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中国政府にとって大事なのは世論ではなく法

『環球時報』が掲載していた社説「社评:“舆论至上”幻觉诱导去报社“自杀”」が法律及び政治学を学んだ私としては大変興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

 本当時間があったら、かなり詳しく訳したい私的には興味深い社説ですが、全訳はやはりきついので、適当に省略した形で紹介させていただきます。

 8月7日に又、中国青年報の玄関で、7名の“大衆”が“自殺”しようとした。中国青年報の玄関での“自殺”騒動はこれで1ケ月に2件目だ。この7名の“自殺”騒動を起こした者は刑事拘留された。

 こうした“自殺”騒動は、自分の目的のために世論の注目を集めることだ。こうした世論は中国社会で大きな力となりつつあり、何度かインターネット上ですばらしい効き目を表し、汚職官僚を抹殺した。

 どのように世論の力を使うかは、中国社会の新しい問題だ。ある人はインターネットの世論こそが“民意”としており、ひどいのになると、ネット上の世論が法律の上だとまでする者もいる。

 新聞社の玄関で薬を飲んで“自殺”騒ぎを起こすものは、世論の権力の拡大に幻想を抱いている。“世論が国を治める”として、ネットの支持で、自分の訴えを実現しようとしている。こうした法律外の極端な行動を取る人が増え、中国の新しい問題となっている。

 こうした極端な行動は、法律に対する不信感で、時には裏社会の方法で問題を解決しようとするものだ。社会は決してこうした方向を許さず、私達は必ず法律を社会の中心とし、争いを解決していかなくてはならない。

 公権力はもちろん民間の叫び声に耳を傾ける。しかし、如何にどんな大きな与論でも、全て法律と照らし合わせなければならず、法律に違反しているものは受け入れられない。公権力は世論を尊重することが必要だが、世論を恐れてはならない。

 一部の世論は、“権利保護”を扇動し、公事にかこつけて私腹をこやすこともある。また、中には誤った社会認識を持っているものもある。実際だからこそ“自殺”騒動などを引き起こしている。

 法律により、私達は冷静にならなくてはならない。短期的な目的のために、世論を使って公権力や法律に挑戦するような行動はしてはならず、それは中国の公衆の利益とはならない。

2 法治主義

 法学を学んだことのある人なら聞いたことがあるかと思いますが、まさに法の支配と法治主義の問題です。簡単に違いを述べておくと、法の支配とは、専制(断)的な国家権力(王権)の支配を排斥し、権力を法によって制限することによって、国民の権利や自由を擁護することを目的とする原理です。

 それに対し、(形式的)法治主義とは、内容の正しさを問わず法であれば通用する(国民は従わなければならない)といういわゆる法による支配の原則を言うもので、戦前の大日本国憲法などが典型ですが、どのような政治体制とも結合可能となっております。

3 共産党一党独裁

 そうしたことを踏まえ、現在の中国を考えると、中国憲法にもあるように現在の中国の法による大原則は共産党一党独裁で、これを侵すことは何人たりとも(中国人もできませんし、外国人などは論外です)できません。

 つまり、如何に世論が共産党の支配に反対していたとしても、中国ではそれは認められる話ではなく、法律違反として罰せられるということになります。

 そして中国では言論の自由が制限されているため、マスコミなどを通したりして自己主張をすることができません。そのため、社会で不合理な目にあっている人は自分の状態を訴える正当な手段がありません。

 結果、ネットなどを通じて極端なパフォーマンスを行い、世間の注目を集めるしかないわけで、このブログでも何度か紹介しておりますが(入院費用が払えず、一家4人が裸で抗議女性が30mのクレーンに登って給料未払いを抗議)、かなり極端なことを行って自分が現在置かれている状況を知ってもらおうと考える人が大勢います。 

4 最後に

 当然こうした方法が正しいとは私も思いませんが、だったら中国政府はこうした大衆が声を上げることができる場を提供すべきです。

 それをしないで自分たちが勝手に作った法律に違反するからと国民を処罰し、一方的に法治主義の正当性を主張してもどこまで国民は聞き入れるかという話です。

 実際、この記事の下には感想が入れられるようになっているのですが、あの愛国主義者の集まる『環球網』でさえ、「可笑しい」という感想が最も多くなっており、中国人も当然それほど馬鹿ではないということが見て取れます。

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