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「リクルート本」という一大ジャンル 付き合い方のポイントはこれだ 

リンク先を見るサイゾー 2014年 09月号 [雑誌] [雑誌]
サイゾー2014-08-18






『サイゾー』の2014年9月号の特集は「ヤバイ本」。その中で、「リクルート本」というコーナーでコメントしている。これが、リクルート関係者、および同社のファン、アンチともに楽しめる特集になっている。ポイントをお伝えしつつ、そこで語りきれなかったことなどもお伝えすることにしよう。

一言で言うならば、「リクルート出身者って、なぜあんなに本をだすのか?」「テンション高すぎなリクルート出身者本をどう読み解けばいいか?」「そもそも、リクルート出身者の経歴ってどこまで本当なの?」など、リクルート本、もっと言うと、リクルート出身者に対して薄々感じている疑問を代弁した内容になっている。

書籍のタイトルで「最強」「NO.1」などの言葉が多すぎないかとか、テンション高すぎないかとか。90年代以降に入社した人にとっては会ったことのある人の方が少ない江副浩正氏の言葉をあたかも自分の言葉のように受け売りしつつ(・・・こういうのを意識高く、”DNAが生きている!”なんて言う人もいる)、リクルート時代の成功体験を社外秘すれすれの話で述べ(社外秘の問題もあるので、やや総論になっており、自分の心情などを述べている)、精神論を語り、ノウハウの総論を述べ、最後にまた名言・・・。こんなフォーマットになっている。

この「ノウハウの総論」を述べるというのも、リクルート出身者本の重要な特徴である。というのも、リクルート出身者本は、本人のセルフブランディングツール、営業ツールでもあり、ここで興味を持ってもらい、自分の企業の受注に繋げたいという下心があるため、全部のノウハウは開示しないのだ。この辺のさじ加減もポイントだ。

出身者の経歴について、この特集では水野俊哉氏がHotPepperを立ち上げたという人に10人くらい会ったことがあるというエピソードを紹介している。どの事業もなんらかのかたちで立ち上げに関わった人はいるわけなのだし、「私がこれをやった!」と言える人が多い仕事は、良い仕事とも言えるのだが。とはいえ、「◯◯を立ち上げた」人や、「◯◯の編集長だった」という人が多すぎて、何がなんだかわからないとも言える。この点において言うと、私も「トヨタとの合弁会社の初代メンバー」という意味で、「立ち上げた人」を名乗ってもいいのかな。黒字化に大きく貢献したけどな。◯◯の編集長というのは、人事異動で一瞬、そうなったりするわけで。こういう「アレ俺詐欺」の連鎖なのである。

たいていは1冊目を読めばOK。また、タイトルが過激で煽り気味なので、タイトルと著者名を伏せて、立ち読みしてから決めることをおすすめする。傑作と言える本も中にはあるのだが。

誰もが薄々思っているリクルート本に対する疑問がよくまとまっている特集だと言える。

特集に載らなかったので、少し補足するが、リクルート本というか、リクルートOB・OGが本格的にブレークしたのは2000年代に入った頃なのだな。その頃、松永真理さん、くらたまなぶさん、藤原和博さんのメディア露出が増え、小笹芳央さんが独立したくさん本を出し。リクルートに対して第一に想起することが「リクルート事件」ではなくなったのもこの頃だ。また、日経平均が7,000円台まで落ちた時代であり、世の中に閉塞感がある中(って、リクルートの閉塞感もすごかったけどな)、元気そう(に見える)リクルートやそのOB・OGに注目が集まったというわけだ。そう、不景気になるとリクルート本に注目が集まるというのもある。みんな、その頃からこのブランドを利用した。当初はよく売れたので、出版社もリクルート本を企画した。気づけば元リクが供給過剰になっていった。

ただ、このリクルートのOB・OG問題というか「卒業生」問題というのは、そろそろ幻想を壊すべき時期なのではないかとも思っているし、そう主張し続けてきた。明らかにリクルート時代の実績も、今の実績も怪しい人って多くないか(・・・俺か!)。誰でも彼でもそう名乗るので、逆に諸先輩方が築いたブランドが崩壊していないか、本体にもご迷惑をおかけしていないかとも言える。とはいえ、今のリクルート社員より目立っている人もいるわけで、リクルート社員が小粒になったと取引先から言われる中、OB・OGのブランドでもっているとも言える。

昨日、先輩とランチをして盛り上がったが、私はそもそもリクルート関係者が言う「卒業」という言葉が大嫌いだ。「退職」と言え、と。「卒業」と言えるほど、社内で何かを成し遂げたのか、大学を卒業するのに単位や卒論が必要であるように学ぶべきことを全て学んだのか、やり残したことはないのか。たいてい、ある。

お前が、卒業と、言うな、と。

実際は「中退」、時には「除籍」くらいの人が多くないか。そんな現実も、リクルートを「卒業した」などという輩は、虚心に直視するべきだし、「卒業する」なんて公言している人がいたら疑うべきだ。

リンク先を見るリクルートという幻想 [新書]常見 陽平
中央公論新社
2014-09-09





今、私は『リクルートという幻想』という本の仕上げにかかっている。リクルート本に代表されるような、誰もがこの会社に対して、薄々感じている疑問に答える本であり、同社の幻想を粉砕する本である。

この本は、愛と怒りの本だ。おかげ様でOB・OGなど関係者にはご注目頂いており、こういう本を出すべきだ、よくぞ書こうと思ってくれたという声もある一方で、心配の声やすでにご批判も頂いている。

ただ、いったん、ここでリクルートに対する幻想の整理をするべきだと思ったのだ。それこそ、リクルート本や、リクルートOB・OGってどうなのか。良い部分、悪い部分をちゃんと整理することで、同社と関係者の評価・評判もまともなものになるのではないかと考えたのだ。同社は「ブラック企業のお手本」という声もある。同社を中途半端に真似ると、どんなことになるのか。そんなことも明らかにしたかった。

画像を見る

時代を動かす本にしたい。今週はこれに集中する。9月10日頃発売。9月3日には記者会見も行う。

ご期待頂きたい。

さて、あなたが面白いと思ったリクルート本、気持ち悪いと思った本は何?

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