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木村剛、逃げ切れなさそうでござるの巻

 要するに債権飛ばしのようなものとマスコミにも報じられ始め、そんなこと最初から分かっておるがなという雰囲気の漂う日本振興銀行案件でございますが、日経がいうには検査忌避を口実として刑事告発の対象になる可能性が高くなったとのことであります。

金融庁、振興銀を刑事告発へ 「検査忌避」で
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819591E3E2E2E3978DE3E2E2E4E0E2E3E29797E3E2E2E2

 いまごろになって、ダイヤモンドとかも記事にしてたりとか、まあようやくエピローグが始まったのかなあと感じさせるところですが、案の定というか、あまり踏み込んだ内容にはなっていないので、知りうる限りの妄想で解説記事など。

金融庁の処分で追い込まれた日本振興銀行の絶体絶命
http://diamond.jp/articles/-/8341

 原則として、金融庁の指導というものは現職の銀行経営陣に対して行われるものであって、金融庁から比較的強い処分が出ると予期していた木村剛は、監督局から下る処分に先立って代表執行役・取締役会長からさっさと辞任しておりました。そうすると、行動は制約されるものの大株主として引き続き社長以下経営陣をコントロールして権勢を誇れると計算したからなんですね。

 ところが、結構早い段階から、木村剛が傀儡と思っていた日本振興銀行の経営陣は当局側に積極的に木村剛の意向を整理して伝達するなど、完全に「ごめんなさい」をしておったようです。当然、木村剛の指示している内容で違法性の可能性のあるものや、実施したら自身の身に責が及びかねないものについては、木村剛の指示内容ごと当局に情報提供しておったわけです。

日本振興銀行:木村剛会長の退任発表 赤字決算の責任取り
http://mainichi.jp/life/money/news/20100518k0000m020071000c.html

 表向きは、赤字決算の責任をとるというものではありますが、この赤字決算に至った背景も日本振興銀行独特のものでした。簡単に言えば、日本振興銀行は日本振興銀行グループとしてネットワーク企業を擁し、銀行法として認められるギリギリの5%以下の株式を保有しながら、ネットワーク企業同士で株式を持ち合う形で事実上経営権を支配し、彼らに金を貸し付けたり出資したりすることでグループ全体の経営を行ってきました。

 ところが、これらのネットワーク企業で黒字のところは少なく、日本振興銀行からの追い貸しが行われない限り、なかなか経営が保てないと見られる企業が多くありましたので、日本振興銀行は少しでも高い金利を設定し、預金を集め、これらのネットワーク企業に貸付を続けなければ振興ネットワークを維持できないというジレンマに遭遇した形となるようです。

 これが金融庁の検査で「旦那、本当に返済されるのかね?」と追及され、呼び出された木村剛の傀儡の皆様がたは貸し出しの実態を木村剛から知らされていないわけですから、もちろんマトモな回答はできません。それゆえ、「じゃあ引き当て積んでくださいww」と金融庁に指導されると従わざるを得ないことになります。

 コンプライアンスの鬼を自認していた木村剛は、金融庁の銀行法での検査の枠内であるなら、貸出先の経営や、ネットワークの事情にまで踏み込んで検査されないだろうという読みがあっただろうと思われます。しかし、振興ネットワーク内で複数社がその資金繰りのために日本振興銀行からの借り入れをぐるぐる回している実態があり、そんなものは個別にヒヤリングをかけてみれば分かってしまいます。

 他にも、SFCG(旧商工ファンド)からの債権買取も含めて、事実上のノンバンク業務を行っている実状であるとか、まあわんさか法令違反が出てきたようですから、銀行単体としては当然営業停止にならざるを得ず、また、公表された額面で言うならば順当に引き当てを積まされてしまい、千億単位で債務超過に転落することだって想像に難くありません。

「木村剛銀行」にマネロン疑惑
http://facta.co.jp/article/200906058.html

 FACTAの記事ではマネロンという書き方になっていますが、誰かが日本振興銀行に委託してマネロンを実施しようと考えているというよりは、実状は別だったのではないかと妄想しています。日本振興銀行の抱えていた資産そのものや、集めた預金自体を海外に流失させる仕掛けを内在しているように見えます。現地での提携先銀行の与信という裏書で実態のある融資と見せかけ不良債権化させず、帳簿上の黒字を作るための仕掛けと同時に健常な預金(キャッシュ)を架空の海外融資先を使う、という方法です。

 この内容は、日本振興銀行の監査法人が監査内容として提出した報告書の中に仕組みとしてバッチリ記載されており、金融庁もそれの真偽を確認した結果、重大な法令違反があったのではいかと考えるに至ったと思われます。

 問題は、5,000億円以上と報じられる日本振興銀行の預金のうち、いったいどのくらいが焦げ付いてしまったのか、回収可能な融資はどれだけなのかということであります。中の人の話では、木村剛がいなくなってから2,000億円ぐらいの融資がすでに回収不能なのではないかということなので、仮に破綻しましたということになるならば、日本航空ですったもんだした金額以上の処理額を積まなければならないことになります。

 もちろん、預金保険機構のセーフティネットですから、すべてこれは税金です。

 このあたりは思考実験というか妄想なのですが、もしペイオフの対象となるのであれば悲しいことにこんな事故物件が輝けるペイオフ第一号になるわけですし、そもそもそんなノンバンク事業を営んでいたのが銀行と言えるのか、その事業で集めた預金は保護されるべき性質のものなのかは議論が分かれることとなります。

 重ねて、木村剛が培ってきた人脈への波及も問題となります。安易に考えるならば、木村剛を使ってきた竹中平蔵氏はどうするのかとか考える向きも多いんですが、実際のところ木村剛はいろんなところに保険を打って、それが実際に功を奏していままで金融庁のアプローチをかわしてここまで事業を営んできました。それらの協力者の中には、政治家もいるでしょうし、高級官僚OBも含まれるかもしれません。

 実際に慌しくなってきているわけですけれども、少なくない金額を包まれた政治家や、彼の庇護によってさまざまなものを逃れてきた経緯、あるいは北の偉い人方面に近い筋へお金が流れていた事情なども今後出てくるかもしれません。ただ、もうとっくにサイコロは振られているので、最大波及範囲も見えている部分なんだろうとは予想しますけれども。

 ここ10日ぐらい、木村剛は予定をドタキャンしまくってる状況のようですが、くれぐれも自分自身で幕引きをするなど考えず、また周囲もそう追い込むことを控え、正当な手続きによって相応しい法的な処置を済ませ、再び経済人として活発な言論の場に木村剛が復帰することを期待してやみません。

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