記事

「100人に1人は無精子症」。ダイアモンド☆ユカイ氏が語る不妊治療

3/4

「2人で産むんだ」という決意が重要

吉田淳氏(木場公園クリニック院長)
杉山:来場者の方の中にも今おそらく妊活中の方もいらっしゃると思うんですけれども、なかなか男性がこういう話を聞いたり、病院にいって具体的な説明をされる機会が少ないので、勉強会というのをして、1対100とか200 で説明しています。吉田先生は、そういう勉強会ですとか、旦那さんが病院に来やすいような工夫はしているのですか?

吉田:うちももちろん同じように勉強会を隔週の土曜日にやっているんですけれども、その時にはほとんどの方がカップルでいらっしゃいますし、昔はやっぱり不妊症の治療をしていたときに、「精子しか診なくて、旦那さんの顔を見ていない」ということが非常に多かったわけです。

例えば、 人工授精なんかでも持参で持ってらっしゃる方が多い。それってやっぱり変だなと思っていました。田中先生がさっきおっしゃられたように、 「この2人の子供をつくるんだぞ」という意欲ですよね。「妊娠させてやる」というようなギラギラするような感じ。それってやっぱり重要なんだと思ってます。

杉山:やはり男性の検査は難しいところがあります。僕たちは外来で奥様にお話をする際に、精子を見ると、旦那さんの気持ちを考えずに、それこそ「ゼロです」とか「ちょっと量がすくないので、体外受精した方がいい」とか簡単に言うのですが、実際それをどうやって奥様が帰ってから旦那さんに伝えるのか。もしかしたら、言えない人もいるかもしれないし、その辺の男性のフォローというのはどのようにすればいいですか?

田中:奥さんは伝えにくいと思いますよ。特に仲がいい夫婦はかえってね。非常に辛いと思います。現実的にはね、一緒に来た方がいいですよ。一緒に来て、共に聞く。子供というのは、女性一人でも生まれないし、男性一人でも生まれないわけですから。「2人で産むんだ」という決意を、その涙を流しながらしてもらうと。そういう意味では2人で来ていただきたい。

ただし、「道はあるんだよ」と。これを示してあげることが大切だと思います。

杉山:最近、EDも非常に多くて、僕たちが外来で奥様が「実はEDなんです」と聞くと、「人工授精すればいいですよ」と簡単に言ってしまうところがあるんですけれども、吉田先生、EDについてお薬とか人工授精以外で何か工夫しているところがあれば、教えてください。

吉田:非常に気を付けているのは、ご夫婦が何を望んでいるのか、プライオリティーはなんなのか、ということです。子供だけ作って、夫婦生活はなくてもいいと奥さんは思っているかもしれないし、そうではなくて夫婦生活をもちたいと思っているかもしれない。そこをまず気を付けるようにしています。

最近はリビドラとかいろんないいお薬でているわけですけれども、それは頭に効くわけではないんですね。ペニスそのものに効くわけです。だから、脳が興奮しないと薬は有効ではない。雰囲気づくりというのは非常に重要だよ、という話をします。

夫婦生活が長くなって来れば、甘いものがないというのは僕もよくわかるのですが、その中でちょっと雰囲気を変えてみたり、家をリフォームというのはあれかもしれませんが、いろんなことをちょっと工夫しつつ、やっていくのが重要なのかなと思っています。

杉山:少し話は変わりますが、一般的に不妊治療というと、精子が正常であれば、タイミング法、それから人工授精、最後体外受精というように進んでいくんですけれども、そういう順番通り進めるということについて、何かアドバイスがありますか?

田中:誰もが皆さん、自分が結婚する前に、自分に子供ができないと思って結婚しないでしょう。ところが、7~8組に1組は子供がいないという厳しい現実が待っている。

不妊症治療というのは、痛み、負担、辛いです。長期戦です。最初から言います。だから、不妊治療は苦しくない、痛くないとか、フレンドリーとか。あれは嘘だと思います。不妊症治療というのはつらいです。それはもう覚悟してください。その代わり2人で力をあわせて、戦略を立てる。まず適切な診断を立てる。それに対して、適応な治療を立てる。それはもう主治医との信頼関係ですよ。

だから、一番大事なのは、自分が信頼できる、「あ、この人ならば、たぶん作ってくれそうだ」。医者の方も「あ、このカップルはなんとかしなきゃいけない」というようなお互いの気持ちが行きかうような、そういう主治医を見つけることが、一番近道だと思います。

子供ができないことは、女性として何か足りないということでは決してない

杉山:今日の第一セッションで漢方や食事について、いろいろ講演いただいたんですが、最近不妊症にも、ストレスをなくす、よく寝る、運動するというのを聞くんですけれども、吉田先生はその辺はどうお考えになっていますか?

吉田:やはり心技体だと思います。基本はやはり栄養です。体にどういうもの摂るかということ。今さっき、ビタミンDが入った卵の話も出ていましたけれども、やっぱり基本的に体の中にどういうものを入れていくのかということ、人間の体は栄養でできているわけですから、非常に重要だと思いますし、適度な運動もぜひしていただきたいと思います。

また、やっぱりなるべく仲よく夫婦生活の回数を多くしてもらわないと、という話をいつもしています。

杉山:ダイアモンド☆ユカイさんも、治療中に何か心がけたことはありますか。

ユカイ:僕らは2度失敗した時に、ショックで、自分自身も一回あきらめたんですよ。田中先生が言ったように不妊治療自体は大変なものでしたやっぱり。金銭的なもの肉体的なもの精神的なもの含めて、夫婦関係もギクシャクしてきてしまったし。

