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朝日・船橋洋一氏の駐米大使就任の噂に見るスパイの「上がり」について

 ポスト冷戦とか言われて随分久しいけれども、一般論として、いわゆる影響力要員というのは雇い主の世論作りに貢献する一方でなるだけプレイヤーとしての立場を得ないように心がけるのが処世術でした。過去にもさまざま親密化工作であれ不安定工作であれ、極力メディアは直接の利害や立場を明らかにすることなく、中立を装って誘導しようというのが古き良き諜報のあり方だったように思います。

 で、ここのところの民主党の大使人事が不思議な状況で、菅内閣は、次期駐中国大使に伊藤忠商事相談役の丹羽宇一郎氏を起用する方針を明らかにし、いろんな意味で物議を醸す発表になりました。確かに丹羽氏は優秀な人物であり、民間からの登用がうまく機能すれば、オープンな民主党外交のあり方の指針となる可能性はあるにはあります。

 一方、駐米大使はどうも船橋洋一氏を起用する方向であるらしく、これまた何それ感溢れる状況になっております。船橋氏が親米的なジャーナリストだということで警戒する筋の話はユーラシア21研究所の吹浦忠正氏も思い切り書いておられますし、大丈夫なんかなあ、と思うところであります。

駐米大使に船橋洋一氏?
http://blog.canpan.info/fukiura/archive/7016

 ここから先は、また一般論と私の妄想の世界になるわけですけれども。

 ユーラシア21研究所の立場の偏りは考慮に入れるとして、他に人選がなかった、官僚を送り込むことは民主党的によろしくない、オープンでクリーンかつ有能な人物を駐米大使に据えたかった、という意向が岡田外相に強かったのかもしれませんが、肝心のワシントンでは彼の「実績」はもろバレなので、何か別の考えでも日本政府にはあるんじゃないかともっぱらです。

 もちろん、そんな「高度な」ことを考えて菅内閣が船橋氏を起用していると思えず、もし「高度な」配慮をするだけの能力が備わっているならこの人選はちょっと考えづらいと考えます。単純に、”日米関係を不変のパラメータとして、パワーバランスの激変するアジアにおける地位を固める”という従来の外交方針から、民主党が明確なメッセージとして”中国にもアメリカにも大使に民間人を起用し、日米の近しさから日米中三国を正三角形の関係へと転換する”宣言を読み解いてもらおうということかもしれません。

 個人的には、船橋氏が積極的に駄目だからこの人事には反対だ、というわけではないのですが、他の人選を考えるに消去法にするまでもなく船橋氏に大使のお鉢は回ってこないと考えるのが普通だろう、と思うわけです。他のメディア人を民間人大使として起用するにせよ、それなりに納得性のある人事を東京にもワシントンにも示すべきなんじゃないかなあと。

 誤報だといいですね。ほんとに。

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