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都市を魅せる−銀座に路面電車が走ったら - 土堤内 昭雄

今年の夏休み、トルコのイスタンブールを訪ねた。イスタンブールは、2020年の夏季五輪開催地をめぐり、東京と最後まで争った都市だ。なぜ、イスタンブールが落選したのか、私には正確な理由はわからないが、東京と比べると地下鉄網があまり発達していないなど交通インフラの整備が不十分で、中心部の道路渋滞が激しく、それが敗因のひとつになった可能性はあるように思う。

東京とイスタンブールを比較すると大きな違いがある。森記念財団が公表した「世界の都市総合力ランキング」(2013年10月)によると、総合スコアでは、東京4位、イスタンブール27位だ。分野別では、経済、研究・開発、居住、環境の分野で、東京はイスタンブールを大きくリードしている。一方、今年4月、世界最大の旅行口コミサイトのトリップアドバイザー社が公表した「世界の人気観光都市2014」では、イスタンブールが1位、東京はトップ25にも入っていない。

イスタンブールは確かに旅行者にとって非常に魅力的な街のように見える。旧市街などは、道路は狭く、決して清潔とは言えないが、曲がりくねった路地や起伏ある地形は、人々の目線に変化を与え、旅行者の感性を刺激する。点在する美しいモスクのドームやミナーレ(尖塔)は独特のスカイラインを形成し、丘から見えるボスポラス海峡を行き交う多くの船は旅情を誘う。

イスタンブール随一の繁華街であるイスティクラール通りは、歩道もなく、幅員もあまりないが、路面電車が走り、車や歩行者とも共存している。金角湾に架かるガラタ橋の下には、多くのレストランが軒を連ね、大勢の観光客と釣り人で賑わっている。東京は世界トップレベルの機能性を有するが、残念ながらイスタンブールのような観光客で賑わう道路、橋、広場は乏しい。2020年東京五輪に向け、訪れる外国人観光客に対してどう東京の魅力をアピールするのか、今後の大きな課題だろう。

かつて新橋から日本橋にかけては都電が走っていた。そこで、銀座通りに再び路面電車を走らせてはどうだろう。近年、地方都市で路面電車の復活が見られるが、私が提案したいのは、テーマパークのアトラクション用ライドのような街を“見せる”ための乗り物だ。屋根つきのオープンデッキ型で、道路に向かってベンチシートが並び、時速10キロ程度で走り、乗客はゆっくり街を眺め、楽しむことができる。これからの街づくりには、来街者の感性に訴える装置が必要だ。橋の上に飲食店をつくるには、都市計画の関連法規を見直すことも必要だろう。都市を“見せる”とは“魅せる”ことであり、その実現に向けた斬新な仕掛けと規制緩和が求められているのではないだろうか。

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