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市場参加者の視線の先が変化、相場急変に注意

 日常、目にしているものについては特に何も考えずに過ごしてしまうことがある。しかし、実は自分でよくわかっていなかったものも多々ある。むしろ、そのほうが絶対的に多いのではなかろうか。

 台風11号が日本列島を縦断したが、この台風、自分で動いているように見えて、実は水面に浮かぶ葉のように漂っているだけなのをご存じであったろうか。このため、その進路は高気圧や低気圧、前線等の影響を受け、そこから予想をする必要がある。

 その意味では、株価なども同様であろうか。自分で勝手に株価は動いているわけではなく、市場参加者の思惑というか、欲と欲とのぶつかり合いによって揺れ動いている。これは債券相場も同様であり、市場参加者のそれぞれの事情等を背景に価格が成立している。

 現在の相場を見る上で、この市場参加者の視線がどこにあるのかを意識することは非常に重要である。相場の解説をする上でも、視線の変化を感じなければなかなか適切な説明は難しい。これについてケインズは美人投票とのたとえを出していたが、私自身はこのたとえは少し違うような気がしている。他人が美人と感じる人を選ぶのではなく、いまはこういった人がコンテストで優勝できるというその時々の流行を意識して投票する必要があるのではなかろうか。美人というのは絶対的なものが存在しているわけではなく、あくまで相対的なもののはずである。

 少し前置きが長くなってしまったが、現在の金融市場の参加者の視線の先がどうやら変化しつつあるように思われる。これについては先日も書いたが、特に欧州市場で顕著のように思える。視線の先には常に中央銀行の金融政策が意識されていたような状況が長らく続いていたが、そこから一歩引きつつあるような動きが始まっているように思われる。

 米国では10月にもテーパリングが終了し、来年の利上げが視野に入る。イングランド銀行は7日のMPCで金融政策については現状維持を決定したMPCでは利上げを巡っての討議も進められたものとみられ、年内の利上げの可能性もありうる。

 7日はECB政策理事会も開催され、こちらも現状維持となった。ドラギ総裁は会見で、「地政学的リスクが世界中で高まったことには疑いの余地がない」などの発言をしたが、市場ではやや期待外れの内容だとの声があったようだ。しかし、そもそも発言内容への期待そのものもそれほどなかったものと思われる。ECBの金融政策の期待というか関心も薄れてきているのではなかろうか。

 相場は今後の中央銀行の金融政策に何かを期待するよりも、今後の相場動向そのものに対する不安感を強めているように思われる。出口を模索している米国や英国はさておき、追加緩和の可能性を残しているとされるECBや日銀は、その追加緩和は容易ではないことも市場でも理解されはじめている。日本では株価対策のようにしか見えないGPIFの日本株への配分見直しや、かんぽ生命の株式投資拡大なども小手先の手段でしかなく、目先のアナウンスメント効果狙いというのも見透かされている。

 このような状況下、8月8日の日経平均株価は15000円の大台を割り込んできた。日経平均の日足チャートをみると、7月31日を目先のピークに調整入りしている。日足だけをみるとここからさらに下げ足を速め、あくまでチャート上からではあるが、14000円あたりまでの調整も十分ありうる格好となりつつある。もちろんこの背景には一時過去最高値を更新した米国株式市場の調整がある。トレンドが変化するほどの大きな調整はいまのところ考えづらいが、地政学的リスクを含めてあらたな不安要因がここにきて出てきていることも確かである。

 ドイツの10年債利回りは過去最低を記録し、2年債利回りは一時マイナスを記録した。これにはECBの追加緩和の効果も当然出ているものの、質への逃避による動きと思える。市場参加者の視線の先が変化し、相場の流れにも変化が出ている。今週からは夏休みモードとなり、市場参加者も減ってくることも予想される。閑散なときに相場が大きく動くことも多く、ヘッジファンドなどが仕掛けてくる可能性もある。相場の動きに目が離せなくなりつつある。

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