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わからないことだらけで、ネガティブな思考との闘いだった~大野更紗×麻美ゆま対談・前編~

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友達と家族の絆だけでは、支えきれない段階に到達してしまう

永田:診断名が付かないと、手続きが進まないという現状の制度の問題点。さらに医療費が掛かる中で、仕事ができなくなると、経済的にも困窮してどんどん追い詰められていくというお話でした。

麻美さんと大野さん、お2人の著書を読んでいると、病気と闘っていく中で周囲が支えてくれるんだけれども、一方で周囲と気まずくなってしまうというような場面も描かれています。その部分がすごくリアルだと思ったのですが、お2人が病気になった際に、周囲の反応はどのようなものでしたか。また、病気の方に対して、周囲はどのように接すればよいでしょうか。

大野:私は、今振り返ると、本当に周囲に恵まれていたなあと思うんです。自己免疫疾患という種類の病気なんですけれども、そういうことを話すと、周りの人たちはみんな察してくれるわけなんですよね。「一生、治らないんだ」「現在の医学では、根治療法はなくて対症療法しかないんだ」と。

しかも、ステロイド剤や免疫抑制剤といった、非常に副作用の強い、合併症の多い薬を使わざるを得ない。そうした薬で病気を押さえつける対症療法治療を一生続けます。だから、私の場合は友達はみんな、とっても親切でこれ以上ないほど優しかったんです。

でも、とにかく最初は辛かった。自分が流浪の民みたいに病院をさまよう中で、「ほんとにここで最後にしよう」「ここで受け入れてもらえなかったら、このまま新幹線のホームから飛び降りて死のう」と思って、郡山駅の新幹線のホームから電話を掛けたら、「はい、はい」とドクターが電話をとってくれたんです。M先生というのですが、「M研究室です、どうしましたか?」と言われて、間違えたと思って「すみません、間違えました」と返すと、「いいえ、間違ってないと思いますよ。どうしたの?」と言ってくれて。それで、新幹線のホームで自分の病状を説明すると、「今から、東京に来られるの?今日ちょうど僕の外来が午後空いてますから、あなたはラッキーだよ。すぐにいらっしゃい」と言われました。そのまま、とんとん拍子に話が進んで、その病院で今も治療を続けているのですが。ギリギリの局面で出会ったドクターたちにも恵まれていた。

入院してからも、なおやっぱり辛かった。入院してから怒涛の検査の日々で、診断名がようやくついて、どういう病気か分かってから、まず考えたことは「働けない」ということ。私は、この先どうしたらいいんだろうということです。それが辛くて、とにかく辛くって、入院生活の最初の半年くらいはお見舞いに来てくれる友達に、いかに自分が悲劇的で辛いかということを滔々(とうとう)と話していましたね。

「周囲がどう接するのがいいか」という質問でしたが、その回答なんか、私は全然持ち合わせていないんです。悟ってもいないし、病気を受け入れているのかと言われたら、たぶんまだ葛藤と闘いの渦の中にいる。ただ、今、発症したばかりの頃を振り返って言えることは、おそらくあれ以上のことは、誰にもできなかったと思うし、友人や家族はそれほどのことをしてくれたんです。それでもやっぱり友達と家族の絆だけじゃ、この病を抱えた自分という存在を支えきることは無理なんだという結論に、ある一定の時期に到達する。

今は逆に、重い病気や難病の人に接すると、滔々と辛いことを聞きながら、「うんうん、そっか」みたいな感じで、相づちを打つことが多いんですが。滔々と聞いた後に、「そっか」と相づちを打つことが、結構、大事な時期が最初はあるのかなと思いますが。

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