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ネットベンチャーの人事評価制度について

2000年にネット業界に転職した。
最初に入った会社は、当時10人くらいの制作会社だったが、翻訳会社と合併し、その後、人材教育の教育コンテンツを提供する会社と合併し、あれよあれよと成長した。海外事業などもやって大連に支社も作った。

僕らがやるビジネスはWebの受託だったが、同時に、自社プロダクトも作っていて、2000年当時に動画CMSなんてのを作ってたし、その後、グローバルWebサイトで翻訳のワークフローを管理するシステムなども作っていた。会社の制度は割とちゃんとしていたし、教育コンテンツを提供する会社なので、そういうコンサルのヒトともお付き合いがあるのでマネージャ研修をやったり、人事評価制度なども積極的に組み入れていった。

その後、別の会社に転職して、こちらでもプロデューサーという管理職について、こちらも人事評価制度を試行錯誤しながら取り入れるフェーズに評価側で関わっていた。

しかし、やってて思うのだが、いつも人事評価制度を運用しても、なかなか難しくて、どうも僕らの仕事にしっくり行かない。

人事評価制度のキホンは、こんな流れだろう。

1.まず今後半年のコミットメントを決める。

もちろん個人が決めると性格が反映される謎目標しかできないので、事業責任者と一緒に作る。現実的には上長が目標を指定することが多い。その目標基準は、技術であることもあるし、事業の成長そのものへの寄与であることもある。本当は事業の成長に繋がらない技術の向上は評価されないのだが、そこはいろいろな野望の元で考慮される。

2.半年後に、そのコミットメントがどれだけ達成するかを評価する。

3.その評価に対して、昇給原資を相対的に配分する。

4.次の半年のコミットメントを決める。

で、これをやっていて、いつも辿り着く問題点、

◆大抵の場合、半年前の目標と、半年間でやったことが全然違っていて、半年前に決めたことが役に立たない。

そもそも安定的に同じことをやるような仕事ではないのだ。いかに不確実性に立ち向かっていくか、というのが僕らの仕事なので、半年前に思ってたことが半年後にそのままである方が少なかった。

そもそも優先順位が日常的に変わっていくのがベンチャーというものである。結果、過去半年以内を思い出して、その人のいいところを見つけて3とか4とかの評価をつけることになる。半年前の目標設定、意味無いじゃん。

◆個々のスキルが業績に与える度合いの判断が少し難しい。直接、売上を上げるというよりは、Webサービスや成果物に対する寄与をして、うまくいけば間接的に売上に繋がるし、繋がらないかもしれない。(表面だけを見てはいけないし、うまくいかないことをネガティブに評価してはいけない)

数値目標の達成と、個人の成果が必ずしも一致しない。

人事評価制度というのは、「会社が求める、これをこれだけやれば、これだけ昇給できますよ」と明文化するものだ。

プロ野球選手であれば、ホームランを40本打ちました、ピッチャーで20勝したから、来年も同じだけの活躍をしてね、と言う期待を込めた評価をすることができる。

つまり「勝つための具体的な期待値」が基準になる。非常にわかりやすい。

それができるのは野球というルールが決まっているから、そして野球を取り巻くビジネスが、すごくわかりやすいところにあるから、ということに他ならない。チームが強ければ、お客さんが見に来る。お客さんが見に来れば、売上は上がる。売上が上がれば給与配分に回す原資が増える。だから評価と給与は極めて密接に関係してくる。

これがすごくわかりやすい例。

バイラルメディアで、N本アップして、M PV獲得しました、だから売上 XXXX万円 故にX%を給与原資に配分して評価5!みたいなのが、人事評価制度に一番マッチするものだ。

これが一番の理想論だとすると、他のものは「そうはいってもさ」というところからどんどん玉虫色になっていく。
玉虫色というとネガティブな表現かもしれないが、実はそうではなくて、そんな数値の直接評価では制度の継続性が怪しくなる。

プロ野球選手が年俸が高いのは、明日をも知れぬ個人事業主だからに他ならない。時代が変わってしまいバイラルメディアの信用が落ちて、数字が落ちたら給料が半分になるというのは、自分で起業してやってるなら良いが、会社の指示でついた仕事であればあまりにも残酷というものだろう。

会社は継続的成長であり無期限契約を前提とした雇用体系なのだから、数値に対するコミットメントを少なくとも固定給に載せるのは少し違う。だからこその期待値に対する評価をしたい。

だから多くのソフトウエア産業やインターネットの場合は、もう少し複雑だ。

何かを信じる手立てを作って、そこに評価を載せていくわけだが、そこで考えたいことは、こんな感じになるだろうか。

「明日、新しいビジネスを立ちあげなくてはならない時に、安定的に実現してくれる期待が持てること」

「この人がアプリを作れば、ユーザーさんから高い評価を得られる期待が持てること」

「この人がサービスを守ってくれれば、ちょっとやそっとのことでは問題が起きない、という期待が持てること」

「この人がいれば、もしトラブルがあっても、すみやかに解決してくれるし、お客さんの信頼を失わないという期待が持てること」

未来への期待と、これまでの成果に対して、評価をする。そういう人事評価制度にしなくてはならない。

技術評価においても、本質的にはその人の持てる技術が、明日のビジネスに繋がっていくという期待に対して評価するものだと考える。

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