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名もなき一般人の戦争体験をプロが映画化

どうも新田です。終活の前に来月のメシを食うための就活戦線異状なしというこの頃です。書き出しはいつもの調子ですが、さすがに今日は神妙な面持ちでおります。広島に原爆が投下されてから69年。私の父方の祖母も被ばくし、翌月に亡くなりました。だからといって反米だの反核だのという安易に感情的にならないのは、世の中、現実的な立ち位置が結局は物事を前進させるのが早いという思想や、保守本流の新聞社で10年余り働いていた経験のせいだとも思うんですが、そうは言っても父が広島にいなかった経緯があって私が今日こうツラツラと駄文を書けていることは、ある種の「僥倖」のような気もしております。

そういえば、原爆で亡くなった祖母もですが、2年前の春に98歳の誕生日を目前に大往生した母方の祖母は、私自身が幼い頃から後半生を見届けていたはずなのに、生い立ちがどういうものだったかとか正確に知らなかったりします。私と同じように、親戚・縁者が集まって物語をするうちに意外なエピソードを聞いて仰天という方も少なくないのではないでしょうか。私の場合、母方の祖母については、大正時代の神戸でハイカラな洋裁屋に生まれ、それこそ朝ドラの「カーネーション」で描かれていたような家庭環境だったとか、山っ気の冒険実業家だった祖父がなまじっか軍人と昵懇だったために、終戦直後は戦犯追及を恐れて祖父の故郷である奄美大島に小舟で荒海を渡りきった等々、初めて聞かされる話に感動したり、驚いたりしていたわけです。

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それで最近私が広報のアドバイスを差し上げた案件であると、一応きちんと立場を明らかにし、それでも面白い話だと思ってタダ記事を書いて無断でご紹介してますよ、というジャーナリズム的配慮もチラ見せした上ですが、都知事選の折、家入陣営のイベント設営をボランティアで手伝っていただいた松浦英雅さんが、先月下旬、プロの映画監督が個人の方の人生の歩みを映画化するサービス「Life Cinema」を開始しました。ローンチ時にガジェット通信などが取り上げてくれましたが、私もサンプル映像を拝見した際、さすがだなと唸りましたね。ごく一般の平凡な人生を生きられた故人でもご家族のインタビューや残された資料から丹念にストーリーを紡いで、知らない人がみてもそれなりに興味を持てるように仕立てるから、さすがプロの技だと思いました。そうそうNHKで著名人のルーツを辿る「ファミリーヒストリー」という番組が以前制作されていましたが、イメージとしてはあれを個人版に落とし込んだ感じです。

マーケティング的な市場話も少ししておくと、エンディングノートに象徴される昨今の終活ブームで生前に色々と記録しておくことの意義が社会的に認知されているわけですね。さらに、小説家としてより、NHKのオモシロ経営委員としての地位を不動にしつつある百田尚樹さんの「永遠の0」とか、この程アニメ化が決まった人気ゲーム「艦これ」の影響だとかで祖父の軍歴を厚労省に照会する若者が増えているそうです。さらにシニアの皆さんの消費動向がデイリーの生活費出費は抑えても、旅行や趣味・習い事などの「コト消費」に関しては年々盛り上がっている背景もあります。

ただ、何よりもこのサービスを作るきっかけだったのは、ちゃんとしておりまして、松浦さんご自身も亡くなった祖父のたどってきた道がどういうものか知らずに愕然としたことだったようです。せっかくサービスを立ち上げたということもあって、松浦さんはこのお盆に長崎へ帰郷するのに合わせて、祖父の戦友の方々にインタビューを敢行するそうです。ご自身は映画監督ではありませんが、これまでのお仕事で培ったスキルを総動員ということでクリエイター魂の本領発揮です。

気が付いたら来年で戦後70年。日本が尖閣なり、朝鮮半島なりで有事に直面するリスクが年々高まっている中で、最前線に赴いた世代の生の体験話を色々聞けるのは、もう本当に限られているわけです。ただ折しも、このメディア業界の変革の波に洗われていく中で、プロのクリエイターやジャーナリストが、持ち前のコンテンツ制作リソースを活用して、企業や商品のブランディングに商機を見出す動きも出ています。東洋経済オンラインのブランドコンテンツもですし、AERAが住友商事の“会社案内”ムックを作ったら大当たりで就活生の人気ナンバーワン商社に躍り出たとか成功例も出ています。






今回の松浦さんの「Life Cinema」のように、個人にターゲットを当てたサービスも今後増えるのではないかと感じつつ、そうしたメディア界のトレンドが戦争体験の記録や後世への語り継ぎを後押ししてくれればと期待もしております。ではでは。

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
 

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