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ロシア人の「赤ひげ先生」逝去 享年90歳

リンク先を見るエフゲニー・ニコラエヴィチ・アクショーノフ (ロシア語: Евгений Николаевич Аксёнов、英語表記:Evgeny Aksyonov、1924年3月5日-2014年8月5日)は、日本在住のロシア人医師。専門は外科、特に腹部外科。東京都港区麻布台、飯倉片山の交差点そばに「インターナショナル・クリニックInternational Clinic」を開設、在日外国人から来日する著名な外国人の滞在中の健康管理などでも知られる医師。英語読みでユージン・アクセノフ(Eugene Aksenoff)とも呼ばれる。家庭面では、日本人の妻との間に息子が一人いる。

インターナショナル・クリニックは「確かにアクショーノフ先生は昨夜(2014年8月5日)亡くなった。われわれ全員にとって大きな喪失だ」とコメントしている。享年90歳。

画像を見るエヴゲーニー・アクショーノフさんはロシアの内乱後、ロシア革命で赤軍に追われて満州からハルビンに逃げた白軍(ロシア革命期の反革命側、革命側の赤軍に対する総称)の白系ロシア人の将校とドイツ人の母親の息子として、1924年ハルピン郊外ヤーブロニャ(現在のハルビン市尚志市亜布力鎮)のドイツ系病院で生まれた。写真は5歳のころハルピンで
アクショーノフさんの父は馬の飼育に従事していたため、これがきっかけで乗馬が大好きだった日本の天皇一家と知り合うことになった。日本人代表団はアクショーノフさんの父が飼育していた希少な品種の馬に興味をしめし、アクショーノフ一家を訪れた。彼は当時18歳で、学校で英語を習い、隣家が日本人だったことから日本語も覚え、なんとか通訳もこなした。
この出会いはアクショーノフ青年にとって運命を決めるものとなった。アクショーノフさんは満州視察で出会った津軽義孝(常陸宮妃華子の父)に気に入られ、その2年後、津軽からの招待状を受け取り、津軽の招きで子どもの頃から夢見ていた医学を修めるために第二次世界大戦画像を見る中の1943年に来日。早稲田大学国際学院の予科で日本語を学び;写真右は19歳のころ、その間に満州国の滅亡(1945年)とともに国籍を失い、日本の国籍もソ連の国籍も取らないまま1944年、津軽の勧めで東京慈恵会医科大学専門部に入学、苦学して1948年に卒業、1951年医師免許を取得し、1953年に六本木でクリニックを開業し、1956年、現在地の麻布台にクリニックを移転した。日本の永住権は2000年3月に取得。戦時中は陸軍省宣伝部に乞われて戦意高揚映画にスパイ役で出演し、『重慶から来た男』『マレーの虎』『ハリマオ』などの映画では準主役を演じていた経験もある。

リンク先を見る英語を話せる医師が少なかった時代にあって、ドクターは近隣の大使館、高級ホテルなどから頼られてきた。現在もクリニックは大所帯ではない。だがその特徴は、そこで働く人がみんな、数ヶ国語を話すことができるということにある。これで患者との話はずいぶんスムーズに運ぶ。ドクター自身はロシア語、日本語、英語、ドイツ語、フランス語、ギリシャ語を操る。このクリニックは日本にある外国の公館の面倒をすべて引き受けているほか、移民管理局からも病人が送り込まれてくる。WHOの指定医でもある。
フランスのシラク元大統領(当時パリ市長) や歌手のマイケル・ジャクソンら著名人の往診に応じ、一方で場所柄、出稼ぎ青年や娼婦たちもクリニックにやってくる。彼らの中には不法滞在者も少なくない から、パスポートの提示を義務づけるとクリニックに来なくなる。だからドクターは一切を不問にし、のみならずお金がない患者からは治療費をとらずに 診察してきた。患者は原則、外国人のみである。

「パスポートなんか、私もないんだもん。病人に、人種も国籍も宗教も関係ありません。病気なら治してあげるのが私の任務です。いま私は、お金は問題ない。 この建物と土地は自分のものだから家賃もいらないし、ウチの先生や看護師も安い月給で困っています。だからお金のない人は、ただで診てあげます」

お金が嫌いなんですか?の問いに、「大好きです。でもお金が倍あっても、今晩食べるものは決まっています。お金がもらえなくても、病気を治す勉強になります。それに評判がよくなって、患者も増えます」と答えている。
20年近くドクターのもとで働く看護師の山本ルミさんは「リーマン・ショック以降、患者さんは減りました。去年はトータルで赤字だったかもしれません。それでもドクターは、自分を頼ってくる人がいる限り、ポケットからお金を出してでも、診療を続けるでしょう」と語っていた。ドクターも「苦しんでいた患者さんが楽になる。うれしいですよ。だから医者はやめられません。あの世で会っても、私、恥ずかしくない」と語っていた。
ドクターは患者と5分ほど病気の話をした後で身の上話を25分する、そんな診療が普通のようで、感謝される喜びや、会話する楽しさ。こんな感情によって他人とつながることが何よりも心地よいのが、アクショーノフという人なのだろう。
CIAにスパイに誘われたり、その疑いでソ連でKGBに捕まったり、ソ連のスパイだとされて、日本の警察に逮捕されたこともあった。

1998年、アクショーノフさんはすぐれた文化活動を行なう人に与えられる吉川英治賞を受賞した。外国人として初めてのことで、「40年間、信教、人種の わけへだてなく、苦しむ人を助けてきた」ことに対する授与だった。そして2006年、今度はプーチン大統領からクレムリンへの招待状を受け、2007年に社会貢献支援財団の社会貢献者表彰を受ける。
ロシアも、日本もその存在を誇らしく思うことができる数少ないロシア人のひとりであったことはまちがいないと、今、過去形で書かなければならないのは本当に残念だ。心からご冥福をお祈りします。参照記事 参照記事 参照記事 参照記事 参照記事 複数の記事より抜粋、編集 敬称を一部、愛称だった「ドクター」に変更してあります。一部、元記事の誤記と思われる部分を自分の判断で訂正してあります。(アメリカン・クリニック東京>インターナショナル・クリニック)

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