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無理なノルマの果たし方

大阪府警、犯罪8万件ごまかし 「ワースト返上」うそ(朝日新聞)

 大阪府警の全65署が過去5年間の街頭犯罪などの認知件数約8万1千件を計上せず、過少報告していたことがわかった。府警が30日に発表した。街頭犯罪ワースト1の返上に取り組むなか、件数を不正に操作していた。2010年にワースト1を返上したと発表していたが、実態は違った。処分対象は97人にのぼった。

大阪府警:犯罪8万件報告せず 280人処分(毎日新聞)

 大阪府警は30日、警察庁に報告した刑法犯の認知件数を、2008〜12年の5年間で計8万1307件少なくしていたと発表した。全65署が関わっていた。都道府県別の街頭犯罪の認知件数で、全国ワースト1位が続いた大阪府は10〜12年、東京都を下回ったとされたが、実際は最悪のままだった。府警は同日、内規などに基づいて幹部を含む280人の処分を決めた。

大阪府警、統計不正8万件…全署で犯罪過少計上

 大阪府警が2008~12年、自転車盗など計8万1307件を犯罪統計に計上せず、犯罪を少なく見せかける不正処理をしていたことが30日、わかった。

 この間の府内の刑法犯認知件数(計約93万件)の1割近くに相当し、全65警察署で行われていた。府警は当時、組織を挙げて街頭犯罪件数の全国ワースト1返上に取り組んでおり、「現場に件数抑制の重圧がかかっていたことが背景にあった」としている。

 警察庁によると、犯罪統計の不正の規模としては過去最大。府警は同日、幹部らを本部長注意とするなど当時の関係者計89人を内部処分した。

 大阪府警で犯罪件数を少なく取り繕う不正が行われていたことが伝えられています。処分された関係者の数が各紙で異なっているのはどうしてなのでしょうね。「数え方の工夫」で何かを多く見せかけたり、あるいは少ないものと思わせたりと、そうしたミスリーディングは新聞各社も得意とするところですが、この手の偽りは本来あってはならないものです。しかしまぁ、警察側にもジレンマがある、犯罪件数を抑制したがる一方で検挙数を稼ぎたがる人も目立つ等々、傍目には迷惑な難しさを抱え込んでいるようで……

僕がかなりプレッシャー…犯罪過少計上で橋下氏(読売新聞)

 大阪府警が2008年からの5年間に8万件を超える刑法犯を過少に計上していた問題で、橋下徹・大阪市長は31日の定例記者会見で、不正が始まった08年当時の府知事として「偽りの数字だったことをおわびする」と陳謝した。

 不正の背景に、街頭犯罪の全国ワースト1返上の重圧があったとされることには、「僕がかなりのプレッシャーをかけた」と述べ、影響があったことを認めた。

 橋下氏は知事に就任した08年、財政改革の一環として警察官定員の削減案を打ち出したが、府警側は「治安悪化を招く」と猛反発。削減は結局、見送られたが、橋下氏はその後、府警に「ワースト1返上を」と成果を求めた経緯がある。

大阪府警:刑法犯過少報告 同一犯は「まとめて一件」(毎日新聞)

 「どうせ同一犯や。まとめて1件にしよ。署長もうるさいからな」

 過少報告が始まった08年のある日。大阪市内の警察署で刑事課長が統計担当の若い警察官に小声で指示した。

(中略)

 「自転車が見つかったら計上せんでええ」「自転車のサドルだけ盗まれたケースは外していいんちゃうか」。上司がこう指示したこともあったという。

 府知事(当時)から府警幹部へ、幹部から署長へ、署長から現場の担当へと、とにかく数値を小さくするよう伝言ゲームが行われていったであろう様子が容易に頭に浮かびます。もっともこの辺、大阪府警に限らず日本の普通の会社でも頻繁に見られる光景ではないでしょうか。社長から役員へ、役員から部長へ、部長から課長へ、課長から非正規を含むヒラ社員へと、例えば「売り上げを伸ばせ」みたいな命令が無責任に投げ渡されるわけです。結局、最終的に「何とかする」ことを求められるのは下の人間、上の人間はただただ要求するだけの簡単なお仕事です。

 日本で言われるところの「リーダーシップ」とは、実際のところ「恫喝する力」とでも言うべきものなのかも知れません。部下に対して「結果を出せ」と一方的に迫って押し切る能力こそがリーダーシップで、その能力に不足していると下から「じゃぁ、どうすれば良いのだ、そんな簡単にできることではないのは分かっているだろう」と問われて答えが出せなくなってしまうものです。犯罪を短期間で急減させる特効薬などあろうはずもないことは自明のことですが、そんな無茶が大阪府内の全警察官にまで行き渡ったのは、まさに日本的リーダーシップが発揮された結果であるようにも思えます。

 最近の記事で何度か言及しましたが、日本では非正規すら含めた末端の人間でもマネジメントの意識を持った人が多い、誰もが経営者、管理者の目線で物事を考えがちです。そうだからこそ、上から下へのノルマの丸投げが常態化するのかな、という気もします。下っ端が本当に下っ端の目線でしか考えない社会であるなら上がもっと具体的に方策を示さなければならない、「じゃぁ犯罪を減らす方法を教えろ」「売り上げを伸ばす方法を教えろ」と逆に迫られそうなものです。しかし日本では、下の人間が上の人間の意向を実現するための方法論を自分で考える、それを当たり前のことと受け入れている人も多いのではないでしょうか。だから、上の人間は単純に下へ圧力をかけさえすれば済む、と。しかるに「下」の人間に適切な目標達成の手段が備わっているかと言えば当然NOです。その結果として、結果を好ましいものに見せかけるべく不正を行う人が――大阪府警だけではなく私の勤務先にもいたりします。

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