に比べて情報開示が少なく、これではまともな議論のベースが提供されているとは言いがたい。

 特定の個人に頼るのは一種独裁への道です。また、過ちを犯す可能性も大きくなります。
党内、あるいは国会内で同じ知的基盤をもった議員同士か議論することよって、議会が活性化し、メディアも納税者の知識も増え、議論も活性化します。
 軍事は特にそうですが、政治の特定分野をたった一人に頼るのは極めて危険です。

 ぼくは比較的考え方は石破氏に近いと思いますが、それでも石破氏のすべてを肯定するわけでもないし、意見の異なることがあります。異なる意見の人間が議論を戦わせることによってしか得られない、知見や見識も少なくありません。
ですが政治の場ではそれがあまり期待できない。石破氏が断るならば安全保障相は不要というのであれば、それは与党の人材が極めてプアであることを告白しているようなものです。


 本来国家の運営において財政、外交、国防は政治の三本柱です。ところが自民党は国防のエキスパートを育ててこなかった。かつて防衛庁長官は半年交代で、大臣量産機としてしか機能していませんでした。防衛庁長官って、永田町や市ヶ谷では「大臣」と呼ばれていたわけですがそれは「大臣ゴッコ」であり、一種の自慰行為です。

 形而上学的な安全保障論だけを語っている人は、まともな政策をつくれません。例えばオスプレイの利点と欠点は何か、また調達コストや維持コストはどうか、他の装備体系がオスプレイの導入によってどのような影響を受けるのか、とかということを把握していないと戦略を政策に落としこむことはできません。
ですから今の今の安倍政権のように自分たちで判断することもなく、アメリカ様から言われたのでバカ高いオスプレイをガンガン買いますという胡乱なことをするわけです。
 

 そして野党に下ってからも自民党は防衛に強い人材の育成を怠ったってきました。
 まあ、野党も同じですから、国会でまともな論戦も行われてきませんでした。このため世界的にみて我が国の防衛論議は極めて異常な状態が続いています。
 これがモナコとか、リヒテンシュタインならば話は別ですが、我が国は世界有数の経済大国です。自国の安全保障政策の不備が自国は勿論、世界に与える影響も極めて大きいわけです。

 PKOに行く部隊が機関銃を1丁持って行くのか、2丁にするのかなどということを議会で議論する国が他にありますか。

 先月ぼくは防衛省報道官の会見で質問しましたが、報道官は「グローバルホークの運用部隊も構想も決まっていない」と明言しました。それでいて、来年度の概算要求でグローバルホークを要求するわけです。つまり、買ってから使い方を考えるということです。納税者を舐めているとしか思えません。

 普通の国ならばこれは議会で大問題になります。
 ところが、我が国では、このようないい加減な調達が問題になることさえありません。
 メディアも報道も問題視することをしません。

 
 これが法務省ならば弁護士とか法曹界、厚労省だと労組とか、医師などからのセカンドオピニオンが多数だされ、メディアにも専門家が多いので、流通する情報も多く議員や納税者も多くの知見が得られます。
 ですが防衛は機密が多い上に、普通の国の軍事常識が欠除していますから報道も浮世離れしたものが少なくありません。
 ですから議員や納税者がセカンドオピニオンに触れる機会がなく、センセイ方は防衛省からのご説明ばかりインプットされ、それを無条件に信じてしまいます。ある意味洗脳です。彼らは防衛省の都合のいいことだけを信じて政策を決定します。

  主として軍事をやろうと思っている議員は選挙に弱くて生き残れません。軍事に強くて、選挙にも強い石破氏はいわば突然変異みたいなもので、我が国で同様な議員がでてくることは極めて難しいでしょう。

 ですから一定数の軍事に強い政治家を生むようなシステムが必要です。例えば選挙で地方区を全部やめて、全国区にすればそのような人材が政治家として生き残るシステムを構築するとか、全国区で一定数の国防・外交担当議員枠をつくるなどの方策が必要です。

 何の対策も取ってこなかったから、必要性もロクに考えず、調査もせずにアメリカ製の高い玩具を買うことが国防強化だと思い込むような、アレな首相がでてきたりするわけです。
 オスプレイ買うカネがあればまともな国防担当議員と秘書、そしてシンクタンクでも作るべきです。

 国防に強い議員が何故少ないのか。どうしたら育成できるのか。これは与野党超えた議論と対策が必要です。

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