あきらめて、お互いに、子供のいない2人の生活みたいなものを話し合い始めた。それで旅行に行ったりして、ある意味でリラックスしてたのかもしれないですね。その時、妻が「もう一度だけ挑戦してみたい」といって挑戦したら、授かったんです。もしかすると、1回目、2 回目というのは、思いが強すぎたという要素もあったのかなという気もしますね。リラックスして、それでだめだったとしても、夫婦は夫婦であるわけだし、いろんな道を、お互いに話し合ったということが、今考えるとよかったんじゃないかなと思います。

杉山:1回あきらめてみるということも…

ユカイ:僕らの場合は、そうだったんですね。田中先生の病院も北九州という遠いところだったので、旅行がてらに行って、本当にリラックスした状態でね、検診出来たというか。よくストレスと環境ホルモンとかいろいろ言いますよね。ストレスっていうのは、今現代の病気の中で、病気と言ってしまっているのですが、かなり大きな割合を占めるんじゃないかなと。俺はそう思います。

杉山:不妊治療自体がストレスですからね。それをフリーにするというのは本当に難しいかなと。

ユカイ:ずっとそれだけしか見えなくなっちゃうんですよ。不妊治療をやっていると。そういったときに気分転換みたいなものがあって、もう一度立て直す治療に行ったときに、もしかしたらそういった作用があるのかもしれないなぁと。

杉山:確かに一緒に旅行するとか、そういったことも一つのきっかけですし、例えば、家の雰囲気を変えるとか、思い切って引越しするとか、仕事を変えるとか、まぁ仕事は変えられませんけど(会場笑)。吉田先生はどうですか?その辺のリラックス方法があったら教えて下さい。

吉田:やっぱり不妊症は、先が見えないんですよね。例えば、勉強すれば資格が取れるとか。そんなもんじゃないんですよ。いつ結果がでるかわからないし、結果が出ないかもしれない。

患者さんになかなかそこまで僕は言わないんですが、決まった人生って絶対にないんですね。これだけやったら絶対こうなるという確証のある人生はないと思っているんですけれども、その努力をしている過程というのが非常に重要なんだと思います。

でも、なんとか皆さんに妊娠してもらいたいなぁと思うので。旅行はお金がかかりますから、「ちょっとでいいから公園でも散歩してみてくれない」とか、「ちょっと買い物にいくだけでも気分が変わると思うので」という話はするようにしています。

杉山:田中先生はどうですか?

田中:僕はね、みんなに、特に女性に言うんですよ。子供ができないことは、女性として劣っていたり、何か足りないということでは決してない。そんなこと思う必要まったくないんです。ご結婚されても、お子さんをつくらない人もたくさんおられますし、最初から「私は人生これで行くんだ」と結婚しない人もいる。それもいいと思うんですよ。ただ、今治療したいんだったら、ベストをつくしてください。我々もベストを尽くす。

そして、もう一つはね、あなたがたは今は一人もお子さんがいない。あなたがたの同年代で子供1人、2人いると、もうプライバシーも何もない。この時間を有効に使う。趣味だとか楽しみだとか。何かあるでしょう。一人で楽しめるものを是非今やってください。そうすると、例え子供ができなくても何かが残る。旦那は先に死にますから(会場笑)。後の人生どうやっていきていくか。やっぱり“何か”がほしいでしょう。それを是非作ってほしい。絵でもいい、音楽でもいい、園芸でもいい、何でもいいですよ。これのチャンスにしてほしいと僕は言います。

杉山:僕の周りでも結婚していない女性が多いですけれども、自立もされて、仕事もしている。旦那もいらないけど、子供がほしいっていう人も多いんですけれども、そういう女性をどう思われますか?

ユカイ:怖いですね(笑)。でも、今仕事に長けている女性が増えてきて、夫婦共稼ぎというのが普通になってきて、女性の方が優秀だったりするんですよね。周りを見渡してみても。東京は初婚が30でしたっけ?子供を産むのが30でしったっけ?

杉山:初めて子供生むのが日本はちょうど30歳です。

ユカイ:仕事している女性が、だいたい落ち着ける年齢って30過ぎてからなんですよね。そこから、子供を作ろうと思うと、だいたい35近辺になっちゃうんですよ。35過ぎると高年齢出産じゃないですか。35から例えば40だと考えると、その5年の間、俺みたいな無精子症の人と、まったくそういう知識もなく、ただ頑張っていて、それで5年間を無駄にしちゃう可能性があるんですよね。

だから、男性も検査を受けて、正しい知識の中で。だからといって、必ず授かるものでもないんですけど。自分が、知らないでそこに飛び込んで行って、そういうことがあったので、無精子症に関しても知らない人がたくさんいると思うんですよ。だから、どんどんこれは広めていって。夫婦ともに悔いのないように生きてほしいと。

あわせて読みたい

「不妊治療」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    中年男性とJK密会描く漫画が物議

    BLOGOS しらべる部

  2. 2

    音喜多氏の入党で一皮剥けた維新

    早川忠孝

  3. 3

    国内に虚勢張る韓国 外交で難点

    NEWSポストセブン

  4. 4

    現金ばかり 日本と変わらぬ台湾

    川北英隆

  5. 5

    韓国人旅行者65%減で地方に痛手

    BLOGOS しらべる部

  6. 6

    現金にこだわるサイゼ社長に呆れ

    永江一石

  7. 7

    宗男氏 前夜祭巡りホテルに確認

    鈴木宗男

  8. 8

    産婦人科は奴隷労働? 無知な市民

    中村ゆきつぐ

  9. 9

    元セガ社長の暴露に「ムカつく」

    fujipon

  10. 10

    自動運転で死亡 責任は運転手に

    飯田香織

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。