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「進研太郎」とコピーライトトラップについて

過去のエントリー「不正競争防止法の観点からジャストシステムの責任を考える」で、名簿業者は、不正取得行為が介在したことについて善意(事情を知らない)かつ無重過失であれば不正競争防止法の責任を負わないと書きました。

これに関連して毎日新聞に「ベネッセ流出:名簿業者も不正認識か ダミー部削除し転売」なんて記事が乗っています。ジャストシステムに名簿が渡った段階で、ベネッセがデータに入れていた「進研太郎」などのダミーデータが削除されていたことから、(少なくとも一部の名簿業者は)不正取得行為を知っていた(ゆえに、不正競争防止法上の責を負う)のではないかというお話です。

こういうダミーデータはコピーライト・トラップとも呼ばれ(生データには著作権は及びませんので厳密に言えばコピーライト・トラップではなく、コピー検知トラップとでも言うべきですが)、地図の不法コピーを防ぐために昔から使われてきました(実際には存在しない道をわざと描いておく)。他にも、プログラム・コードに絶対実行されない不要な部分をわざと入れておいたりとか、ICのレイアウトで意味のない回路を入れておいたり等々はよくあり、コピーがあったこと(独立した作ったのではないこと)を立証に有効でした。どこかのカナ漢変換ソフトで、特定の文字列を変換すると「ピカチュウ」と変換されるというトラップもあったと記憶しています。

今回は、コピーライト・トラップが見つかったことでコピー行為が立証されたというわけではなく、コピーライト・トラップが見つからなかったことで事情を知ってコピーしたことが疑われるというパターンであるのは興味深いです。

とは言え、「進研太郎」が削除されていたからと言って、これだけでは故意の立証にはなり得ないと思います。データクレンジングの段階で日本の姓名としてあり得ない情報を自動的に削除している可能性もあるからです。アンケート等で姓名を入力させると偽名(たとえば、「大日本太郎」とか)や現実にない住所を入力されるケースもあるので、辞書と突合して削除するのはよくある話(というかデータ品質向上のためにはやっておくべきこと)であるからです。

【関連記事】
不正競争防止法の観点からジャストシステムの責任を考える

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