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戦争はどのように始まるのか?

※本シリーズは、8月27日発売の「文藝春秋SPECIAL 2014秋」との共同企画です。本誌掲載記事の一部を4週にわたって配信いたします。(BLOGOS編集部)
<中学生に教える戦争Q&A>

今さら聞けない常識を教えます


杉井 敦・星野了俊(戦略・安全保障研究家)

Q.戦争はどのように始まるのですか?

 1945年6月、第二次世界大戦の戦勝国(連合国)が署名した国際連合憲章は、すべての加盟国に対し、武力による威嚇または武力の行使を禁じています。

 現在、例外として実質的に許される武力行使は、個別的または集団的自衛権の行使と、国連の軍事的強制措置だけです。

 第二次世界大戦以前は、基本的には相手国に対して最後通牒を通告するか、もしくは宣戦布告をした上で戦時に移行するという手順を踏んで、戦争が始められていました(実際には、宣戦布告なしの戦争も数多くあります)。日本の真珠湾攻撃が問題とされるのは、アメリカ政府への最後通牒の通告が遅れ、結果的に宣戦布告が正式に行われる前に攻撃を仕掛けた形となってしまったためです。

 しかし、第二次世界大戦後は、たとえ宣戦布告を行おうが最後通牒を通告しようが、侵略行為はすべて国際法上違法であるとされています。

 とはいえ、もし仮にどこかの国が有無を言わさず侵攻してきた場合、これに抵抗しなければ多くの国民の命が犠牲になり、領土が奪われ、最悪の場合国家が消滅してしまいます。そこで、武力攻撃を受けた国連加盟国は自衛権を行使し、戦時に移行することとなります。この場合、国連安全保障理事会にその旨を報告する義務が発生しますが、たとえ相手国に宣戦布告し、国連安保理への報告義務を果たしたとしても、それが自動的に正当な行為であると認定されるわけではありません。開戦事由の正当性や戦争犯罪については別途、国際戦犯法廷や国際司法裁判所などで司法判断が行われることとなります。

プロフィール

杉井敦
すぎい あつし 1989年福岡県生まれ。防衛大学校卒業。2013年、防衛省・自衛隊を退職。著書に『防衛大学校で、戦争と安全保障をどう学んだか』(星野了俊との共著)

星野了俊
ほしの あきとし 1988年埼玉県生まれ。防衛大学校卒業。2013年、防衛省・自衛隊を退職。著書に『防衛大学校で、戦争と安全保障をどう学んだか』(杉井敦との共著)

防衛大学校で、戦争と安全保障をどう学んだか(祥伝社新書) - 杉井・星野氏の共著

「文藝春秋SPECIAL 2014秋」

最高の執筆陣が「忙しすぎるビジネスマンのための新戦争論」をテーマに語り尽くします。
▼<特別対談 戦争を知らなければ世界は分からない>情報、ニュースの達人が論じ尽くす 宗教、民族、経済、軍事のすべて(池上彰×佐藤優)

▼商社マンが見た紛争とエネルギーの内幕(岩瀬昇)
▼悪魔の投資戦略 尖閣有事には日本株を空売り(橘玲)

<日本経済を守る究極の危機管理>
▼2030年最悪のチャイナリスクに備える(川村雄介)

▼日本の領土と魚を狙う中国1000万漁民の正体(山田吉彦)
▼セキュリティのプロに学ぶ 在外邦人の守り方(菅原出)
▼今こそサハリンからパイプラインを(藤和彦)
▼日本の株式市場は地政学的リスクに弱い?(吉崎達彦)

<「今世紀最も重要な経済書」>
▼オバマも注目『21世紀の資本論』が米国で40万部も売れた理由(広岡裕児)
▼緊急寄稿 世界的な歴史人口学者が絶賛 ピケティ 鮮やかな「歴史家」の誕生(エマニュエル・トッド)

▼VISUALひと目でわかる戦争マップ2014(監修:能勢伸之/福好昌治/菅原出)
▼徹底比較・米中日露NATOホントの実力/主要国の防衛費推移/「優良企業」はどこか?

▼<国家緊急権をめぐって>非常事態 安倍総理は決断できるか(橋爪大三郎×大澤真幸)

▼自衛隊員に聞く 海外派遣の真実(森健)

▼集団的自衛権、慰安婦、靖国 朝日・読売の戦争観を問う
(若宮啓文(元朝日新聞主筆)/橋本五郎(読売新聞特別編集委員) 聞き手・宮崎哲弥)

▼「世界三大戦略家」が予言、牙をむいた大国の運命それでも中国は自滅を止められない
 (エドワード・ルトワック/インタビュー・構成 奥山真司)

<東アジアは世界の火薬庫>
▼元自衛隊参謀が警告する 尖閣激突シミュレーション(福山隆 元陸将・西部方面総監部幕僚長)
▼北朝鮮 拉致再調査とミサイルの論理(五味洋治)
▼韓国女性学者が解読「朴槿恵と中国」 イ・サンスク(国立外交院客員教授)
▼日米中 戦争の「損益分岐点」(星野了俊)
▼人民解放軍幹部「言いたい放題」過激発言のウラ側(富坂聰)
▼集団的自衛権と日米ミサイル防衛(能勢伸之)
▼大国に負けないベトナムのしたたかな戦略(富坂聰)

▼中学生に教える戦争Q&A(杉井敦・星野了俊/別宮暖朗任を問われるのか

▼<世界覇権の文明史>アングロサクソンはなぜ最強なのか(中西輝政)

▼戦後七十年目の国体論(小川榮太郎)
▼アブない隣国からの核攻撃に「想定外」はない(清水政彦)
▼特別講義 エンタメ国防論(辻田真佐憲)
▼特攻の遺書とハムレット―'78 年生まれの靖国体験(浜崎洋介)

▼<気鋭の女性国際政治学者による大胆提言>日本に平和のための徴兵制を 三浦瑠麗(東京大学・日本学術振興会特別研究員)

▼<日本人主夫の涙目日記>モスクワの空の下、戦争のニュースが流れる(栗田智)
▼防大生が読んだ戦略論の名著(杉井敦・星野了俊)
▼<コラム>戦争を変える新兵器(能勢伸之)


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