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週刊ポスト「水嶋ヒロ(本名:齋藤智裕)受賞は八百長」の余波が面白い件について

 小説本編よりも周辺事態のほうが格段に面白い本件でありますが、表題週刊ポストの記事に抗議し拳を振り上げたはずのポプラ社で社員の民忠が下がって叛乱、受賞レースでっち上げ&八百長のネタを各所に持ち込んで炎上という二次災害に発展しております。

 本件の何が面白いのかというと、まず小説がどうしようもないほど面白くないこと、その割に舞台装置が豪華で、しかも本がしっかり売れてしまったので、貧乏純文業界の声のでかい人たちが激怒して騒ぎが拡散しているという状況そのものがコメディであり、まさに時事アートだともいえるクオリティの高さにあります。

 純粋に商売で言うと、ポプラ社は騒ぎがここまで大きくなるとは思わなかっただろうけど売るための仕掛けとしては非常に効果あったというところでありまして、本屋にモノを押し込む経緯といい美談のでっち上げ方といい、巧さを感じさせる素晴らしいビジネスモデルだったと思います。

 売れればいいのかという批判が一杯出てますけど、売れればいいんですと言われたらそこで終わりであり、ディスカヴァーだろうがハリーポッターだろうがケータイ小説だろうが”「パッケージ」や「メディア」としての本というマテリアル”と”「知識」や「格式」としての本のあり方”とは違う以上、別にいいじゃねえかそういう世界で生きてるんじゃないんだからという話であります。

 基本的には、本を売りたいのであり、その本の中身がいかにクズであろうともマーケティングさえしっかり立っていればモノは売れるという覇道を突き進んでいるという点で、売れない本を出している凡百の出版社や著者は遠吠えに過ぎないよねえという。

 問題は、この手のマーケティングを「騙し」と感じて不快に思った人がどれだけ多く、その後のポプラ社のビジネスにどれだけ響くのかということでありましょう。水嶋ヒロが類似の小説を書き続けて大作家になるという可能性がミニマムであることは、一発屋の人生という点でもしドラ級の成長曲線に思いを馳せざるを得ないんですが、ポプラ社としては商売を続けていくわけで、むしろそっちに興味あります。

 普通、あのレベルのものを純文として出して、仮にも大賞の本として世に出すのは抵抗あるでしょう。常識的に考えて、編集者が思い切り赤を入れるなりゴーストを立てるなりして、最低限の品質を担保しようという行動に出るのが出版社本来の流儀だろうと思います。今回の騒ぎだって、そこそこの品質で、賛否両論が出るレベルの作品であったならば、ここまで叩かれることもなかったでしょう。

 しかし、現実にはトイレットペーパーにもならんような壊滅的クオリティを隠すことなく盛大に露呈し、残念を通り越して途方に暮れるほどの破壊力を持つ呆然コンテンツをありのまま世に出したという偉大な判断が行われ、しかも忠実にそれは実行されたということを考えると、むしろポプラ社は水嶋ヒロという素材に対して実は誠実だったんじゃないかという感想さえ抱かせます。だって、普通は書き換えちゃうよ。

 ネタとして、最高級だったからみんな満足しているんじゃないですか。楽しかったですよ。まだいろいろ起きて欲しいし、騒動はもっともっと広がって、mixiやDeNAを巻き込んでみんな共倒れして欲しいと願っています。

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