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国庫債務負担行為財政法改正も? 防衛省、新型哨戒機長期契約、総論は猛反対だ 平成27年度概算要求

来週である2014年8月末に向けて、平成27年度(2015年度)予算の概算要求に関する報道が花盛りとなっています。

 今週はNHKや、けさ付日経新聞で、防衛省が、海上自衛隊の新型国産哨戒機「P1(ピーワン)」について。中期防で23機を装備し、P3C(ピースリーシー)の後継機として、はるか洋上の監視のため自由に空を飛び回ってまわることになっていて、執行中の平成26年度本予算で3機購入。残り20機のうち、「4機を平成27年度一般会計で概算要求することも考えていた」(NHK)と報じられましたが、国庫債務負担行為の設定に回して、平成27年度から5年以上の期間をかけて、20機購入することを概算要求(防衛省から財務省主計局に見積書を電送)する方向になりました。

 国庫債務負担行為は財政法第15条で「5年間まで」となっています。

 これについて、当ブログはことし1月17日付エントリー(

財政法改正法案で国庫債務負担行為を5年から10年に延長、2015年通常国会提出か

)で、国庫債務負担行為を5年から10年に延長する財政法改正法案が来年の通常国会に予算関連法案(日切れ法案)として提出されるのではないかと指摘しました。上のエントリーは、防衛省のIP(インターネット・プロトコル)である「mod.go.jp」からたびたび読んでいただいており、ご愛読感謝します。もちろん、「俺メディア」であるgooブログの方の話であり、それが転載されている、BLOGOSの読者について、私は知るすべがありません。

 ただ、財政法をもっとていねいに読み込むと、「ただし、国会の議決によりさらに年限を延長するものは」「この限りでない」となっています。

 防衛省は、財務省に対して、財政法の改正という「誘い水」を含めて、このP1の長期契約を概算要求するかまえとみられます。

 まず、私の立場としては、気持ちは分かるが、反対です。

 理由は簡単で、国庫債務負担行為は日本国の信用に基づく契約なので、10年間の間に、政権交代し、民主党内閣ができたときに、財政の自由度が減るからです。もう一つは、財政民主主義、予算議決主義の観点から、国会による政府のコントロールが弱まるからです。

画像を見る
[画像]現在執行中の平成26年度本予算一般会計予算での防衛省の国庫債務負担行為設定の例、これは「F35A戦闘機」で、5年間で20機購入、総額(限度額)3795億円なので、1機あたりの調達コストは下がっても、総額としての後年度負担はけっして安いものではありません。平成26年度本予算一般会計予算書のPDF1309ページ(紙媒体では1311ページ)から、スクリーンショットし、トリミングのうえ、筆者(宮崎信行)が赤囲み。

 逆に言うと、民主党に政権交代する可能性があるから、防衛省は必死に、防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画の閣議決定だけでなく、予算書で縛る国庫債務負担行為の延長を考えているわけで、それは気持ちは分かるどころか、職責として当然とさえ感じます。

 賛同の方向で言えば、島国日本の信頼性が高く、長期金利が今週はナント0・5%割れするほど世界に信頼された国家なので、債務負担行為の設定を長期化した方が、単年度のみならず、長期的にも日本の税金の効率的な使い方が可能になります。

 反対の方向で言えば、他省とはいえ、国庫債務負担行為の決算で、内閣府経済社会研究所が、コンピューターの購入で、限度額より安く落札したのに、限度額で計算したために、五月雨式に決算に間違いが生じ、麻生太郎財務大臣の命令で、各府省の担当者が死に物狂いで計算し、国会の決算審査も大幅に遅れました。これ、当たり前なんですが、国家公務員が国庫債務負担行為の限度額にもとづく、入札予定額よりも安く落札してもらっても、その公務員の給料や人事考課にはなんのプラスにもなりません。その代わり、後年度に私財での弁償を求められることも絶対にありません。だから、インセンティブが低いのは当然です。人よりシステムが優先される日本は、島国だからこそ、なるべく緩和したい。

 提案としては、財政法改正法案ではなく、このP1の購入に限定した特別措置法案をつくって、国会に提出するということもできるでしょう。現実的でないけれども、この国庫債務負担行為だけを補正する平成27年度第1次補正予算案をつくって、本予算と同時に審議、採決。採決で、野党が反対できるようにしてもいいでしょうが、たとえ過半数でも、国庫債務負担公については、自民党・公明党のみならず、民主党の賛成も必要であるという慣例を国会につくるということもあります。

 もちろん、継続費や明許繰越費というのもあります。現在の予算書の国庫債務負担行為で、民主党への政権再交代後に問題になりそうなものは、防衛省、国土交通省とも、さほどないと、私は認識しています。ただ、しっかりと原理原則はつくっていきましょう。

 ちなみに、川崎重工業は、売上高、利益とも2割増しのペースのようですね。ことしも富士総合火力演習の抽選に落ちた一般人の筆者(宮崎信行)には縁遠い話ですが。

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