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「国民の常識を踏まえた政党として再生を」船橋 洋一氏

 民主党改革創生会議は、来年春の統一自治体選挙勝利に照準を合わせ、党改革のあり方を議論してきた。その議長には本紙1月3日号で党の出直しを提言いただいた船橋洋一氏が就任し、2カ月間にわたって議論をリードしてきた。船橋氏に同会議の提言の概要などを聞いた(インタビューは7月24日に実施)。

日本の政党政治のために民主党は必要

画像を見る 日本再建イニシアティブ理事長 船橋洋一氏

  ――議長をお引き受けくださった思いとは?

 私は民主党員ではありません。しかし、民主党政権はなぜ3年3カ月で壊れてしまったのか。それについては非常に残念で、私たちのシンクタンク「日本再建イニシアティブ」で検証しようということになり、『民主党政権 失敗の検証』という本を中公新書から出しました。このまま民主党がダメになった場合、日本の政党政治のバランスが崩れるのではないかという思いがあります。何事も競争原理が必要です。切磋琢磨(せっさたくま)して野党はしっかりと与党を監視し、対決しなければいけない。そしてまた政権を取る。政権交代は本当に必要です。日本の政党政治にとって、民主党がこのままではいけないという思いがあります。しかし、民主党は1年半経っても元気がない。このままでいいのかと考えていたところに改革創生会議のお話をいただき、本をまとめた責任も感じ、ちょっと分不相応と思いながらも引き受けました。

 ――会議の印象を教えてください。

 自治体議員の話をぜひ聞かせてほしいと、第5、6回会議で地方組織・自治体議員からヒアリングしました。いろいろな視点、地方組織の独特の取り組み、住民に応えて政策立案に奮闘する自治体議員等々、さまざまな活動を聞くことができました。これが一番の収穫でした。

 地方組織も自治体議員もそれぞれ苦しく、「民主党の旗の下では戦いたくない、戦えない」という声がある。それでも「民主党のど真ん中で行く」という気概のある人たちが逆風のなかでも足場を築き、旗印をもう一度打ち立てようじゃないかとしっかりと活動している。単に精神論ではなくて、みんな苦労し工夫している。そういう人たちの取り組みはお互いに吸収し、シェアしなければいけないと感じました。

生命力ある政党へ 一丸で根っこを作れ

 ――7月25日に決定する提言の方向性を教えてください(提言詳細は次号333号掲載)。

 政策よりも政党運営、物事の動かし方・決め方などの政党ガバナンス、権限と責任のあり方等を定めることに力点を置いて提言をまとめています。それを求めるのは民主党に生命力のある政党になってもらいたいからです。21世紀の初頭に10年間ぐらい花開いて泡沫のごとく消えた政党にはしたくない。しっかり根付いて、もう一度政権を取って、自分たちのビジョンを実現していく政党であってほしい。

 根っこを作るには、候補者だけでなく、党としても政党助成金を配るだけでなく、努力をしてもらいたい。統一自治体選では、閣僚経験者、特に先の衆院選で小選挙区で勝ち抜いたような人たちは、担当ブロックを決め、手分けして徹底して候補者支援をやってほしいと思います。

党運営見直し、地方重視、女性の登用が提言の柱。必ず実行を

 提言の柱の第一は「党運営のあり方をしっかり見直す」ことです。党運営がダメだったとする見方は民主党が実施した世論調査でも顕著で、多くの人が民主党の失敗は「政策と政党運営」と言い、政党運営の失敗を指摘する声は80%で最も多い。一方、同じ世論調査で「民主党のビジョンは評価できる」という声が50%以上あるのです。

 つまり、民主党のビジョンは評価できると今でも多くの国民が思っているわけですよ。「また頑張れよ」ということで、「お前らはいらない」ということではありません。

 その際、民主党のカラ―は穏健中道と言い切ろうということで会議では一致しました。自治体議員をはじめとして、また政権を取るのだから左右に極端にふれないでくれという意見がありました。「ど真ん中の生活者」、つまり国民大多数の常識を踏まえてニーズを受け止め、国民生活に照準を当て、生活者の視点で政策を作っていくことが重要です。安倍政権は中道が薄く右に大きく振れすぎているわけですから、民主党は穏健中道に凝集力を強めることが必要なのです。

 第二は「地域を重視する」ことです。民主党は一部の組織や利害を代表する政党ではなく、国民の大多数を代弁しなければいけない。その際、地域に暮らす人たちと一緒になって政治をつくっていく、地域住民に開かれた政党でなくてはなりません。いろいろなミニ集会から始め、ネットワーク型の横のつながりをつくるべきです。集会・ミニ集会は、まさにトクヴィルがアメリカの民主主義で指摘したように民主主義の基本、開かれた政党の土台なのです。地域に根差して開かれた政党を国民と作っていく。これが提言に込めた政党ビジョンの第二です。代表選のあり方も検討を求めます。地方で予備選挙を行ってボトムアップするなど、あり方を変えてほしいと思います。

 第三は「女性の登用」です。党の男女共同参画委員会は、女性議員増に向け「女性候補者の擁立・支援と必要な環境整備に関する提言」を取りまとめ、今年2月に常任幹事会に提出しています。また、クオータ制の実現などもだいぶ以前から主張しています。「とにかく実行せよ」と提言では書きました。来年の統一自治体選挙はここから始めよと言っています。

 女性候補者を後押しする組織を作り、意識的に女性候補者支援に取り組むよう提言では求めています。民主党は自民党に比べ要職についている女性が少なく、女性議員の比率も少なくなってしまった。女性党職員の登用も極めて不十分だと思ったので提言に盛り込みました。

 ――提言の実現に向けて民主党にどのような覚悟を求めますか?

 民主党の国会議員は物分かりがいい。しかし、私たちが出した提言に「できない」と反論してもらってもいいと思います。「やるべき」という人と「無理だよ」という人とで議論し、ぎりぎりで妥協したところで実行してほしい。議論を尽くし、先送りしないで迅速に決め、決めたことは守り、指導力を発揮して動かすことを期待します。

 提言は2カ月の短期決戦で作った報告書ですが、極めて具体的に書いています。私たちは常識人なので100%全部明日からやれとは言いません。しかし、提言をまとめた以上は実行してほしい。

 民主党の立て直しを「誰かがやってくれるだろう」と思っている限りは、民主党は二度と立ち上がれない。自分たちの問題ですから、「自分たちがやらなければ誰がやるのか」です。野党再編とか再結集とか、そんなことにうつつを抜かしている暇はない。民主党は、まず自分たちで立て直して下さい。いずれは大連立も政策協定も必要になる局面があり得ると思います。そのときはぜひやるべきです。しかし今ではない。民主党が自分で自分を立て直す姿を国民は「できるのか」と見つめているのです。規定課題を先にやってほしい。自由課題は次でいいということです。

(プレス民主8月1日号より)

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